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最終幕 ―― 然後壮途
6-1 死闘の果てに
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「……っ!? こ、ここは?」
「っ‼ 目を覚ましてくれましたか、良かったです……!」
声の方を向けば、そこには椅子に座っている依夜がいた。茶色のガウンを身に纏い、中に着ているのは手術用の患者着。それも、布を左右で結んだだけの簡易な服。大きくはだけた依夜の胸元には幾重にも巻かれている包帯があった。それを見て、やっと詞御は自身も依夜と同じ格好で、医療用のベッドに横になっている事に気づく。
「一体何が……ぐっ!?」
起き上がろうとしたとき、詞御の全身に激痛が奔る。尋常じゃない痛みだった。とても起き上がれる代物ではない。呼吸もままならなく、心臓も鼓動のたびに痛む。
「あ、駄目です起き上がっては。全身の筋繊維が寸断されていたらしく、今は再構成中だそうです。無理しないでください。ここは月読王国の総合病院の個室です。帰ってきたんですよ、わたしたちは」
詞御が起き上がるのを慌ててとめた依夜は、詞御をベッドに押し戻しながらそう説明する。依夜の言う通りに従い、詞御は身体を弛緩させると、ようやく身体から痛みが引いてくれた。
「依夜は大丈夫なのか? それとルアーハも」
依夜の傷は相当に深かかったはず。それにあの失血量、なにかしらのショック症状が出てもおかしくはないくらいに。なのに依夜の身体に巻かれた包帯は痛々しいが、血色は良く元気そのものに見える。後遺症も無い様子だった。
「そのことについては後で説明します。わたしもつい先ほど目覚めたばかりなので。半日ほど寝ていたらしくて……もう一時間もすれば日付が変わります。あ、ルアーハも元気ですよ」
依夜の右肩に紅い昂輝が集中し形創する。そこには、スモールサイズのルアーハが鎮座していた。
「まあ、儂も深い傷を負ったが、この通り健在じゃて。逆に聞くが、セフィア殿は健在か?」
ルアーハに言われ、はっと気付く詞御。あわてて内に声を発する。
〔セフィア! 無事か!?〕
〔うにゅ……あと五分寝かせてください〕
返ってきたのは、間の抜けた返答だった。安堵するとともに相棒に呼びかける。
〔いい加減目を覚ましてくれ、どうやら現実世界にもどってきたらしい〕
〔え、詞御? あ、痛い。なんですかこの痛みは!〕
どうやら、セフィアも詞御同様のダメージを負っていることは言葉と口調から読み取れた。
〔顕現できそうか?〕
〔スモールサイズで横になったままなら〕
詞御の枕元に、白銀の粒子が集中し童女姿の、大きさにして十五センチくらいのセフィアが詞御同様、横たわったまま出現する。
「私も何とか健在です。全身が痛いですが。どうも、心配をお掛けしました。ルアーハ、依夜」
「セフィアさん、わたしの名前を……!」
依夜は感涙し、今は小さなセフィアの手をそっと握る。セフィアはセフィアで、口から出たのが恥ずかしかったのか、真っ赤な顔をしている。
「い、いけなかったでしょうか?」
不安げに聞いているセフィア。それに対し、依夜は微笑みながら、
「そんな事はありません、嬉しいです。名前で呼んでくれたということは認めてもらえたのですね。良かったぁ。詞御さんが目覚めないから、セフィアさんの事を確かめる手立てがなくはらはらしていましたから」
ほっと一呼吸付くと、依夜は胸に手を当ててひとしきり安心していた。
「〝神の試練〟はクリア出来たのか?」
互いが無事なのは良かった。が、だからこそ、詞御は気がかりな事があった。それを依夜に訊ねた。
「ええ、無事に。これが証明だそうです。詞御さんたちにしかお見せできませんが」
そう言うと一枚の名刺サイズの金属版を依夜は懐から取り出し、そこに刻まれている文字を見せた。見た事がない文字だっただが、何故か読む事ができた。いや、心に伝わってくるといったほうがいい。
「〝汝ら、神の試練を突破した事をここに証明する。島の位置は試練前よりも住みやすく暮らし易い位置になる事を約束する。なお、神の試練とここに書かれている内容は他言せぬよう。口外すれば、無効となり国は雲に沈む〟……か。どこまでのいけ好かない神とやらだ。ん、まだあるな」
