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謎の少女

45話 利害の一致

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 フェルテと名乗った少女と共に酒場へ帰還したアロウ達。
 三人が報酬を受け取ったあと、フェルテを含めた四人で席を囲う。

「さて、これからの目標は、あの遺跡の攻略ということになったけど」

 アロウが率先して題目を挙げる。

「一番の懸念は、あのボーンナイトですね」

 最初に懸念を挙げたのはルナ。
 彼女の言う通り、今のアロウ達三人がかりでも倒せないほどに強力なエネミーだ。
 ボスゴブリンを苦戦しつつも倒せる程度の装備では、プレイヤースキルが高くないと倒せないだろう。

「強かったもんね……じゃぁ、もっと強い武器がいる感じかな」

 装備の質を上げるべきだと意見を述べるカノラ。
 実力に自信があるプレイヤーなら、初期装備だけでどこまでいけるか、という"縛りプレイ"すら楽しめるだろう。
 しかしアロウ達は普通にクエストを進めるエンジョイ勢なので、無理にこだわる必要はない。

「少なくとも、Eランクで作れる装備があれば攻略可能なはず。俺は、今のラプタス装備を一回り強化出来ないか試してみるつもり」

 アロウは既存の装備の強化を図る。

「私も、そろそろ新しい装備に着手したいと思っていたので」

 ルナは装備を新調するつもりだと言う。

「わ、わたしも新しいのにしないと……」

 初期装備の強化のみではいずれ頭打ちになる。
 それも見越した上で、カノラも装備の新調を考える。

「ふむ。皆、新たな力を得た上で、と考えているのだな」

 そこで、ここまで黙りだったフェルテが口を開く。

「それら装備の新調とやらには、どれほどかかるのだ?」

 三人とも装備を強化するのにどれくらいの時間がいるのか。
 何を作るのかにもよるが、今日明日すぐに揃うものではない。

「そうだな……間隔を置くことも考えて、一週間くらいか?」

 それだけあれば何とかなるだろう、とアロウは具体的な期間を設ける。

「一週間か、いいだろう」

 不満を言うことなく、フェルテは頷いた。

「それと、協力してもらう側なのでな、汝らの戦いには我も参加させてもらう」

「え、一緒に戦うってことか?」

 目的地へ連れて行くだけでなく、それまでの間は戦闘にも参加するというフェルテに、アロウは目を丸くする、

「我はこう見えて剣術と魔術には長けているつもりだ。足手まといになる気はない」

 奴めボーンナイトには遅れを取ったが、とフェルテは歯噛みする。

「まぁ、一緒に戦うぶんには、ギブアンドテイクってところか……ルナさんもカノラさんも、それでいいか?」

 フェルテが参戦してもいいかと女子二人に訊ねると、二人とも頷いてくれた。

「じゃぁ、よろしくな。フェルテ」

「こちらこそ頼むぞ、アロウ」

 利害の一致ではあるが、アロウ達のパーティにフェルテが加わることとなった。
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