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余談2.人間不信の兄が、妹離れを決意するまで
9(終).兄から見る、妹の幸せ
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アルバートが屋敷に侵入し、リリィが襲われた日から数日。ルヴェール邸では、警察隊が頻繁に出入りして実況見分や使用人、護衛達への聞き取り調査が行われ。その後にルヴェール家からの方でもヒアリングや再発防止の話し合いが行われていたから、屋敷中がバタバタとしていた。それが落ち着いたのは、それから半月経った頃で。
療養先であるクラーク邸からリリィが帰ってきたのは、そこからまた三日後のことだった。
「ああ、リリィ。帰っていたのかい」
夕方に警察隊の仕事から帰れば、いつも通り書斎でリリィが本を読んでいて。
「昼頃に。ただいま帰りました、お兄様」
その笑顔は、数日前一時的に帰宅した時よりも顔色が良くなっていて。アルバートに襲われた日よりも、随分と体調が快復しているようだ。
「調子、戻ってきたみたいだね」
「ええ、ジュードのお陰で」
リリィは、そう照れたように笑う。
彼女からのジュードの呼び方が〝ジュード様〟から〝ジュード〟へと変わったのは、あのアルバートが侵入してきた日だ。長いこと思い出せていなかったジュードのことを、ようやく思い出したらしい。直前までの悲しそうな顔は影も形もなくなり、すっかりと笑顔になっていて。
「……そのドレスも、ジュードからの贈り物かい?」
彼女が着ているのはここから持っていったものではない、見慣れないドレスだった。それを言えば、リリィは困ったように笑って。
「まだ、首の痕が目立つので……」
確かに、そのドレスはタートルネックになっているから首元は見えない。さらに言えば露出もないから、未だに彼女の体に刻まれている傷跡も全てドレスの中に隠れることが出来ている。ジュードはそれも意図してこのドレスを贈ったのだろうけれど、しかしそれらだけが理由ではないのだろう。
実際それはリリィによく似合っているし、そのデザインは今社交界で流行しているものだ。機能面でも、またデザイン面でも彼女のことを考えて贈ったのだとわかる。
まあ、贈られた当の本人は鈍感なようでそれに気付いてはいないようだけれど。
「似合っているよ」
それはリリィに対しての賞賛でもあるし、この場にいないジュードに対しての賞賛でもあった。
「……そうだといいんですけど」
夕日の逆光の中、リリィの頬が照れたように赤くなっているのが見えて。
どうやらもう、二人の関係は元に戻っていっているようで。これからは、戻るどころか先に進んでいく一方だろう。
嬉しさもあるけれど、やっぱり寂しさもある。もう少し、ゆっくり、長く、その成長を見届けていきたかったのだけれど。
「……リリィ。僕からもひとつ贈り物だ。手を出してくれるかな?」
「えっ……は、はい」
戸惑いながらも差し出されたリリィの右手。アンドリューはそこに、あのカメオのブローチを置いた。
もう彼女は覚えていないだろうか。毒草の効果でなくとも、もうこれを贈ったのは彼女が四歳の頃だったから。十八年という時の流れの中で、このブローチの存在が薄れてしまっているかもしれない。
しかしそんなアンドリューの心配は───
「あ……これ……」
大きく見開かれたその瞳で消え去った。覚えているのだろう、きっと。それが朧気なものか、はっきりとしたものかはわからないけれど。
「どうして……」
その目から、小さな宝石が零れた。
このブローチを取り戻せた経緯は、彼女に話すつもりはない。何も知らなくていいのだ、彼女は。ただ自分の、妹想いで綺麗な部分だけ知ってくれていればいい。
だからアンドリューは、返事の代わりにブローチを握り込ませ、その手に自分の手を添えた。
「忘れないで、リリィ。僕はいつでも……いつまでも、君の味方だからね」
妹には幸せでいてほしい。それはいつまで経っても変わらない、自分の気持ちなのだから。
~*~*~*~
屋敷にリリィが帰ってきてから、前程ではないもののジュードは休日毎にルヴェール邸へ訪れていた。
頻度が減った理由だって、リリィの体調が付きっきりで診ていなくても大丈夫なくらい快復したのと、ジュードが仕事に完全復帰するようになったからで。
今はルヴェール邸へジュードが来るだけとなっているけれど、そのうち昔のようにお互いの屋敷を行き来したり、街の方へ出かけていくのだろう。それぞれの領地はほぼ隣合っている利点だ。
リリィはそもそも、普通の人生を歩んでいればこんな通い婚状態の婚約関係ではなく、デビュタントも終えて婚約者の屋敷で住んでいてもおかしくない年齢なのだ。それを考えたらやっぱり、八年間の空白が奪っていったものはあまりにも多過ぎる。
(ああ、今日も来ているんだ)
