30 / 76
フライドチキンか焼き鳥か
しおりを挟む
不意に、ドスン、ドスン、と言う重々しい足音が聞こえてきた。
「て、敵、でしょうかっ……」
シャルは抜きかけていたレイピアを抜刀し、辺りを見回す。
俺も、背中のロングソードの柄に手を添える。
足音の大きさからしても、かなりデカいな。
いきなりの実戦で強敵は勘弁だが……そして、スライム達が警戒しただろうその方向にあった、木々が薙ぎ倒された。
バギバギバギバギ、とまるでダンボール工作を壊すような容易さで。
林道の奥から現れたのは、真っ赤な鶏冠に、青黒い羽毛、巨体の割には細い棒のような鳥脚、ギョロリとした金色の目。
――有体に言えば、"バカでっかいニワトリ"だった。
「……『コカトリス』だな」
RPGだと確か、石化の状態異常を引き起こすモンスターだったはずだ。
するとコカトリスもこちらの存在を認識したか、退化した羽根を広げて、ゴッゲゲゲゲゲーッ、と耳障りな鳴き声を発してくる。
「お、お兄様……っ!」
レイピアを構えてはいるものの、シャルの足は震えている。
初の実戦で、こんな凶暴そうな魔物が相手とは思っていなかったのだろう。
初の実戦と言う点では俺も同じだが、不思議と怖気は感じない。
「シャル、下がっていろ」
俺はロングソードの柄から手を離すと、自身の周囲に魔法陣を顕現させる。
それを見て攻撃してくると思ったのか、コカトリスはゴゲゴゲと嘴を振り回しながら走り寄ってくる。
そんな真っ直ぐ突っ込んで来たら、格好の的だぞ?
顕現した魔法陣から雷撃を放つ。
放たれた雷撃は、突撃してきたコカトリスの胸部に突き刺さり、炸裂する。
グゲゲェッ、と身体の内側から焼かれただろうコカトリスは地面にのたうち回る。
羽根や血肉が焦げる臭いが鼻をつくが、さすがにタフなのか、コカトリスはなおも俺に襲い掛かってくる。
「やかましいわチキン野郎、焼き鳥にしてやろうか」
いらねぇけどな、こんな見るっからにマズそうな鶏肉。
雷撃をもう一発、傷付いた胸部へ叩き込んでやる。
これも直撃だ、二度も雷撃を喰らったコカトリスは、弱々しい断末魔を残して力尽きた。
「ま、こんなものだな」
初の実戦だったが、魔法だけで何とかなったな。
「すごい……」
レイピアを納めることも忘れて、シャルは俺の背中を惚けたように見ていた。
「すごいと言われても、魔法学園を卒業した者なら、これくらいは出来るものだぞ」
実際、俺が使った雷撃は雷属性の初級魔法だからな。
真面目に授業を受けた者なら、よっぽど魔力が無い限り普通に使いこなせる程度のものだ。
さて、昼食を邪魔しに来た不埒者は倒したわけだが、だからといってのんびりしている場合ではない。
「シャル、悪いが休憩は終わりだ、行くぞ」
「え、ですがまだおにぎりが……」
「ここに死骸があると言うことは、死骸にありつこうとする魔物が集まってくる。だからここは早急に立ち去るべきだ」
力尽きた虫に、アリが集ってくるようにな。
「わ、分かりました……」
シャルはおにぎりを木皮に包み直して、すぐに再出発の体勢を整える。
すまんな。
――そうして俺とシャルがその場を去ってすぐに、他の魔物がコカトリスの死骸を貪り始めた。
「て、敵、でしょうかっ……」
シャルは抜きかけていたレイピアを抜刀し、辺りを見回す。
俺も、背中のロングソードの柄に手を添える。
足音の大きさからしても、かなりデカいな。
いきなりの実戦で強敵は勘弁だが……そして、スライム達が警戒しただろうその方向にあった、木々が薙ぎ倒された。
バギバギバギバギ、とまるでダンボール工作を壊すような容易さで。
林道の奥から現れたのは、真っ赤な鶏冠に、青黒い羽毛、巨体の割には細い棒のような鳥脚、ギョロリとした金色の目。
――有体に言えば、"バカでっかいニワトリ"だった。
「……『コカトリス』だな」
RPGだと確か、石化の状態異常を引き起こすモンスターだったはずだ。
するとコカトリスもこちらの存在を認識したか、退化した羽根を広げて、ゴッゲゲゲゲゲーッ、と耳障りな鳴き声を発してくる。
「お、お兄様……っ!」
レイピアを構えてはいるものの、シャルの足は震えている。
初の実戦で、こんな凶暴そうな魔物が相手とは思っていなかったのだろう。
初の実戦と言う点では俺も同じだが、不思議と怖気は感じない。
「シャル、下がっていろ」
俺はロングソードの柄から手を離すと、自身の周囲に魔法陣を顕現させる。
それを見て攻撃してくると思ったのか、コカトリスはゴゲゴゲと嘴を振り回しながら走り寄ってくる。
そんな真っ直ぐ突っ込んで来たら、格好の的だぞ?
顕現した魔法陣から雷撃を放つ。
放たれた雷撃は、突撃してきたコカトリスの胸部に突き刺さり、炸裂する。
グゲゲェッ、と身体の内側から焼かれただろうコカトリスは地面にのたうち回る。
羽根や血肉が焦げる臭いが鼻をつくが、さすがにタフなのか、コカトリスはなおも俺に襲い掛かってくる。
「やかましいわチキン野郎、焼き鳥にしてやろうか」
いらねぇけどな、こんな見るっからにマズそうな鶏肉。
雷撃をもう一発、傷付いた胸部へ叩き込んでやる。
これも直撃だ、二度も雷撃を喰らったコカトリスは、弱々しい断末魔を残して力尽きた。
「ま、こんなものだな」
初の実戦だったが、魔法だけで何とかなったな。
「すごい……」
レイピアを納めることも忘れて、シャルは俺の背中を惚けたように見ていた。
「すごいと言われても、魔法学園を卒業した者なら、これくらいは出来るものだぞ」
実際、俺が使った雷撃は雷属性の初級魔法だからな。
真面目に授業を受けた者なら、よっぽど魔力が無い限り普通に使いこなせる程度のものだ。
さて、昼食を邪魔しに来た不埒者は倒したわけだが、だからといってのんびりしている場合ではない。
「シャル、悪いが休憩は終わりだ、行くぞ」
「え、ですがまだおにぎりが……」
「ここに死骸があると言うことは、死骸にありつこうとする魔物が集まってくる。だからここは早急に立ち去るべきだ」
力尽きた虫に、アリが集ってくるようにな。
「わ、分かりました……」
シャルはおにぎりを木皮に包み直して、すぐに再出発の体勢を整える。
すまんな。
――そうして俺とシャルがその場を去ってすぐに、他の魔物がコカトリスの死骸を貪り始めた。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』
公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル!
書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。
旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください!
===あらすじ===
異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。
しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。
だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに!
神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる!
※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい
※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております
※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
Re:攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。【第一部新生版】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
剣と魔法が交差する世界——。
ある男女のもとに、一人の赤子が生まれた。
その名は、アスフィ・シーネット。
魔法の才能を持たなければ、生き残ることすら厳しい世界。
彼は運よく、その力を授かった。
だが、それは 攻撃魔法ではなく、回復魔法のみだった。
戦場では、剣を振るうことも、敵を討つこともできない。
ただ味方の傷を癒やし、戦いを見届けるだけの存在。
——けれど、彼は知っている。
この世界が、どこへ向かうのかを。
いや、正しくは——「思い出しつつある」。
彼は今日も、傷を癒やす。
それが”何度目の選択”なのかを、知ることもなく。
※これは第一部完結版です。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる