魔王を倒した勇者だけど帰還して今度はVRMMOに挑みます

六山葵

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双子の魔法使い

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教会の入り口からゴブリンたちがゾロゾロと這い出してくる。

その背中を建物内部から時折漏れ出る怪しい光が照らしていた。

「なんだ?」

ユーサはその光の正体を突き止めようとしたが、残念ながら建物の外からではわからなかった。

「入ってみるしかないね」

隣でアレンが言う。
彼女の視線を追ってみると教会の屋根に窓が付いている。
都合よくガラスが割れていて、音を立てずに忍び込めそうだ。

「よし」

ユーサは頷き、二人を先導した。
ガラスで指を切らないように気をつけながら、音を立てずに着地する。

ここは教会の二階部分のようだ。

崩れ落ちた床の隙間から聖堂を一望できる。

床には埃が溜まっていたが、ユーサは気にせずに顔を近づけた。

「人……か? ローブを見に纏った何かがいる。そいつが、何か儀式みたいなものをしているみたいだ」

床の隙間は一人分しかない。
そこに顔を当ててユーサは他の二人に見えるものを説明した。

聖堂には大きな女神の像がある。
人為的か、それともたまたまそうなったのか。
女神像には首から上がなく、不気味な雰囲気だ。

その像の目の前にローブを着た何者かが立っていて、こちらに背を向けている。
顔はわからない。

彼、あるいは彼女は頭のない女神像に何やら祈りを捧げているようだ。

両手で持った杖をグルグルと振り回し、念仏のような呪文を唱える。

すると女神像が怪しい光を放ち、その周囲を魔法陣が取り囲んだ。

「ゴブリンだ」

ユーサが呟く。

予想通り……いや、ここまで突飛な姿は想像していなかったが、少なくともゴブリンが進行形で出現しているという予想は当たっていた。

何者かの儀式によって放たれる怪しい光はゴブリンを呼び出す儀式だったのだ。

魔法陣からゴブリンが次々と現れ出て、建物の外に進んでいく。

倒しても倒しても数が減らないはずだ。

倒し続けるのとそう変わらない感覚でゴブリンが呼び出されていたのだから。

「おやおや、ネズミがここまで入り込んだようだね」

何者かが怪しく笑い、ゆっくりと振り返る。

しゃがれた声だった。
シワだらけの顔がぐるりと動き天井を見る。

ユーサはゾッとした。
こちらを向いた老婆に目がなかったからだ。

ぽっかりとあいた空洞がジイっとこちらを見ていた。

背筋が凍った。
ゲームなのだから本来はそんなはずがないのだが、ユーサは確かに危険を直感した。

「離れろ!」

床から顔を離し、二人に向けて叫んだがもう遅い。

怪しい光が増して床板から漏れ出ている。

次の瞬間には、床板は脆く崩れ去った。

短い悲鳴。
レイトとアレンのものだ。

ユーサも含めて三人ともが二階から真っ逆様に聖堂に落ちた。

大した高さではない。
大きな怪我もない。

ただ、落ちた場所が問題だった。

「な、なんだよこれ……」

レイトが震えた声を上げる。

倒れ込んだ拍子に手が固い何かに触れたのだ。
痛みを堪えて薄めを開けてみて、初めてその正体に気がついた。

骨だった。

獣の骨か、あるいは人骨か。
判断はできない。できないが、恐怖心が蘇るには足る量の骨が聖堂の床中に広がっていた。

「儀式の触媒か」

腰を抜かしたレイトの肩にそっと手を置き、ユーサが言った。

だが、その目は倒れたレイトにも床に散らばった骨にも向いていない。

見ているのは正面。女神像のある方だった。

「そうさぁ。触媒さ。そこにある骨を使ってゴブリン共を呼び寄せているのさ。そして、その触媒が新たに三人分追加されたのさ」

ユーサの視線の先にいた老婆が笑う。

不気味な笑い声だ。
目がないだけではない。ローブのフードを被っていてよく見えないが、髪の毛もないように見える。

笑う口の中には歯だってない。

相対するユーサにはその老婆が生きている者かどうかもわからなかった。

少なくとも、彼の目には老婆は平均寿命を大きく超えているように見えたのだ。

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