稽古場から部屋に戻る途中、中庭でジュードとリリィが楽しげに歩いているのが見えた。
ジュードは中々休みが取れそうにない程、医療棟でも領の方でも仕事があると言われていたのだけれど。しかし、想定より頻繁に休める日が出来ているらしい。それでもきちんと仕事はこなしているようだから、これも愛の力というやつだろうか。
仲睦まじく寄り添い歩く二人が何を話しているか、アンドリューがいる位置からではわからないけれど。しかしそれでも、楽しそうに話しているのはわかる。
(あんな顔、久しぶりに見たな……)
リリィもそうだけれど、ジュードの方もだ。リリィがいなかった八年間、思えば眉間にシワを寄せている表情しか見ていなかった気がする。昔の表情をしっているから、彼が王宮内や周りの貴族達から〝冷たい男〟だなんて言われている意味がわかっていなかったけれど。これを見てしまえばなるほど、確かにリリィに対してのものに比べてしまえば冷たいと思われるだろう。
リリィの方もそうだ。自分や他の人間には決して向けたことがない笑顔をジュードに向けていて。その表情は、心を閉じしていた子供の頃に見せていたものや、あの男爵家から救出された直後に見せていたものの面影はもうなくなっている。
きっとあれが、お互いにしか見せない二人だけの表情なのだろう。それは、二人が婚約する前後によく見ていたものだ。
「よかったね、リリィ」
これでもう、彼女を脅かすものも不安にさせるものもなくなった。あとはジュードと、幸せになるだけだ。
そんな彼女の未来に、今のまま自分がいてはいけない。
(相変わらず、僕は成長していないなぁ……)
妹のことを離し難い。否、違うか。妹が離れていってしまうのが、どうしたって寂しいし嫌なのだ。十年間、傍で見守ってきた妹と。八年間、捜し続けてようやく帰ってきた妹と。
八年間の空白は、あまりにも長過ぎた。お陰で、妹離れの決心も付けられないままその時を迎えそうじゃないか。
「……でも、もう少しだけ許しておくれ。そうしたらちゃんと、見送るから」
リリィがルヴェール邸に留まっている理由は、ほぼこちら側の都合だ。デビュタントとか、また一通りの教育とか、あとは家族の団欒とか。まだもう少し、彼女といられる時間はある。
その間に自分も、見送る決心をしなければならない。
何、大丈夫だ。リリィがジュードに笑顔を向けているのを見てももう、悔しさとか焦りや不安は感じない。
彼になら妹を託せると、もう認めているしわかっているから。
「リリィを頼んだよ、ジュード」
アンドリューは、リリィの幸せを何よりも願っている。そして彼女に一番の幸せを与えることが出来るのは、ジュードしかいないのだから。
それでも少しの寂しさを抱えながら、アンドリューは中庭の二人に背中を向けて自分の部屋へと足を向けた。
療養先であるクラーク邸からリリィが帰ってきたのは、そこからまた三日後のことだった。
「ああ、リリィ。帰っていたのかい」
夕方に警察隊の仕事から帰れば、いつも通り書斎でリリィが本を読んでいて。
「昼頃に。ただいま帰りました、お兄様」
その笑顔は、数日前一時的に帰宅した時よりも顔色が良くなっていて。アルバートに襲われた日よりも、随分と体調が快復しているようだ。
「調子、戻ってきたみたいだね」
「ええ、ジュードのお陰で」
リリィは、そう照れたように笑う。
彼女からのジュードの呼び方が〝ジュード様〟から〝ジュード〟へと変わったのは、あのアルバートが侵入してきた日だ。長いこと思い出せていなかったジュードのことを、ようやく思い出したらしい。直前までの悲しそうな顔は影も形もなくなり、すっかりと笑顔になっていて。
「……そのドレスも、ジュードからの贈り物かい?」
彼女が着ているのはここから持っていったものではない、見慣れないドレスだった。それを言えば、リリィは困ったように笑って。
「まだ、首の痕が目立つので……」
確かに、そのドレスはタートルネックになっているから首元は見えない。さらに言えば露出もないから、未だに彼女の体に刻まれている傷跡も全てドレスの中に隠れることが出来ている。ジュードはそれも意図してこのドレスを贈ったのだろうけれど、しかしそれらだけが理由ではないのだろう。
実際それはリリィによく似合っているし、そのデザインは今社交界で流行しているものだ。機能面でも、またデザイン面でも彼女のことを考えて贈ったのだとわかる。
まあ、贈られた当の本人は鈍感なようでそれに気付いてはいないようだけれど。
「似合っているよ」
それはリリィに対しての賞賛でもあるし、この場にいないジュードに対しての賞賛でもあった。
「……そうだといいんですけど」
夕日の逆光の中、リリィの頬が照れたように赤くなっているのが見えて。
どうやらもう、二人の関係は元に戻っていっているようで。これからは、戻るどころか先に進んでいく一方だろう。
