3 / 4
第三話 猫獣人リオンとの出会い②
しおりを挟む
きっぱりそう言って、拓也に背を向け、歩き出す。
彼の尻尾が不機嫌そうにぶんぶん激しく振っているのがわかる。
そんな彼の様子を見て、拓也は思わずクスリと笑ってしまった。
「なにが可笑しい?」
振り返った彼は、完全に不機嫌な表情を浮かべていた。
彼の鋭い瞳がまたも拓也を睨みつける。
しかし、拓也はその視線にも臆せず、むしろ楽しそうに笑みを浮かべた。
「いや、だってさ……怒ってる時の尻尾の動き、完全に猫なんだもん。そこがまた、可愛いね」
「……貴様!」
彼が一瞬でこちらに向かってきた。拓也はその速さに驚いたが、しかしその動きにも、どこか猫の俊敏さを感じてしまい、やっぱり心の中で「可愛い」と思ってしまう。
「ごめん、もう言わないよ!……でも、俺、猫のことが好きすぎて、どうしてもそういう風に見ちゃうんだ。もちろん、君がただの猫じゃなく、猫獣人なのはわかったけど」
彼はじっと拓也を睨みつけたままだが、何か言いたげな表情をしていた。
その様子に、拓也は少しだけ希望を見出す。彼は、人間に対して強い警戒心を持っているのかもしれない。しかし、だからこそ、少しずつでも打ち解けていけば、
彼と本当の意味で心を通わせることができるのではないか――そんな気がしてきた。
彼とイチャイチャラブラブしたい。
「……気を悪くしたならごめん。でも君のことが好きで、もしさ、俺のことを知ってくれたら、
触らせてくれる可能性もあるだろう?」
冗談めかして言う拓也に対し、彼はしばらく無言だった。そして、静かにため息をつくと、目を細めて言った。
「……ふん。俺がお前のことを知ることなんて、絶対ない」
その言葉を残し、彼は森の中へと姿を消していった。
拓也はその背中を見送りながら、少しだけ残念そうに肩を落とした。
「やっぱり、警戒されるよね……でも、あの尻尾、絶対いつか触らせてもらうんだから!」
拓也の小さな決意を固め、また猫と遊ぼうとするが
「……人間」
声がして顔をあげると、彼が戻って来ていた。
その鋭い目は、再び拓也をしっかりと捉えていた。
「戻って来てくれたの」
拓也はニヤニヤしていると
「……この森の中は複雑だ。人間が一人でいるのは危険だ。とりあえず一緒に来い」
彼の声は冷たくも、その言葉には明確な正義感が感じられた。
彼が単に警戒心から無視するのではなく、
危険な状況にいる拓也を放っておけない性分であることが伝わってくる。
「え、一緒に連れて行っていいの?」
驚く拓也に対し、彼は頷くことなく、そっけなく答えた。
「お前のような者が、この森で死なれても迷惑だからな」
言葉の端々には冷淡さが感じられるが、明らかに彼は拓也を見捨てるつもりはないらしい。
「ありがとう。好き、愛してる」
彼の尻尾が不機嫌そうにぶんぶん激しく振っているのがわかる。
そんな彼の様子を見て、拓也は思わずクスリと笑ってしまった。
「なにが可笑しい?」
振り返った彼は、完全に不機嫌な表情を浮かべていた。
彼の鋭い瞳がまたも拓也を睨みつける。
しかし、拓也はその視線にも臆せず、むしろ楽しそうに笑みを浮かべた。
「いや、だってさ……怒ってる時の尻尾の動き、完全に猫なんだもん。そこがまた、可愛いね」
「……貴様!」
彼が一瞬でこちらに向かってきた。拓也はその速さに驚いたが、しかしその動きにも、どこか猫の俊敏さを感じてしまい、やっぱり心の中で「可愛い」と思ってしまう。
「ごめん、もう言わないよ!……でも、俺、猫のことが好きすぎて、どうしてもそういう風に見ちゃうんだ。もちろん、君がただの猫じゃなく、猫獣人なのはわかったけど」
彼はじっと拓也を睨みつけたままだが、何か言いたげな表情をしていた。
その様子に、拓也は少しだけ希望を見出す。彼は、人間に対して強い警戒心を持っているのかもしれない。しかし、だからこそ、少しずつでも打ち解けていけば、
彼と本当の意味で心を通わせることができるのではないか――そんな気がしてきた。
彼とイチャイチャラブラブしたい。
「……気を悪くしたならごめん。でも君のことが好きで、もしさ、俺のことを知ってくれたら、
触らせてくれる可能性もあるだろう?」
冗談めかして言う拓也に対し、彼はしばらく無言だった。そして、静かにため息をつくと、目を細めて言った。
「……ふん。俺がお前のことを知ることなんて、絶対ない」
その言葉を残し、彼は森の中へと姿を消していった。
拓也はその背中を見送りながら、少しだけ残念そうに肩を落とした。
「やっぱり、警戒されるよね……でも、あの尻尾、絶対いつか触らせてもらうんだから!」
拓也の小さな決意を固め、また猫と遊ぼうとするが
「……人間」
声がして顔をあげると、彼が戻って来ていた。
その鋭い目は、再び拓也をしっかりと捉えていた。
「戻って来てくれたの」
拓也はニヤニヤしていると
「……この森の中は複雑だ。人間が一人でいるのは危険だ。とりあえず一緒に来い」
彼の声は冷たくも、その言葉には明確な正義感が感じられた。
彼が単に警戒心から無視するのではなく、
危険な状況にいる拓也を放っておけない性分であることが伝わってくる。
「え、一緒に連れて行っていいの?」
驚く拓也に対し、彼は頷くことなく、そっけなく答えた。
「お前のような者が、この森で死なれても迷惑だからな」
言葉の端々には冷淡さが感じられるが、明らかに彼は拓也を見捨てるつもりはないらしい。
「ありがとう。好き、愛してる」
11
あなたにおすすめの小説
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される
田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた!
なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。
婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?!
従者×悪役令息
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
龍は精霊の愛し子を愛でる
林 業
BL
竜人族の騎士団団長サンムーンは人の子を嫁にしている。
その子は精霊に愛されているが、人族からは嫌われた子供だった。
王族の養子として、騎士団長の嫁として今日も楽しく自由に生きていく。
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
Sランク冒険者クロードは吸血鬼に愛される
あさざきゆずき
BL
ダンジョンで僕は死にかけていた。傷口から大量に出血していて、もう助かりそうにない。そんなとき、人間とは思えないほど美しくて強い男性が現れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる