ダンジョンクリエイター~魔王に転生したけど、興味ないので迷宮経営する~

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第1章

第4話 えるしっているか。

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 次のお客様は、先程の少年よりも腕のたちそうな人達。
 精悍な顔をした男が一人と、少しオドオドした女が一人。

「おい、これが新しく出来たダンジョンか?」

「はい。入場料は銅貨1枚になります」

「金を取るのか? たまにあるよな、こういうダンジョンを使った商売。くれぐれも外に出てきた魔物に食い殺されるなんていう、間抜けな死に方をしない様に気を付けるんだな」

 フッと笑って銅貨を2枚、机に置くお兄さん。
 中々場数を踏んでんのかな?

「おい、行くぞ。くれぐれも足を引っ張らない様にな?」

「は、はい! わかりました!」

 先を歩くお兄さんに着いていくお姉さん。
 お姉さんの方は新米冒険者かな?

 お兄さんは剣士、お姉さんは魔術師って感じの格好をしてる。

 お兄さんとお姉さんが迷宮の入り口に立った。

「ん? これは……おい、気を付けろよ。ここに落とし穴のトラップがある。恐らくは、2mあるかないかだから、飛び越えて行くぞ」

「え!? こんな入り口にですか!?」

「あぁ、ここらの石が不自然だ。恐らく前回誰か落ちてから、そんなに時間も経ってないんだろう。助かったな。とんだ初見殺しだぜ、全く」

「は、はい! そんな些細な事に気付くなんて流石ですね!」

 おぉー。
 お兄さんが落とし穴に気付いた。
 中々やるねぇ。

「んじゃ、取り敢えず、俺が先に跳ぶから、次にお前が跳んで来い! 受け止めてやるから」

「は、はい!」

 お兄さんは助走をつけて、素晴らしい体捌きで落とし穴を飛び越える。
 無事着地した。
 動きも中々だね。
 どこまで行けるかなぁ?
 楽しませてほしい。

「ほら! 来い! ビビんなくても大丈夫だよ。これくらいなら跳べるだろ?」

「は、はいぃ!」

 お姉さんは、ビビってる様だ。
 跳ぼうとして止め、跳ぼうとして止め、を繰り返してる。
 あ、お兄さんがちょっとイライラしてる。

「おい! 大丈夫だよ! ほら、いつもみたいに俺の胸に飛び込んでこいよ!」

 お姉さんがビクッてなった。
 この二人ってそういう関係?

「は、はい!」

 お姉さんが意を決した様に、助走を深く取る。
 お、やっと跳ぶのかな?
 頑張れお姉さん!

 お姉さんは助走をつけて……
 跳んだ!
 おぉ! やったね!
 ガシッとお兄さんがお姉さんを受け止めた。
 パチパチパチ。

「ホラな? 跳べただろ? お前は何でもビビり過ぎなんだよ」

「は、はいぃ」

 お姉さんは腰を抜かした様に、ヘナヘナとへたりこんでしまった。

「おいおい、まだ入り口だぞ? 仕方ない。ほれ」

 お兄さんはしゃがみこむ。

「背負ってやるから。魔物が出たら、降りて戦えよ?」

「は、はいぃ!」

 お兄さんにおぶさるお姉さん。
 中々良い人間ドラマだねぇ。

 そしてお兄さんは一歩、二歩と足を踏み出した。
 ここから彼等の冒険は本番だ。
 頑張れ!












 黄泉路を。
 三歩目で、落ちた。













「は?」

 間抜けな声を出してお兄さんが落ちる。
 俺はそのまま二人共落ちると思った。
 しかし予想外の事は起こるものだ。

 お姉さんが落とし穴の入り口に手をかけていたのだ。
 ぶら下がるお姉さん。

「お、おい! 手を放すなよ!? 落ちちまうからな!?」

 お兄さんは、必死の形相で、お姉さんの足を掴んでいる。
 お姉さんも、顔を真っ赤にしてしがみついている。
 おぉ、ここからどうなるかな?
 ワクワクするね。

 ここで更に面白い事が起きた。

「何言ってるのよ! 早く離しなさいよ! 私まで落ちちゃうじゃない!」

「は!? ふざけるなよ! ここまでお前を連れてきてやったのは誰だと思ってんだ! それにお前は俺に惚れてるんだろ!? なら俺を助けろよ!」

 お姉さんが変貌した。
 おっとりしてオドオドしていたお姉さんが声を荒げている。
 人間って極限にならないと解らないもんだね。
 あ、とうとうお兄さんを蹴りだした。

「何言ってるのよ! 私はちょっと前からアンタの事が気に入らなかったのよ! ちょっと腕が立つからって偉そうにして! 何を勘違いしてるのか、レイプ紛いの事をして、私が何も言わないからって毎晩毎晩!」

 おぉ。
 そういうことか。
 ゲスいなー。

 にしても、人間って怖いなー。
 そんな不毛なやり取りをするお兄さんとお姉さん。
 とうとう動きがあった。

 あ、お兄さんが落ちた。

「くそがあああああ! ふざけるなよこの女ああああああああ!」

 お兄さんはそのまま落ちていった。
 ドンマイ。

「ふん! いい気味よ! 私は死なないんだから! んー!」

 お、お姉さんが上がってこようとしてる。
 頑張れお姉さん!
 負けるなお姉さん!
 これからお姉さんは幸せになれるよきっと!











 天国で。

「え?」

 お姉さんの身体がガクンッと揺れた。
 お姉さんの持ってたバッグに引っ掛かってるものがある。
 お兄さんの腰に下げてたロープだ。
 冒険者たるもの緊急時のロープは必要だよね。
 うんうん。
 まぁそれが仇になったけどね。

「いやああああああああ――」

 お姉さんはそのまま落ちていった。
 死神は、何処から手を引いているか解らないから、気を付けてね。
 あー、人間って面白っ!
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