魔王を倒した勇者だけど帰還して今度はVRMMOに挑みます

六山葵

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初サイドクエスト

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ユーサたちはマスルークと共にレストのところへ向かう。

思っていたよりもだいぶ早く帰って来たユーサたちにレストは多少驚いていたが、事情を話すと一度しまった魔法道具をもう一度引っ張り出してくれた。

「なんだ。大したことないじゃねぇか。これなら数分で直せるから待っとけよ」

魔法道具をざっと見てマスルークが言う。ユーサたちはホッと胸をなでおろした。
ひょっとするとまだお使いクエストが続くのではないかと心配したのだ。

しかし、クエストはようやく終盤に差し掛かったらしい。

マスルークが魔法道具を直している間、三人はレストの家で待たせてもらうことにした。

リサは魔法道具に興味を持ったのか、部屋の隅でビスタと話し込んでいる。熱心に情報を集めているようだ。
シャインはレストと話をしていた。報酬の魔法書について、真偽を確かめているらしい。

ユーサは作業するマスルークを眺めていた。

「面白いか?」

魔法道具から目を離さず、マスルークが言った。

「まぁ、魔法道具を直すところを見るのは初めてだからな。気が散るか?」

そう尋ねるとマスルークは鼻で笑った。「バカにするな」とでも言いたげだ。

「貴族連中みたいに横でとやかく戯言を言わないなら好きにすればいい」

マスルークが悪態をつく。貴族は彼にとって一番の客のはずだが、その口ぶりから察するになかなか苦労しているようだ。

「そんなに酷いのか?」

「……まぁな。無茶な依頼はしょっちゅうだし、言いがかりみたいなクレームも頻繁にある。奴ら、金さえ払えば何をしても良いと思ってやがるのさ。注文しておいて、完成した途端『やっぱりいらない』なんて言われた商人もいる」

どこかで聞いた話だ、とユーサは思った。
試しにインベントリから例の杖を取り出してみる。

「これに見覚えは?」

そう尋ねるとマスルークは作業の手を止めず、視線だけを向けた。

「タリムの杖じゃねぇか。まさか……アンタが買ったのか?」

「まぁな」とユーサが答える。

タリムというのはリサに連れられて行った武器屋の店長の名前である。
二人は知り合い同士らしく、杖に関することの成り行きもマスルークは知っていた。

「物好きな奴もいたもんだ」

マスルークが言う。その態度が先ほどまでよりも少し柔らかくなったようにユーサは感じた。

「これを依頼した貴族、どこの誰だか知っているか?」

そう尋ねるとマスルークは首をひねる。

「さぁな。隣町の貴族ってことはタリムから聞いたけど、詳しいことは知らん。なんでそんなことを聞く?」

「少し気になることがあってな。……隣町か。ありがとう」

ユーサが礼を言うとマスルークはまだ腑に落ちない顔をしていたが、それ以上追究しては来なかった。

彼の言う通り、魔法道具は数分で無事に直った。
態度は悪いが腕は確かだったようで、ようやくクエストが終わりそうになってユーサたちは安心した。
しかし、一番最初にこのクエストを始めたシャインの表情がどこか冴えない。

「どうした?」

ユーサが聞くとシャインはため息を吐いた。

「実は、魔法書の話は出まかせだったみたいなんだ。レストさんに確認したけど、報酬は金銭でしか考えていなかった」

シャインの言葉に一同の視線がレストに向く。

彼は彼で申し訳なさそうに

「申し訳ありません。最初に報酬のことを話しておけばよかったですね。魔法書なんて高価なもの、私にはとても……」

気まずい雰囲気が流れる。
他のゲームなら、クエスト受ける前に達成報酬をあらかじめ見ることができる。
しかし、ラフクエでは違うらしい。クエストの受注はNPCとの口頭で行われるし、クエスト一覧には進行可能なクエストが表示されるだけで報酬の記載はない。

そういえば異世界でも依頼を受ける前に報酬の取り決めをするのは大事だったな。

ユーサは落ち込むシャインを横目に見て異世界でも似たようなことがあったのを思い出した。
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