それを聞いて依夜は顔をしかめた。が、詞御はそれには気付かない。
依夜が顔をしかめたのは、その先にある内容をすでに知っていたからだ。そこには、この神の試練の結果が数字として刻まれている。
緑色のラインに達するまで突破した数はたった一つ――月読王国――の国のみ。緑色のラインを超え赤のラインに達するまで、いわゆる現状維持での突破が六割。赤いラインに達し砂が落ちきる前に突破出来たのが、つまり島の移動を余儀なくされたのが二割弱。そして、残りの一割強が、
「時間制限オーバー。もしくはパートナーが二人とも死亡の為、敗北が決定。約定通りに雲の底に沈んだ、か……。一体どれだけの犠牲が出たのか……」
詞御は金属板に刻まれた文字から目をそらす。島の大小はあれど、一つの島に平均して約一億人が生活をしているこの世界。島の数はゆうに百を超える。その一割強の島に住む住人たちが、真実を知らぬまま、〝嵐〟の影響で命を絶たれた。
また、二割弱の国は島の位置を余儀なくされたという。光の柱に近すぎか遠すぎかは分からないが、住みにくい環境にさらされたのは間違いない。それは国力の低下を意味する。無法地帯と化す国もあるかもしれない。
それを思うと詞御とセフィアはいたたまれない気持ちになった。依夜の顔をみれば、悲しそうな顔をしている。詞御と同じ気持ちだというのが分かった。だが、これが現実だ。受け入れなくてはいけない。詞御たちにはどうする事もできないのだから。
ひと時の静寂の後、依夜は場を明るくすべく、とある疑問を口にした。
「それでわたしがあの蟷螂もどきの斬撃を受けて記憶が途切れた後、詞御さんたちは、一体どうやって神の試練を突破できたのですか?」
依夜の疑問はもっともだった。詞御は、あの後自身に何が起きたのかを依夜に話した。依夜が息を呑む。まるで信じられないものを聞いたといわんばかりに。だが、それならば納得できる、とも思った。神の試練に勝てた事、そして、詞御とセフィアの症状についても。
「反動、なのですね、〝特位〟の。人間と倶纏、その両方の肉体に著しく負担を掛ける階位ですか。頼もしくも有りますが、わたしは怖いです」
「自分も怖い。反動もそうだが、その〝力〟も。思い返せば分かる。あれは尋常じゃない力だった。〝極大霧散〟なんて目じゃない力を有している。とても普通の戦闘に使えるものじゃない危険性をはらんでいた。間違っても通常の倶纏使い相手には使えない、使ってはいけない。でも、力に目覚めた以上、これを制御しなくてはいけない。制御できない力は暴力だから。それに何時また予想を超える敵が現れる可能性もある。感覚は覚えている。精進していかないと」
それを聞いた依夜は、苦笑して詞御を見る。その眼差しは眩いばかりの慈愛に満ちていた。
「その意思の強さが、〝特位〟と云う伝説の階位に目覚めさせたのですね。やっぱり、詞御さんはお強いです。ほんとうに貴方がわたしのパートナーで良かったと心の底から思います」
依夜の言葉を聞いて、詞御は少し照れくさくなった。別に自分は強いとは思っていない。あの時は本当に、ただ必死なだけだったのだ、依夜を助けようとする一心で。照れくさからか、これ以上の依夜の賛美は、ある意味精神衛生上、よろしくない。顔には出さないが、詞御の心臓の動悸は早まっていたから。
なので、話題を変えるべく、話を切り出す。
「そういえば、この金属板はどうする? 最重要機密事項だろう?」
そう詞御が言葉を発した時だった。名刺サイズの金属板が一瞬だけ煌いた。
「これは……! 文字が追加されていく!!」
思わぬ現象に、二人と二体は、文字が刻み終わるのを待つ。輝きが消えた時には金属板には一つの条文が記されていた。
〝情報が記されたこの板はパートナーのどちらかが肌身離さず持つべし。決して他人には譲らぬこと。守られねば、後で災厄が国を襲うだろう〟
「「「「………………」」」」
二人と二体は顔を突き合わせる。さて、どうしたものかと。暫しの静寂の後、依夜が言葉を発する。
「わたしは、最初は〝わたしたち以外誰も読めない文字〟だから、機密は守られる、と考えていました。念の為、お父様とお母様に相談して、王国の金庫室にでも閉まっていてもらおうとも。ですが、この条文が記された以上、それも出来ません。なので、詞御さんが持っていて下さい。それが一番だと思います」
