4 / 10
#1 酔った彼女を持ち帰り
4話 〈アイドルを翻弄させる♀〉
しおりを挟む
「ねぇ、してあげようか?」
2人仲良く湯船に入ってすぐ、美咲がおもむろに口を開く。
「え、それって」
ナニをどうしてくれるってこと?
はじめて抱いた日は、とにかく緊張してカチコチだったから、美咲の気持ちを大事にした。少しずつ時間をかけて、プレゼントのリボンを取るような気分だった。
今まで、それなりに経験をしてきたけれど、あんなに優しく女性を抱いたことなんか無かった。
慈しむっていう言葉は、本当にあるんだな。
こういう気持ちや体験は、俳優としての仕事にもプラスになるんだろう。
『恋愛はたくさんした方がいい。それは、人数による経験値のことではくてね』
大御所の俳優が言っていた言葉を思い出した。
その日は、俺に心と身体を許してくれたのが嬉しかったから、自分の欲望や快楽なんて、考えもしなかった。今思い返しても、なんて紳士的なセックスだったのだろう。
その甲斐があっての今なのだろうか。
「してくれるの?」
「うん、いいよ。私、上手だよ」
それは、全男が昇天するレベルに悦ぶセリフじゃないか?
それとも、わざと挑発しているのか。いやもう、酔っててもなんでもいいか。
「でも、その、私にも、してくれる?」
今にもお湯に顔が沈みそうなほど、うつむいて、ポツリと美咲が言った。
なんて、可愛いおねだりなんだろう。
バシャン!
「きゃ!」
思わず後ろから抱き締めた。浴槽からお湯が溢れる。
「いいよ。美咲が望むことなら、なんだって、何度だってしてあげる」
恥ずかしいことも、格好悪いところも、身も心もさらけ出して欲しい。全部を受け止める気持ちでいるのだから。
◆◆◆
「気持ちいい?」
「うん、すごい、気持ちいい」
美咲は目を閉じてうっとりしている。
「あーーん、そこそこ!」
「はいはい、ここですね」
右耳の後を少し強めにかいてやる。
まったく、自分で言うのもなんだが、今や国民的人気アイドルとなった、dulcis〈ドゥルキス〉のコウキに、髪を洗ってもらえる女なんて、世界中探しても、ここに1人しかいないんだぞ。
世界。そう、今年は初の海外ツアーも計画だったな。
邪なことを期待したのがいけないのか?いや、素っ裸の男女が風呂でやることなんて、あれかこれか、それぐらいだろう。
髪を洗い合うって、なんのプレイだよ。しかも、宣言通り、美咲のシャンプーは上手かった。
「はい、流しますヨーー」
シャンプーを流したあとは、トリートメントだ!黒髪サラサラヘアのジュンがCMをしてバカ売れしているらしい、海外ブランドの高級トリートメントをたっぷり付けてやる。
もうすっかり、俺のムスコは意気消沈だったが、これはこれで仲良くできて、楽しい時間かもしれない。
「お風呂出たら、しようね」
「あ、なに?」
トリートメントを流してやりながら、もう騙されないという、強い気持ちで返す。
「次はドライヤーだろ?髪の乾かし合いでもするか?」
「すごーーい、コウキよく分かるね」
無邪気に笑う。その胸に、もう一度かじりついてやろうかな。
「化粧も落とすよ?このまま寝たら、肌荒れするからな」
アイドルは顔と身体が資本。美容マニアのアラタほどではないが、俺も最低限は気にしている。
美咲の顔にクレンジングを塗ってやった。ついでに自分も。こんなこと、女性にやったことない。
そういえば、美咲の素顔を見るのは初めてだな。この前は泊まらずに帰ってしまったから。いつも薄化粧だから、そんなに変わらないか。
アイシャドウもマスカラも取れた素顔は、なんだか幼くなったか?
