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マギアアームド・ファンタジア

2話 ログイン

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 待ちに待った土曜日の午後。
 徹矢と菜々花の二人は、近所のゲームセンターで待ち合わせている。

「MAFってすごくお高いって思ってたけど、あれって家庭用据置機だから高いんだね?」

「うん。俺達学生に手が出せる代物じゃないから、少し手間でもゲーセンとかからログインした方が安く済むし」

 菜々花が訊ね、徹矢がそう答えたように、MAFはニ種類のログイン方法があり、ひとつは家庭用の据置機から。こちらはなかなかに高額なため、学生向けではない。

 もうひとつは、全国各地のゲームセンターの一角に設置されているMAF専用の筐体から。徹矢と菜々花は後者だ。

 ユーザー登録料は数百円程度で、課金機能もあるが、課金せずとも十分に楽しめるように配慮がなされている。

 ゲームセンターに入り、従業員にMAFの使用許可と、荷物を預けるロッカーキーを受け取る。
 ロッカーに私物を預けて、スマートフォンだけを手に持って、二人は筐体のシートに腰掛ける。
 スマートフォンを筐体の内部に設置すると、盗難防止のためにシャッターが閉じられる。
 同時にダウンロードされたアプリのバナパスポートが読み込まれ、ユーザー認証が行われる。

「じゃぁ水城さん、スタート地点で待ってるから」

「うん、また後でね」

 徹矢と菜々花は互いを見やってから、備え付けのヘッドギアを装着する。
 スタートボタンを押し込むと、視界が没入していき――



 ――Now Loading――



 ログイン完了。

 徹矢――プレイヤーネーム『アロウ』は、様々な格好をした人々が行き交う、自然の中で造られた街らしきエリアに到達する。

 最初の初期設定で、とりあえず比較的自分に近い体格と容姿に、白を基調とした近代的な学生服のようなコスチュームを選択したアロウは、キョロキョロと周りを見回してみる。

 数秒の間を置いて、アロウのすぐ隣にデータテクスチャが集束し、人間の形になる。
 アロウのコスチュームの女性版というべき学生服を身に着けた、菜々花――プレイヤーネーム『カノラ』だ。

「えーと、カノラさん、でいいかな?」

「……えっ?あっ、ログイン出来た?えぇとえと、織原く……じゃなくて、アロウくん、だね」

 ログイン完了に気付いたカノラは、我に返る。

 ここは現実世界ではなく、電子の仮想空間……基、MAFの世界なので、リアルネームで呼ぶのは基本的にNG。
 設定されたプレイヤーネームで呼び合うのがマナーだ。

「うん。俺は自分の名前に"矢"があるから、そのままArrowアロウ。カノラさんは……カノラって?」

「ほら、わたしは菜の花だから。キャノーラ油ってあるでしょ?」

「あぁ、キャノーラを捩って、"カノラ"なのか」

 なるほどな、とアロウは納得げに頷く。

 プレイヤーネームの由来を確認しあったところで、プレイ開始だ。

「最初は何をしたらいいのかな?」

「こう言うのは、チュートリアルとかがあるはずだけど……」

 確か、とアロウはその場で人差し指を押すような動作を行うと、手元に電子のコンソール画面が開かれる。

『MAFへようこそ!まずはチュートリアルをこなしてみましょう!』

 と言う表示がポップアップされる。
 ひとまずはこれに従って動くようだ。
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