「っ‼ 目を覚ましてくれましたか、良かったです……!」
声の方を向けば、そこには椅子に座っている依夜がいた。茶色のガウンを身に纏い、中に着ているのは手術用の患者着。それも、布を左右で結んだだけの簡易な服。大きくはだけた依夜の胸元には幾重にも巻かれている包帯があった。それを見て、やっと詞御は自身も依夜と同じ格好で、医療用のベッドに横になっている事に気づく。
「一体何が……ぐっ!?」
起き上がろうとしたとき、詞御の全身に激痛が奔る。尋常じゃない痛みだった。とても起き上がれる代物ではない。呼吸もままならなく、心臓も鼓動のたびに痛む。
「あ、駄目です起き上がっては。全身の筋繊維が寸断されていたらしく、今は再構成中だそうです。無理しないでください。ここは月読王国の総合病院の個室です。帰ってきたんですよ、わたしたちは」
詞御が起き上がるのを慌ててとめた依夜は、詞御をベッドに押し戻しながらそう説明する。依夜の言う通りに従い、詞御は身体を弛緩させると、ようやく身体から痛みが引いてくれた。
「依夜は大丈夫なのか? それとルアーハも」
依夜の傷は相当に深かかったはず。それにあの失血量、なにかしらのショック症状が出てもおかしくはないくらいに。なのに依夜の身体に巻かれた包帯は痛々しいが、血色は良く元気そのものに見える。後遺症も無い様子だった。
「そのことについては後で説明します。わたしもつい先ほど目覚めたばかりなので。半日ほど寝ていたらしくて……もう一時間もすれば日付が変わります。あ、ルアーハも元気ですよ」
依夜の右肩に紅い昂輝が集中し形創する。そこには、スモールサイズのルアーハが鎮座していた。
「まあ、儂も深い傷を負ったが、この通り健在じゃて。逆に聞くが、セフィア殿は健在か?」
ルアーハに言われ、はっと気付く詞御。あわてて内に声を発する。
〔セフィア! 無事か!?〕
〔うにゅ……あと五分寝かせてください〕
返ってきたのは、間の抜けた返答だった。安堵するとともに相棒に呼びかける。
〔いい加減目を覚ましてくれ、どうやら現実世界にもどってきたらしい〕
〔え、詞御? あ、痛い。なんですかこの痛みは!〕
どうやら、セフィアも詞御同様のダメージを負っていることは言葉と口調から読み取れた。
〔顕現できそうか?〕
〔スモールサイズで横になったままなら〕
詞御の枕元に、白銀の粒子が集中し童女姿の、大きさにして十五センチくらいのセフィアが詞御同様、横たわったまま出現する。
「私も何とか健在です。全身が痛いですが。どうも、心配をお掛けしました。ルアーハ、依夜」
「セフィアさん、わたしの名前を……!」
依夜は感涙し、今は小さなセフィアの手をそっと握る。セフィアはセフィアで、口から出たのが恥ずかしかったのか、真っ赤な顔をしている。
「い、いけなかったでしょうか?」
不安げに聞いているセフィア。それに対し、依夜は微笑みながら、
「そんな事はありません、嬉しいです。名前で呼んでくれたということは認めてもらえたのですね。良かったぁ。詞御さんが目覚めないから、セフィアさんの事を確かめる手立てがなくはらはらしていましたから」
ほっと一呼吸付くと、依夜は胸に手を当ててひとしきり安心していた。
「〝神の試練〟はクリア出来たのか?」
互いが無事なのは良かった。が、だからこそ、詞御は気がかりな事があった。それを依夜に訊ねた。
「ええ、無事に。これが証明だそうです。詞御さんたちにしかお見せできませんが」
そう言うと一枚の名刺サイズの金属版を依夜は懐から取り出し、そこに刻まれている文字を見せた。見た事がない文字だっただが、何故か読む事ができた。いや、心に伝わってくるといったほうがいい。
「〝汝ら、神の試練を突破した事をここに証明する。島の位置は試練前よりも住みやすく暮らし易い位置になる事を約束する。なお、神の試練とここに書かれている内容は他言せぬよう。口外すれば、無効となり国は雲に沈む〟……か。どこまでのいけ好かない神とやらだ。ん、まだあるな」
それを聞いて依夜は顔をしかめた。が、詞御はそれには気付かない。
依夜が顔をしかめたのは、その先にある内容をすでに知っていたからだ。そこには、この神の試練の結果が数字として刻まれている。
