幼馴染に勇者の座を奪われたので俺はこの異世界に叛逆する

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黒神睡蓮と救世光

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『ほらほら、犬は落ちてるものでもおいしそうに食べないとダメなんだぞー』

『ふえぇ。やだよぅ。やめてよぅ。ぼくは犬じゃないよぉ』

 あれは……俺か。
 いつだったかな。すごく小さな時だ。
 昔はいじめられてたな。
 このあとはたしか――

『こらぁー! すいれんをいじめるならわたしが相手になるわよー!』
『げぇっ! ひかりだー! にげろー!』

『まったくもう! ほら、だいじょうぶ?』

『あ、ありがとう。ひかりちゃん』

『いいのよ! いじめられたらいつでもわたしにいってね! 助けてあげるから!』

 光は小さな俺に手を差し伸べている。

 この頃の光は髪が短かったな。
 正義感が強いのは今も変わらないけど。
 そんなだから……

『アンタさぁ。本当に生意気なんだよね? ほら、さっさと死ねよ』

 俺の心を写したかのように場面が変わっていた。
 学校の裏庭で水をかけられている光。

 これはほんの少し前だ。
 光は持ち前の正義感の強さから、いじめられていた少女をかばった。
 それからは光が標的になってしまったんだ。

『あ……っ!』

 今光を見て逡巡してから立ち去ったのが元いじめられていた少女。

『あーあ、かーわいそ。助けたのに簡単に見捨てられちゃうんだから』

 イジメをしている茶髪の少女は光の頭を踏みつけてクスクスと笑っている。

『別に。私が助けたかったから助けただけ。彼女が私を助ける必要はない』

『っ! それが生意気だっつんだよ! そのムカつく目をやめろや!』

 茶髪が光の頭を殴りつける。

『おい。やめろよ』

『く、黒神、くん。や、ヤダなぁ。遊んでただけだよ? 別に黒神くんがどうこう言うことじゃないでしょ?』

『バカかお前。何をしてたかなんて聞いてねぇんだよ。俺がやめろっつってんの』

『ひっ』

 俺が一睨みしただけで、逃げ出す茶髪。
 より強いやつに逆らえない典型的な小物め。

『ほら、光。大丈夫かよ』

『あはは。これじゃ昔とは立場が逆になっちゃったね。ありがと。睡蓮』

 そう。俺、黒神くろかみ 睡蓮すいれんは強くなった。
 神に愛されたように。

 そして。幼馴染、救世くぜ ひかりは弱くなった。
 世界に嫌われたように。

 ただ、それは地球という枠組みの中の話だった。

 あの日、世界は一変した。
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