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杖と貴族
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アレンの乗っていた馬車は簡素な作りのものだった。
ビスタの馬車は天蓋付きで大きく、馬も二頭と立派なものだったがこの馬車に天蓋はない。
木製の木で作られた荷車に馬を一頭だけ繋いだだけのような、「ギリギリ走れる最低限」といった代物である。
「乗り心地は悪いけど、ごめんね」
とアレンが言う。
乗せて貰っている以上文句はないが、確かに彼女の言う通り乗り心地は良くない。
道が悪いのか、それとも馬の気性のせいなのか、進むたびに馬車はガタガタと揺れた。
「これ、どこで手に入れたんだ?」
昨日の一連の出来事から、乗り物の類が相当高価だと知ったユーサはそんな質問をする。
魔法道具の乗り物と普通の馬車を比べても仕方がないかもしれないが、乗り心地の悪い馬車でも安く手に入れる方法があるなら知りたかった。
「買ったんじゃないよ。これ、レンタルなんだ」
馬の手綱を引いて前を向いたままアレンが言った。
話を聞くと、どうもロトの町に馬車を貸してくれる所がいるらしい。
「そうなのか、知らなかった」
知っていれば昨日隣町に行こうとした時に使っている。
リサが何も言わなかったということは彼女も知らなかったのだろう。
「はは、相当変な場所にあったからね。私も見つけたのは偶然だし、多分まだ知ってる人の方が少ないと思うよ」
何にせよ、乗せてもらえて助かった。
移動するにしても歩いていくしかないのかと思っていたからこの情報は大きい。
簡素な作りの馬車でも歩くのよりは大分早い。
アレンのおかげで、程なくしてアストルの町が見えてきた。
「思ってたより襲われなかったおかげで意外と早くついたね」
町の門を潜る時にアレンが言った。
確かに、彼女と出会って馬車に乗ってからモンスターに襲われたのは一度だけだ。
そんなに強い敵ではなかったし、昨日ビスタに貰った剣のおかげで難なく切り抜けることができた。
「弓使い」だという彼女の力も大きい。
昨日のシャインのようにユーサが戦っている敵以外の足止めを彼女がしてくれたので、苦労は少なかった。
「ユーサはアストルに何をしにきたの?」
馬車を道の脇に寄せてからアレンが尋ねる。
往来の多い町中では馬車を使うよりも歩いた方が楽だと判断し、ここに止めておくようだ。
「実はサイドクエストのフラグになりそうな物を見つけてな。確証はないからまだ何とも言えないんだけど、一応確かめておこうと思って」
「そっちは?」とユーサが聞き返す。
「私もサイドクエスト関連だよ。なんか記者を目指している若者がいて、印刷の魔法道具を頼まれているの」
どうやらアレンは昨日ユーサたちが受けた「新人記者のすすめ」を受けているらしい。
それなら、と馬車に乗せてくれたお礼にユーサは知っている情報を提供する。
「あれ、でもそれだとここに着く前に倒れた馬車があるはずだったってことだよね?」
ユーサがクエストの一連の流れを説明するとアレンは首を傾げた。
クエストの前半部分はユーサも直接見たわけではなく、シャインに聞いた話である。
その話によれば、確かに彼女の言う通りアストルに向かう道中で盗賊に襲われ、壊された馬車を発見するはずだ。
アレンと出会った辺りがちょうどその馬車が倒れていた場所のはず。
しかし、昨日のように倒れている馬車は見なかった。
見落としたとか、それとも他の要因で馬車がなかったのか……。
「もしかすると俺のせいかも……」
ユーサは少し思案し、思いついたことをアレンに話す。
ラフクエのサイドクエストはワールドクエストと違って個人間で進行度が違う。
クエストは大抵NPCから受けられるが、リアリティという面で見るとこれは少しおかしい。
まだサイドクエストを受けていないプレイヤーが訪ねてくるたびに、NPCは何も知らないという顔をして新たにサイドクエストを提供していることになるからだ。
ビスタの馬車は天蓋付きで大きく、馬も二頭と立派なものだったがこの馬車に天蓋はない。
木製の木で作られた荷車に馬を一頭だけ繋いだだけのような、「ギリギリ走れる最低限」といった代物である。
「乗り心地は悪いけど、ごめんね」
とアレンが言う。
乗せて貰っている以上文句はないが、確かに彼女の言う通り乗り心地は良くない。
道が悪いのか、それとも馬の気性のせいなのか、進むたびに馬車はガタガタと揺れた。
「これ、どこで手に入れたんだ?」
昨日の一連の出来事から、乗り物の類が相当高価だと知ったユーサはそんな質問をする。
魔法道具の乗り物と普通の馬車を比べても仕方がないかもしれないが、乗り心地の悪い馬車でも安く手に入れる方法があるなら知りたかった。
「買ったんじゃないよ。これ、レンタルなんだ」
馬の手綱を引いて前を向いたままアレンが言った。
話を聞くと、どうもロトの町に馬車を貸してくれる所がいるらしい。
「そうなのか、知らなかった」
知っていれば昨日隣町に行こうとした時に使っている。
リサが何も言わなかったということは彼女も知らなかったのだろう。
「はは、相当変な場所にあったからね。私も見つけたのは偶然だし、多分まだ知ってる人の方が少ないと思うよ」
何にせよ、乗せてもらえて助かった。
移動するにしても歩いていくしかないのかと思っていたからこの情報は大きい。
簡素な作りの馬車でも歩くのよりは大分早い。
アレンのおかげで、程なくしてアストルの町が見えてきた。
「思ってたより襲われなかったおかげで意外と早くついたね」
町の門を潜る時にアレンが言った。
確かに、彼女と出会って馬車に乗ってからモンスターに襲われたのは一度だけだ。
そんなに強い敵ではなかったし、昨日ビスタに貰った剣のおかげで難なく切り抜けることができた。
「弓使い」だという彼女の力も大きい。
昨日のシャインのようにユーサが戦っている敵以外の足止めを彼女がしてくれたので、苦労は少なかった。
「ユーサはアストルに何をしにきたの?」
馬車を道の脇に寄せてからアレンが尋ねる。
往来の多い町中では馬車を使うよりも歩いた方が楽だと判断し、ここに止めておくようだ。
「実はサイドクエストのフラグになりそうな物を見つけてな。確証はないからまだ何とも言えないんだけど、一応確かめておこうと思って」
「そっちは?」とユーサが聞き返す。
「私もサイドクエスト関連だよ。なんか記者を目指している若者がいて、印刷の魔法道具を頼まれているの」
どうやらアレンは昨日ユーサたちが受けた「新人記者のすすめ」を受けているらしい。
それなら、と馬車に乗せてくれたお礼にユーサは知っている情報を提供する。
「あれ、でもそれだとここに着く前に倒れた馬車があるはずだったってことだよね?」
ユーサがクエストの一連の流れを説明するとアレンは首を傾げた。
クエストの前半部分はユーサも直接見たわけではなく、シャインに聞いた話である。
その話によれば、確かに彼女の言う通りアストルに向かう道中で盗賊に襲われ、壊された馬車を発見するはずだ。
アレンと出会った辺りがちょうどその馬車が倒れていた場所のはず。
しかし、昨日のように倒れている馬車は見なかった。
見落としたとか、それとも他の要因で馬車がなかったのか……。
「もしかすると俺のせいかも……」
ユーサは少し思案し、思いついたことをアレンに話す。
ラフクエのサイドクエストはワールドクエストと違って個人間で進行度が違う。
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