緑色のラインに達するまで突破した数はたった一つ――月読王国――の国のみ。緑色のラインを超え赤のラインに達するまで、いわゆる現状維持での突破が六割。赤いラインに達し砂が落ちきる前に突破出来たのが、つまり島の移動を余儀なくされたのが二割弱。そして、残りの一割強が、
「時間制限オーバー。もしくはパートナーが二人とも死亡の為、敗北が決定。約定通りに雲の底に沈んだ、か……。一体どれだけの犠牲が出たのか……」
詞御は金属板に刻まれた文字から目をそらす。島の大小はあれど、一つの島に平均して約一億人が生活をしているこの世界。島の数はゆうに百を超える。その一割強の島に住む住人たちが、真実を知らぬまま、〝嵐〟の影響で命を絶たれた。
また、二割弱の国は島の位置を余儀なくされたという。光の柱に近すぎか遠すぎかは分からないが、住みにくい環境にさらされたのは間違いない。それは国力の低下を意味する。無法地帯と化す国もあるかもしれない。
それを思うと詞御とセフィアはいたたまれない気持ちになった。依夜の顔をみれば、悲しそうな顔をしている。詞御と同じ気持ちだというのが分かった。だが、これが現実だ。受け入れなくてはいけない。詞御たちにはどうする事もできないのだから。
ひと時の静寂の後、依夜は場を明るくすべく、とある疑問を口にした。
「それでわたしがあの蟷螂もどきの斬撃を受けて記憶が途切れた後、詞御さんたちは、一体どうやって神の試練を突破できたのですか?」
依夜の疑問はもっともだった。詞御は、あの後自身に何が起きたのかを依夜に話した。依夜が息を呑む。まるで信じられないものを聞いたといわんばかりに。だが、それならば納得できる、とも思った。神の試練に勝てた事、そして、詞御とセフィアの症状についても。
「反動、なのですね、〝特位〟の。人間と倶纏、その両方の肉体に著しく負担を掛ける階位ですか。頼もしくも有りますが、わたしは怖いです」
「自分も怖い。反動もそうだが、その〝力〟も。思い返せば分かる。あれは尋常じゃない力だった。〝極大霧散〟なんて目じゃない力を有している。とても普通の戦闘に使えるものじゃない危険性をはらんでいた。間違っても通常の倶纏使い相手には使えない、使ってはいけない。でも、力に目覚めた以上、これを制御しなくてはいけない。制御できない力は暴力だから。それに何時また予想を超える敵が現れる可能性もある。感覚は覚えている。精進していかないと」
それを聞いた依夜は、苦笑して詞御を見る。その眼差しは眩いばかりの慈愛に満ちていた。
「その意思の強さが、〝特位〟と云う伝説の階位に目覚めさせたのですね。やっぱり、詞御さんはお強いです。ほんとうに貴方がわたしのパートナーで良かったと心の底から思います」
依夜の言葉を聞いて、詞御は少し照れくさくなった。別に自分は強いとは思っていない。あの時は本当に、ただ必死なだけだったのだ、依夜を助けようとする一心で。照れくさからか、これ以上の依夜の賛美は、ある意味精神衛生上、よろしくない。顔には出さないが、詞御の心臓の動悸は早まっていたから。
なので、話題を変えるべく、話を切り出す。
「そういえば、この金属板はどうする? 最重要機密事項だろう?」
そう詞御が言葉を発した時だった。名刺サイズの金属板が一瞬だけ煌いた。
「これは……! 文字が追加されていく!!」
思わぬ現象に、二人と二体は、文字が刻み終わるのを待つ。輝きが消えた時には金属板には一つの条文が記されていた。
〝情報が記されたこの板はパートナーのどちらかが肌身離さず持つべし。決して他人には譲らぬこと。守られねば、後で災厄が国を襲うだろう〟
「「「「………………」」」」
二人と二体は顔を突き合わせる。さて、どうしたものかと。暫しの静寂の後、依夜が言葉を発する。
「わたしは、最初は〝わたしたち以外誰も読めない文字〟だから、機密は守られる、と考えていました。念の為、お父様とお母様に相談して、王国の金庫室にでも閉まっていてもらおうとも。ですが、この条文が記された以上、それも出来ません。なので、詞御さんが持っていて下さい。それが一番だと思います」
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