【完結】カフェ店長は年下ネコに溺愛される~拾った夜から甘く攻められ溺れていく~

はなたろう

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21. 結ばれた夜

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​タクシーから部屋まで運び込んだソラを、俺はベッドにそっと寝かせる。

​泥酔しているソラは、力なく横たわり、白いシャツからのぞく肌は、夜の光の中で艶めかしい輝きを放っていた。はだけた胸元、細く長い首筋。その全てが、俺の眼球に焼き付く。


​この身体が、昼間、あの男に抱かれていたのか?


​梨夏との事実とは、まったく異なる種類の、純粋な独占欲と嫉妬が、俺の心を黒く染め上げていく。

俺がずっと見て見ぬふりをしてきた、ソラへの本質的な渇望が、理性の堤防を打ち破ろうとしていた。


​「んん……ケイ……」


​ソラがうわ言のように俺の名前を呼んだ。その声が、俺の最後の箍を外した。抑え込んできたものが、熱い衝動となって俺を突き動かした。

​俺はソラに覆いかぶさった。


​「んっ」


​サクラ色の唇に引き寄せられる。

微かに残るタバコの香りがした。あの店、知らない男の匂い。その香りが、さらに俺の嫉妬心を煽り、行動を加速させる。

​衝動的に自分の唇を重ねた。

無理矢理こじ開け、柔らかい場所を深く探る。


​「あ、ん……、ケイ?」


​ソラの潤んだグレーの瞳が、独占欲の塊みたいな俺を写す。その瞳には、驚きと期待が混ざっているのを感じ、背徳感を覚えながらも、俺は止められなかった。


​「誰が誰を好きだって? 俺に教えろよ」


​俺はソラを強く抱きしめ、自分の存在を証明するように、ソラの肌に触れた。ソラが誰の理想を演じようと関係ない。この身体は、今、俺の腕の中にいる。俺だけのものだ。


​「……っ!」


​ソラは身体を震わせると、俺の背中に腕を回した。

そして、俺のキスを受け入れる。唇が離れても、すぐにせがむように引き寄せられる。


​長く深いキスの後、酔いから意識の戻ったソラの視線とぶつかる。もう逃げられない。


​「ソラ、抱いてもいいか?」

​「いやだな、このタイミングで聞かないでよ」


ソラのシャツはとっくに床の上に投げ捨てられている。


「そうだな。それに、ダメと言われても、もう俺が無理だしな」

「嬉しいよ、でも……」


​待ち望んでいたものを求めるように、真っ直ぐに俺を見つめていた。


​「怖くないの?」


​不意にソラが聞く。


​「そうだな。本当は少し……な」


​正直な気持ちを打ち明けると、ソラは優しく微笑んだ。


​「ケイのそういうところが、僕はたまらなく愛おしい」


​ソラの胸に抱きしめられる。トクン、トクンと規則正しく聴こえる鼓動。それは、俺の心臓の音より、遥かに確かな安堵を与えてくれた。


​「好きだよ、ケイ」

​「俺もだ、ソラ」


ずっと欲しがっていた夜は、こうして訪れた。


​肌と肌が触れ合うたびに、互いの孤独が埋まっていくのを感じた。


​「僕、ずっと、こんな日が来ることを、夢見てた」


​ソラが耳元で甘い吐息を漏らす。その一つ一つが、俺の理性を溶かしていく。


​「はじめて会ったときから、ずっとね」


​その言葉の切実さが、俺の心を締め付けた。こんなにも純粋な愛情を、俺は疑い、遠ざけようとしてきたのか。


​「好きだ」


​俺はもう一度、言葉にした。

​ソラは、俺の言葉に、嬉しそうに微笑んだ。その瞳には、今、この世界で俺しか映っていなかった。

​俺は、彼の唇に再び口づけをした。今度は、もっと深く、もっと熱く。まるで、俺のすべてをソラに捧げ、彼の孤独を丸ごと受け止めるように。


​「ケイ……」


​その声は、この世界で一番甘く、俺の魂を震わせた。


​朝がこなければいいと思えるほど、どこまでも甘く、そして、俺たちの人生を決定づける夜だった。
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