【完結】可愛い義妹のためならば 〜超絶シスコン兄貴の異世界無双〜

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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フライドチキンか焼き鳥か

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 不意に、ドスン、ドスン、と言う重々しい足音が聞こえてきた。

「て、敵、でしょうかっ……」

 シャルは抜きかけていたレイピアを抜刀し、辺りを見回す。
 俺も、背中のロングソードの柄に手を添える。

 足音の大きさからしても、かなりデカいな。

 いきなりの実戦で強敵は勘弁だが……そして、スライム達が警戒しただろうその方向にあった、木々が薙ぎ倒された。
 バギバギバギバギ、とまるでダンボール工作を壊すような容易さで。

 林道の奥から現れたのは、真っ赤な鶏冠に、青黒い羽毛、巨体の割には細い棒のような鳥脚、ギョロリとした金色の目。

 ――有体に言えば、"バカでっかいニワトリ"だった。

「……『コカトリス』だな」

 RPGだと確か、石化の状態異常を引き起こすモンスターだったはずだ。

 するとコカトリスもこちらの存在を認識したか、退化した羽根を広げて、ゴッゲゲゲゲゲーッ、と耳障りな鳴き声を発してくる。

「お、お兄様……っ!」

 レイピアを構えてはいるものの、シャルの足は震えている。
 初の実戦で、こんな凶暴そうな魔物が相手とは思っていなかったのだろう。
 初の実戦と言う点では俺も同じだが、不思議と怖気は感じない。

「シャル、下がっていろ」

 俺はロングソードの柄から手を離すと、自身の周囲に魔法陣を顕現させる。
 それを見て攻撃してくると思ったのか、コカトリスはゴゲゴゲと嘴を振り回しながら走り寄ってくる。

 そんな真っ直ぐ突っ込んで来たら、格好の的だぞ?

 顕現した魔法陣から雷撃サンダーボルトを放つ。
 放たれた雷撃は、突撃してきたコカトリスの胸部に突き刺さり、炸裂する。
 グゲゲェッ、と身体の内側から焼かれただろうコカトリスは地面にのたうち回る。
 羽根や血肉が焦げる臭いが鼻をつくが、さすがにタフなのか、コカトリスはなおも俺に襲い掛かってくる。

「やかましいわチキン野郎、焼き鳥にしてやろうか」

 いらねぇけどな、こんな見るっからにマズそうな鶏肉。

 雷撃をもう一発、傷付いた胸部へ叩き込んでやる。
 これも直撃だ、二度も雷撃を喰らったコカトリスは、弱々しい断末魔を残して力尽きた。

「ま、こんなものだな」

 初の実戦だったが、魔法だけで何とかなったな。

「すごい……」

 レイピアを納めることも忘れて、シャルは俺の背中を惚けたように見ていた。

「すごいと言われても、魔法学園を卒業した者なら、これくらいは出来るものだぞ」

 実際、俺が使った雷撃は雷属性の初級魔法だからな。
 真面目に授業を受けた者なら、よっぽど魔力が無い限り普通に使いこなせる程度のものだ。

 さて、昼食を邪魔しに来た不埒者は倒したわけだが、だからといってのんびりしている場合ではない。

「シャル、悪いが休憩は終わりだ、行くぞ」

「え、ですがまだおにぎりが……」

「ここに死骸があると言うことは、死骸にありつこうとする魔物が集まってくる。だからここは早急に立ち去るべきだ」

 力尽きた虫に、アリが集ってくるようにな。

「わ、分かりました……」

 シャルはおにぎりを木皮に包み直して、すぐに再出発の体勢を整える。
 すまんな。

 ――そうして俺とシャルがその場を去ってすぐに、他の魔物がコカトリスの死骸を貪り始めた。
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