「ふ、可愛い」
「え?なに?」
これはこれで、そそられる。
「なんでもないよ。ほら、暖まってから出よう」
チャプンとお湯が音を立てる。なんでもない音さえ特別に愛おしく感じる。
風呂から上がったら、メンバーに誕生日プレゼントでもらった、最新のマイナスイオンが出るドライヤーで、髪を乾かしてあげる。速乾うるツヤのお気に入りアイテムだ。
そして、アラタのプロデュースした化粧水と美容液で肌を保湿だ。
「さっぱりしたね」
バスルームから脱衣場に出る。
美咲の髪をタオルで拭いていると、酔ってか湯にのぼせたのか、ふらつきそうになるようで、俺の腰にしっかりと両腕をまわしてくる。少し濡れた、火照った裸の素肌が触れ合うのは、浴槽の中とは違って生々しい。
「ねぇねぇ、コウキ」
甘えた声で呼ばれる。
「なんですか、お姫様」
「ベッドで、ちゃんとしようね」
「ん?」
今度はなんだ。枕投げか?いいだろう、修学旅行以来だが、この際だ。しっかり応戦しよう。
「えっち、したい」
はぁ。
最上級にかわいいことを言う口を、俺は自分の口で塞いでやった。
まだまだ夜は長そうだ。
2人仲良く湯船に入ってすぐ、美咲がおもむろに口を開く。
「え、それって」
ナニをどうしてくれるってこと?
はじめて抱いた日は、とにかく緊張してカチコチだったから、美咲の気持ちを大事にした。少しずつ時間をかけて、プレゼントのリボンを取るような気分だった。
今まで、それなりに経験をしてきたけれど、あんなに優しく女性を抱いたことなんか無かった。
慈しむっていう言葉は、本当にあるんだな。
こういう気持ちや体験は、俳優としての仕事にもプラスになるんだろう。
『恋愛はたくさんした方がいい。それは、人数による経験値のことではくてね』
大御所の俳優が言っていた言葉を思い出した。
その日は、俺に心と身体を許してくれたのが嬉しかったから、自分の欲望や快楽なんて、考えもしなかった。今思い返しても、なんて紳士的なセックスだったのだろう。
その甲斐があっての今なのだろうか。
「してくれるの?」
「うん、いいよ。私、上手だよ」
それは、全男が昇天するレベルに悦ぶセリフじゃないか?
それとも、わざと挑発しているのか。いやもう、酔っててもなんでもいいか。
「でも、その、私にも、してくれる?」
今にもお湯に顔が沈みそうなほど、うつむいて、ポツリと美咲が言った。
なんて、可愛いおねだりなんだろう。
バシャン!
「きゃ!」
思わず後ろから抱き締めた。浴槽からお湯が溢れる。
「いいよ。美咲が望むことなら、なんだって、何度だってしてあげる」
恥ずかしいことも、格好悪いところも、身も心もさらけ出して欲しい。全部を受け止める気持ちでいるのだから。
◆◆◆
「気持ちいい?」
「うん、すごい、気持ちいい」
美咲は目を閉じてうっとりしている。
「あーーん、そこそこ!」
「はいはい、ここですね」
右耳の後を少し強めにかいてやる。
まったく、自分で言うのもなんだが、今や国民的人気アイドルとなった、dulcis〈ドゥルキス〉のコウキに、髪を洗ってもらえる女なんて、世界中探しても、ここに1人しかいないんだぞ。
世界。そう、今年は初の海外ツアーも計画だったな。
邪なことを期待したのがいけないのか?いや、素っ裸の男女が風呂でやることなんて、あれかこれか、それぐらいだろう。
髪を洗い合うって、なんのプレイだよ。しかも、宣言通り、美咲のシャンプーは上手かった。
「はい、流しますヨーー」
シャンプーを流したあとは、トリートメントだ!黒髪サラサラヘアのジュンがCMをしてバカ売れしているらしい、海外ブランドの高級トリートメントをたっぷり付けてやる。
もうすっかり、俺のムスコは意気消沈だったが、これはこれで仲良くできて、楽しい時間かもしれない。
「お風呂出たら、しようね」
「あ、なに?」
トリートメントを流してやりながら、もう騙されないという、強い気持ちで返す。
「次はドライヤーだろ?髪の乾かし合いでもするか?」
「すごーーい、コウキよく分かるね」
無邪気に笑う。その胸に、もう一度かじりついてやろうかな。
「化粧も落とすよ?このまま寝たら、肌荒れするからな」
アイドルは顔と身体が資本。美容マニアのアラタほどではないが、俺も最低限は気にしている。
美咲の顔にクレンジングを塗ってやった。ついでに自分も。こんなこと、女性にやったことない。
そういえば、美咲の素顔を見るのは初めてだな。この前は泊まらずに帰ってしまったから。いつも薄化粧だから、そんなに変わらないか。
アイシャドウもマスカラも取れた素顔は、なんだか幼くなったか?
