国宝級イケメンと言われる俺の彼女。酔ったあとのおねだりが可愛いすぎた夜の話 <dulcisシリーズ>

はなたろう

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#1 酔った彼女を持ち帰り

6話 〈ご機嫌なアイドル〉

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稲庭うどんを茹でて、氷水でしめたら器に盛って、和歌山県の梅干し、三陸海岸のワカメをのせる。生姜を少し添えた、そして最後に、


「こちら、某料亭のめんつゆ」


関東の濃い茶色いとは異なり、黄金に近い透き通っためんつゆをかけて出来上がり。

簡単だけど絶品。二日酔いにはピッタリなぶっかけうどん。


「おぉ!美味しそう!」

「美咲、よだれ」

「え!」

「うそだよ。でも、マジでこれうまいから」


俺がテーブルに運ぶ間に、美咲がコップにお茶を入れる。


「あ、箸はこれ使って」


食器棚から箸を2膳出す。


「この前、ロケで福井県に行ったとき買っておいた」


若狭塗という工芸品らしい。

カフェにも出てきそうな、シンプルでお洒落なデザインが気に入ったので購入した。

持ち手の色は、ターコイズブルーとサーモンピンクの2種類。


「こっちは、美咲用ね」


サーモンピンクの箸を美咲に渡し椅子に座った。


「ありがとう。すごく嬉しい」

「ただの箸をだよ、大袈裟だな」

「コウキとお揃いなんて、はじめてだもん。それに」

「それに?」

「仕事で離れてるときに、私を思い出してくれたことも、嬉しいよ」


ペアの箸をお土産屋で買うのは、少し恥ずかしかったけど、喜んでくれたなら良かった。


美咲はニコニコと笑っている。

酒をたくさん飲んだ翌日の、ありがちな顔のむくみはない。むしろ、いつもより肌ツヤがいいような気もする。

明るい自然光で見るせいだろうか。


箸を両手に持って姿勢を正すと、真面目な顔で『いただきます』と言った。そして、


ず、ずずっ。ちゃんとすすって食べた。


「うまい!」


男かよ。かわいいにも程があるだろ。


思わず笑ってしまった。


「あ、ごめん、つい夢中で食べちゃった」

「この前、共演者とスタッフで蕎麦屋に行ったんだ。若い女優さんが、蕎麦を2.3本ずつ無音で食べてたな。全然、美味しくなさそうだった」


俺も同じように、音を立ててすする。

うん、うまい。


「梅干しがいいね、サッパリして、関西風のめんつゆによく合う」

「薬味に、みょうががあれば完璧だったな」


冷凍の刻みネギでもあれば良かったが、あいにく切らしていた。


「楽しいね」

「ん?」

「こんなに楽しい休日は久しぶりだよ。一緒にいてくれて、ありがとう」


ああ、なんてまっすぐな目をするんだろう。お礼を言うのは俺の方だ。


「食べ終わったら、何しようか?」

「コウキが出てる映画、視たいな」

「俺の?」

「ごめんだけど、見てない映画とドラマ、いくつかあるから」

「何がいいかな。恋愛、アクション、ホラーもあるけど」


主演でない作品も含めたら、それなりにある。


「ホラー以外で。ひとりで寝れなくなっちゃうから」

「それならホラーにしようか。今夜も帰れないように」

「明日はお仕事です」


それは残念。


遠くて洗濯機が終わった音がする。食べ終わったら、シーツを干そう。

天気がいいからすぐに乾くだろう。


ただ、洗い立てのシーツでひとり寝るのは、少しさみしいかな。



満足することなんてない。何度でも、いつまでも、そばにいたい。もっと愛したい。


俺の邪な視線に気づいていないのか、美咲は美味しそうに、うどんを食べている。


ず、ずずーーっ。


なんて、かわいい俺の彼女。


美咲がそこにいるだけで、俺はご機嫌になる。
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