嬉しさもあるけれど、やっぱり寂しさもある。もう少し、ゆっくり、長く、その成長を見届けていきたかったのだけれど。
「……リリィ。僕からもひとつ贈り物だ。手を出してくれるかな?」
「えっ……は、はい」
戸惑いながらも差し出されたリリィの右手。アンドリューはそこに、あのカメオのブローチを置いた。
もう彼女は覚えていないだろうか。毒草の効果でなくとも、もうこれを贈ったのは彼女が四歳の頃だったから。十八年という時の流れの中で、このブローチの存在が薄れてしまっているかもしれない。
しかしそんなアンドリューの心配は───
「あ……これ……」
大きく見開かれたその瞳で消え去った。覚えているのだろう、きっと。それが朧気なものか、はっきりとしたものかはわからないけれど。
「どうして……」
その目から、小さな宝石が零れた。
このブローチを取り戻せた経緯は、彼女に話すつもりはない。何も知らなくていいのだ、彼女は。ただ自分の、妹想いで綺麗な部分だけ知ってくれていればいい。
だからアンドリューは、返事の代わりにブローチを握り込ませ、その手に自分の手を添えた。
「忘れないで、リリィ。僕はいつでも……いつまでも、君の味方だからね」
妹には幸せでいてほしい。それはいつまで経っても変わらない、自分の気持ちなのだから。
~*~*~*~
屋敷にリリィが帰ってきてから、前程ではないもののジュードは休日毎にルヴェール邸へ訪れていた。
頻度が減った理由だって、リリィの体調が付きっきりで診ていなくても大丈夫なくらい快復したのと、ジュードが仕事に完全復帰するようになったからで。
今はルヴェール邸へジュードが来るだけとなっているけれど、そのうち昔のようにお互いの屋敷を行き来したり、街の方へ出かけていくのだろう。それぞれの領地はほぼ隣合っている利点だ。
リリィはそもそも、普通の人生を歩んでいればこんな通い婚状態の婚約関係ではなく、デビュタントも終えて婚約者の屋敷で住んでいてもおかしくない年齢なのだ。それを考えたらやっぱり、八年間の空白が奪っていったものはあまりにも多過ぎる。
(ああ、今日も来ているんだ)
稽古場から部屋に戻る途中、中庭でジュードとリリィが楽しげに歩いているのが見えた。
ジュードは中々休みが取れそうにない程、医療棟でも領の方でも仕事があると言われていたのだけれど。しかし、想定より頻繁に休める日が出来ているらしい。それでもきちんと仕事はこなしているようだから、これも愛の力というやつだろうか。
仲睦まじく寄り添い歩く二人が何を話しているか、アンドリューがいる位置からではわからないけれど。しかしそれでも、楽しそうに話しているのはわかる。
(あんな顔、久しぶりに見たな……)
リリィもそうだけれど、ジュードの方もだ。リリィがいなかった八年間、思えば眉間にシワを寄せている表情しか見ていなかった気がする。昔の表情をしっているから、彼が王宮内や周りの貴族達から〝冷たい男〟だなんて言われている意味がわかっていなかったけれど。これを見てしまえばなるほど、確かにリリィに対してのものに比べてしまえば冷たいと思われるだろう。
リリィの方もそうだ。自分や他の人間には決して向けたことがない笑顔をジュードに向けていて。その表情は、心を閉じしていた子供の頃に見せていたものや、あの男爵家から救出された直後に見せていたものの面影はもうなくなっている。
きっとあれが、お互いにしか見せない二人だけの表情なのだろう。それは、二人が婚約する前後によく見ていたものだ。
「よかったね、リリィ」
これでもう、彼女を脅かすものも不安にさせるものもなくなった。あとはジュードと、幸せになるだけだ。
そんな彼女の未来に、今のまま自分がいてはいけない。
(相変わらず、僕は成長していないなぁ……)
妹のことを離し難い。否、違うか。妹が離れていってしまうのが、どうしたって寂しいし嫌なのだ。十年間、傍で見守ってきた妹と。八年間、捜し続けてようやく帰ってきた妹と。
八年間の空白は、あまりにも長過ぎた。お陰で、妹離れの決心も付けられないままその時を迎えそうじゃないか。
「……でも、もう少しだけ許しておくれ。そうしたらちゃんと、見送るから」
リリィがルヴェール邸に留まっている理由は、ほぼこちら側の都合だ。デビュタントとか、また一通りの教育とか、あとは家族の団欒とか。まだもう少し、彼女といられる時間はある。
その間に自分も、見送る決心をしなければならない。
何、大丈夫だ。リリィがジュードに笑顔を向けているのを見てももう、悔しさとか焦りや不安は感じない。
彼になら妹を託せると、もう認めているしわかっているから。
「リリィを頼んだよ、ジュード」
アンドリューは、リリィの幸せを何よりも願っている。そして彼女に一番の幸せを与えることが出来るのは、ジュードしかいないのだから。
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