「ふ、可愛い」
「え?なに?」
これはこれで、そそられる。
「なんでもないよ。ほら、暖まってから出よう」
チャプンとお湯が音を立てる。なんでもない音さえ特別に愛おしく感じる。
風呂から上がったら、メンバーに誕生日プレゼントでもらった、最新のマイナスイオンが出るドライヤーで、髪を乾かしてあげる。速乾うるツヤのお気に入りアイテムだ。
そして、アラタのプロデュースした化粧水と美容液で肌を保湿だ。
「さっぱりしたね」
バスルームから脱衣場に出る。
美咲の髪をタオルで拭いていると、酔ってか湯にのぼせたのか、ふらつきそうになるようで、俺の腰にしっかりと両腕をまわしてくる。少し濡れた、火照った裸の素肌が触れ合うのは、浴槽の中とは違って生々しい。
「ねぇねぇ、コウキ」
甘えた声で呼ばれる。
「なんですか、お姫様」
「ベッドで、ちゃんとしようね」
「ん?」
今度はなんだ。枕投げか?いいだろう、修学旅行以来だが、この際だ。しっかり応戦しよう。
「えっち、したい」
はぁ。
最上級にかわいいことを言う口を、俺は自分の口で塞いでやった。
まだまだ夜は長そうだ。
17
あなたにおすすめの小説
国宝級イケメンとのキスは、最上級に甘いドルチェみたいに私をとろけさせます♡ 〈Dulcisシリーズ〉
はなたろう
恋愛
人気アイドルとの秘密の恋愛♡コウキは俳優やモデルとしても活躍するアイドル。クールで優しいけど、ベッドでは少し意地悪でやきもちやき。彼女の美咲を溺愛し、他の男に取られないかと不安になることも。出会いから交際を経て、甘いキスで溶ける日々の物語。
★みなさまの心にいる、推しを思いながら読んでください
◆出会い編あらすじ
毎日同じ、変わらない。都会の片隅にある植物園で働く美咲。
そこに毎週やってくる、おしゃれで長身の男性。カメラが趣味らい。この日は初めて会話をしたけど、ちょっと変わった人だなーと思っていた。
まさか、その彼が人気アイドル、dulcis〈ドゥルキス〉のメンバーだとは気づきもしなかった。
毎日同じだと思っていた日常、ついに変わるときがきた。
◆登場人物
佐倉 美咲(25) 公園の管理運営企業に勤める。植物園のスタッフから本社の企画営業部へ異動
天見 光季(27) 人気アイドルグループ、dulcis(ドゥルキス)のメンバー。俳優業で活躍中、自然の写真を撮るのが趣味
お読みいただきありがとうございます!
★番外編はこちらに集約してます。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/411579529/693947517
★最年少、甘えん坊ケイタとバツイチ×アラサーの恋愛はじめました。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/411579529/408954279
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる