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若い娘を魔物に差し出すってありがち展開
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残ったおにぎりは食べ歩きをしながらいただく。
少々行儀はよろしくないが、たまにはこういうのもアリだろう、として割り切る。
それからまた小一時間ほど歩いていると、シャルが前方を指さした。
「お兄様、あそこに村があります」
「村?この辺りに集落は無いはずだが……」
地図を広げてみるが、それらしい記載は無い。
「地図にも載らないような場所か」
見渡してみると、柵の中には家畜がのんびりと日当たっており、その周りには畑や厩舎、民家などが並ぶ。
小規模な農村、といったところか。
……村の外れの方に祭壇らしきものがあるが、何かを奉るための場所だろうか。
日の高さも確かめると、もうじきすれば辺りが茜色に染まり始めるだろう頃合い。
「今日は野宿するつもりだったが……ここで一泊出来るならそうさせてもらおう」
「そうですね」
俺とシャルは予定を変更し、その農村で一晩過ごすことにした。
村に足を運んだのはいいが、あまり活気があるとは言えなかった。
まだ夕暮れ時には早いというのに、畑や牧には人がいない。
だが、家畜や農作物があるということは、誰もいない村ではないはずだ。
一抹の不穏さを感じつつも辺りを見回しつつ村の中を歩いていると、農夫らしき男がいた。
が、まるでこの世の終わりを悟ったような表情だ。
「……あんたら、この辺じゃ見ない顔だね?」
「こんにちは。義妹と旅をしているのですが、もし良ければこの村で一晩を過ごさせていただけませんか?」
「旅?あぁ、すまんね。ようこそ『エニケイ村』へ。宿の相談なら村長に頼むよ。村長なら……まだ、村の広場にいると思う」
あっちだよ、と村の広場らしき方向を指してくれた。
「ご親切にどうも」
ぺこりと一礼し、シャルも一歩遅れて一礼する。
村の中へ入っていくが、農村だと言うのに人の声が全く聞こえない。
何だろうなこの嫌な感じは。
先程の農夫の言った通り、村の広場に向かってみると、壮年の男と、若い――少女と言ってもいいほどの女性を中心に、何やら静かにざわついている。
そこへ堂々と入っていく俺とシャル。
「失礼、村長さんはどなたでしょうか?」
俺の声が届いたか、この場にいる全員の視線が俺とシャルに向けられる。
すると、壮年の男が応じてくれる。
「私が村長ですが、あなた達は?」
「俺はアルフ。こちらは義妹のシャルです。二人で旅をしていて、この村で一晩を明かそうと考えていたのですが……何か、お困りごとでも?」
エニケイ村……エニケイ……エ、ニ、ケ、イ……
……まさか、生贄なんてことは無いよな?何その日本語ファンタジー。
「……」
村長は話すべきかを躊躇っているようだが、深い溜息をひとつ溢してから話してくれた。
「……実は、この村では年に一度、『若い娘を一人、豊穣神様に捧げる』と言う古い習わしがありまして。今日が、その日なのです」
おいおい、なんだそのテンプレ的なRPG展開は。
いや、今時そんなお約束展開は逆に珍しいか?
「ただの迷信……というわけではないと?」
俺がそう訊ねると、村長は頭を垂れるように頷いた。
「実際、その習わしを無視したその年は、何者かに畑を荒らされ、家畜を殺されているのです。それも、何度も」
それ絶対豊穣神のフリした魔物じゃないですかヤダー。
うーん、ますますテンプレ臭いぞこの展開。
少々行儀はよろしくないが、たまにはこういうのもアリだろう、として割り切る。
それからまた小一時間ほど歩いていると、シャルが前方を指さした。
「お兄様、あそこに村があります」
「村?この辺りに集落は無いはずだが……」
地図を広げてみるが、それらしい記載は無い。
「地図にも載らないような場所か」
見渡してみると、柵の中には家畜がのんびりと日当たっており、その周りには畑や厩舎、民家などが並ぶ。
小規模な農村、といったところか。
……村の外れの方に祭壇らしきものがあるが、何かを奉るための場所だろうか。
日の高さも確かめると、もうじきすれば辺りが茜色に染まり始めるだろう頃合い。
「今日は野宿するつもりだったが……ここで一泊出来るならそうさせてもらおう」
「そうですね」
俺とシャルは予定を変更し、その農村で一晩過ごすことにした。
村に足を運んだのはいいが、あまり活気があるとは言えなかった。
まだ夕暮れ時には早いというのに、畑や牧には人がいない。
だが、家畜や農作物があるということは、誰もいない村ではないはずだ。
一抹の不穏さを感じつつも辺りを見回しつつ村の中を歩いていると、農夫らしき男がいた。
が、まるでこの世の終わりを悟ったような表情だ。
「……あんたら、この辺じゃ見ない顔だね?」
「こんにちは。義妹と旅をしているのですが、もし良ければこの村で一晩を過ごさせていただけませんか?」
「旅?あぁ、すまんね。ようこそ『エニケイ村』へ。宿の相談なら村長に頼むよ。村長なら……まだ、村の広場にいると思う」
あっちだよ、と村の広場らしき方向を指してくれた。
「ご親切にどうも」
ぺこりと一礼し、シャルも一歩遅れて一礼する。
村の中へ入っていくが、農村だと言うのに人の声が全く聞こえない。
何だろうなこの嫌な感じは。
先程の農夫の言った通り、村の広場に向かってみると、壮年の男と、若い――少女と言ってもいいほどの女性を中心に、何やら静かにざわついている。
そこへ堂々と入っていく俺とシャル。
「失礼、村長さんはどなたでしょうか?」
俺の声が届いたか、この場にいる全員の視線が俺とシャルに向けられる。
すると、壮年の男が応じてくれる。
「私が村長ですが、あなた達は?」
「俺はアルフ。こちらは義妹のシャルです。二人で旅をしていて、この村で一晩を明かそうと考えていたのですが……何か、お困りごとでも?」
エニケイ村……エニケイ……エ、ニ、ケ、イ……
……まさか、生贄なんてことは無いよな?何その日本語ファンタジー。
「……」
村長は話すべきかを躊躇っているようだが、深い溜息をひとつ溢してから話してくれた。
「……実は、この村では年に一度、『若い娘を一人、豊穣神様に捧げる』と言う古い習わしがありまして。今日が、その日なのです」
おいおい、なんだそのテンプレ的なRPG展開は。
いや、今時そんなお約束展開は逆に珍しいか?
「ただの迷信……というわけではないと?」
俺がそう訊ねると、村長は頭を垂れるように頷いた。
「実際、その習わしを無視したその年は、何者かに畑を荒らされ、家畜を殺されているのです。それも、何度も」
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うーん、ますますテンプレ臭いぞこの展開。
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