72 / 87
第四王道『異世界にトリップ、てきな? Ⅱ』
6-2
しおりを挟む~*~
律子の猛攻には驚いたけれど、彼女のおかげて先輩が少し変わった。以前よりも触れさせてくれる回数が増えたのだ。
盗撮の心配がある先輩の家には行けなくなったけれど、ラブホテルなら安心してできるからと、先輩の方から誘ってくれるようになった。
『律子の言うことにも一理ある。若い君が、溜め込むのは良くないだろう』
先輩が抱かれる覚悟を決めてくれたのかと、思ったけれど。真面目な先輩は、一歩一歩、俺を受け入れる練習がしたいと言った。そもそも、先輩は自慰をしないと言う。それにどれだけ驚いたことか。
脱衣所で服を脱ぐと、先輩が待っている浴室へ入っていく。照明はやや暗め、湯気で蔭る浴室内ではもう、浴槽に沈んだ先輩が待っていた。
俺もきちんと体を洗った。歯磨きは済ませている。頭の先から爪先まで綺麗になった俺をじっと見ていた先輩が、無防備に立ち上がっている。
律子にいつも見られているせいか、先輩は隠す、という行為がほとんど見られない。色っぽい体と、ずっと室内に漂っている甘いアロマの香りに誘われるように、体を滑り降りていく滴もろとも抱き締めた。
「今日はどうしようか?」
「そうですね……できれば色々と触りたいです」
「色々? 具体的には?」
「えっと、全部、です。例えばここ、とか。ここも……」
引き締まったお尻と、張っている胸板に触れた。怪訝そうな顔に怯んではいけない。
「女性ならともなく、男の尻と胸を揉む理由が分からない」
「先輩も触ってみて下さい。俺達、相手のここばっか触って出してたけど、今日はたっぷり時間を掛けて興奮しましょう!」
「興奮しているのは君だろう?」
もう、俺のはちょっと反応している。一方、先輩のはしんなりしたままだ。
だが、俺はめげない。先輩が感じる、一定の法則をこの前やっと見つけたのだ。
基本、先輩は触っただけでは駄目だ。そもそも、男に触られて何が楽しい、という意識が強い。
その意識を崩す方法がある。それには先輩の協力も不可欠だった。
「ね? ディープキスは我慢します。ただ……」
首筋に唇で触れると、そのまま胸を下っていく。全く反応していない胸の突起を唇に含むと舌先で転がした。
これでも反応はないはずだ。しんなりしている先輩のモノ。俺の後頭部を見つめているであろう先輩を意識しながら、膝立ちになると自分のモノを握った。
「先輩……」
先輩の目を見上げながら自身を擦った。そのまま割れている腹筋に顔を埋めていく。空いた手で引き締まった尻に手を回し、掴まることでバランスを保った。
埋めている腹筋がヒクつき始めている。先輩の匂いと、甘いアロマの匂いに、先に達した。
「……はぁ……先輩」
腹筋から顔を離して確認した。
やっぱり。
「横になって、先輩。今日は俺、めちゃくちゃ触りたい」
「はぎの……君!」
今にも崩れ落ちそうな先輩を支えながら浴室の床に寝かせた。ベッドに連れていきたいけれど、そうすると汚れることを嫌う先輩はすぐにしんなりしてしまう。
ここは風呂場で汚れはすぐに落とせ、妹の盗撮の心配はなくて、甘いアロマの香りでトロトロになっている先輩なら落とせる。
「……キスは……駄目だよ?」
「はい。ここは、もっと練習してからですね」
薄くて大きな唇へのキスは我慢する。触れれば最後、サキイカに負けてしまう。
唇の代わりに親指でなぞってみた。少し潤んだ黒い瞳に俺のがまた元気になってしまう。同じくらい元気になっている先輩のモノと一緒に握りしめた。
「顔に掛けたら投げ飛ばすから」
「しませんよ、そんなこと」
律子の漫画のシーンにあるのだろう。苦笑しながら両手で握ると刺激を与えていく。仰向けになっている先輩に半分覆い被さりながら、首筋にキスをした。
唇以外のキスは受け入れてくれる。先輩は、先輩だけでは興奮できない。
先輩は、俺がイク顔を見ると興奮する。
視線がずっと、俺の顔に注がれているのを感じる。次第に息が乱れていく先輩に、俺も興奮が最高潮に達しそうだ。
「素股……したいです」
お願いすれば頷いてくれた。互いに横向きになると、先輩の背後から抱き締めた。引き締まった太ももの間にお邪魔する。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
起きたらオメガバースの世界になっていました
さくら優
BL
眞野新はテレビのニュースを見て驚愕する。当たり前のように報道される同性同士の芸能人の結婚。飛び交うα、Ωといった言葉。どうして、なんで急にオメガバースの世界になってしまったのか。
しかもその夜、誘われていた合コンに行くと、そこにいたのは女の子ではなくイケメンαのグループで――。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる