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勇気ある者達
86話 口説き落とせ
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「……あんた、バカじゃないの?」
一瞬呆気を取られていたジルダだが、すぐに我に返る。
「あたしはあんたのお仲間を襲った挙げ句、あんたを拐って交渉の材料にしようとしたのよ?そんな奴を欲しがるとか……」
「カノラを攻撃したのも、我を拐ったのも、貴様の意志によるものだったか?そうではなかろう?」
ふむ、とフェルテは思案すると、一歩後ろにいたアロウに目を向ける。
「アロウ、出番だ」
「へ?出番?」
なんのことかと、アロウはフェルテに名指しされた理由が分からずに間抜けな声を漏らす。
「この女を口説き落とせ。汝の得意分野であろう?」
「は、はぁ!?く、口説き落とせって……しかも、得意分野ってなんだよそれっ?」
「何を言う、カノラにルナ、メイプル。これまでに三人もの女子を仲間に引き入れているではないか。なに、一人増えるだけだ、何の問題もあるまい」
「いや、それは、その、女の子が多いのは偶然だけど……だからって俺がナンパして引き入れたわけじゃないだろ!?」
目の前で茶番を繰り広げられ、ジルダの二人を見る目がまた呆れたようなものになる。
「えぇぃ、意気地無しめ。さっさと覚悟を決めて口説け」
「あーもー!どうなっても文句言うなよ!」
アロウは半ばヤケクソ気味に頷くと、深呼吸と咳払いを一度挟んでから、ジルダに向き直る。
「まぁその、フェルテの言う通りといえば言う通りなんです。俺達、ストーリーイベントを攻略するに当たって、強くなりたいんです。えぇと……ジルダさん、でしたっけ。あなたさえ良ければ、俺達と一緒にこのストーリー、最後まで見てみませんか?」
「口説けと言われた相手に口説かれて靡くわけないでしょうが……」
ぴしゃりと切り返すジルダに、アロウは二の句を詰まらせる。
「うっ、それはまぁ、そうでしょうけど……ほ、ほら、ストーリーを最後までクリアすれば、他じゃ絶対手に入らないアイテムも……」
「興味無いわ」
またしても切り返される。
やっぱり最初からその気のない相手をスカウトするなんて無理だろ、とアロウは諦めかけて、
ふと、ジルダのマギアアームドを見やる。
先にも見た、左腕のガトリングガン。
それだけではない、装甲の各部がゴテゴテとしておりミサイルなどが仕込まれていそうな外観をしている。
「そのマギアアームドって、砲撃重視ですか?」
「そうだけど」
ジルダの是正を見て、もう一思案して。
「俺達のパーティって、遠距離からの火力がちょっと足りないんです。大体接近戦になりがちというか。俺達の足りないところを、補ってくれませんか?」
「…………」
それは装備の話であって、重装型のマギアアームドを用意すれば済む話である。
にも関わらず、何故自分に拘るのかが、ジルダには分からなかった。
「……あんた達、学生でしょう?平日にログインしてくるのは、夕方頃?」
「え、あ、はいそうです」
「一晩、考えさせてほしい」
それだけ言うと、ジルダはコンソールを開いて、クエストリタイアを選択し、このフィールドから消えていった。
「うむ、やはり汝に任せて正解だったようだな。即時即決ではないが、手応えはあったのではないか?」
よくやったぞ、とフェルテは頷いている。
「「「…………」」」
が、何故か女子三人はアロウを軽蔑するような目を向けている。
「全く、何させるんだよ……ってなんで三人はそんな顔するんだ、俺はナンパ野郎じゃないぞ!?」
アロウは慌てて弁明するのだった。
フェルテも無事に奪還したことで、途中になっていたスパイクタートルの討伐に慌てて戻る。
一瞬呆気を取られていたジルダだが、すぐに我に返る。
「あたしはあんたのお仲間を襲った挙げ句、あんたを拐って交渉の材料にしようとしたのよ?そんな奴を欲しがるとか……」
「カノラを攻撃したのも、我を拐ったのも、貴様の意志によるものだったか?そうではなかろう?」
ふむ、とフェルテは思案すると、一歩後ろにいたアロウに目を向ける。
「アロウ、出番だ」
「へ?出番?」
なんのことかと、アロウはフェルテに名指しされた理由が分からずに間抜けな声を漏らす。
「この女を口説き落とせ。汝の得意分野であろう?」
「は、はぁ!?く、口説き落とせって……しかも、得意分野ってなんだよそれっ?」
「何を言う、カノラにルナ、メイプル。これまでに三人もの女子を仲間に引き入れているではないか。なに、一人増えるだけだ、何の問題もあるまい」
「いや、それは、その、女の子が多いのは偶然だけど……だからって俺がナンパして引き入れたわけじゃないだろ!?」
目の前で茶番を繰り広げられ、ジルダの二人を見る目がまた呆れたようなものになる。
「えぇぃ、意気地無しめ。さっさと覚悟を決めて口説け」
「あーもー!どうなっても文句言うなよ!」
アロウは半ばヤケクソ気味に頷くと、深呼吸と咳払いを一度挟んでから、ジルダに向き直る。
「まぁその、フェルテの言う通りといえば言う通りなんです。俺達、ストーリーイベントを攻略するに当たって、強くなりたいんです。えぇと……ジルダさん、でしたっけ。あなたさえ良ければ、俺達と一緒にこのストーリー、最後まで見てみませんか?」
「口説けと言われた相手に口説かれて靡くわけないでしょうが……」
ぴしゃりと切り返すジルダに、アロウは二の句を詰まらせる。
「うっ、それはまぁ、そうでしょうけど……ほ、ほら、ストーリーを最後までクリアすれば、他じゃ絶対手に入らないアイテムも……」
「興味無いわ」
またしても切り返される。
やっぱり最初からその気のない相手をスカウトするなんて無理だろ、とアロウは諦めかけて、
ふと、ジルダのマギアアームドを見やる。
先にも見た、左腕のガトリングガン。
それだけではない、装甲の各部がゴテゴテとしておりミサイルなどが仕込まれていそうな外観をしている。
「そのマギアアームドって、砲撃重視ですか?」
「そうだけど」
ジルダの是正を見て、もう一思案して。
「俺達のパーティって、遠距離からの火力がちょっと足りないんです。大体接近戦になりがちというか。俺達の足りないところを、補ってくれませんか?」
「…………」
それは装備の話であって、重装型のマギアアームドを用意すれば済む話である。
にも関わらず、何故自分に拘るのかが、ジルダには分からなかった。
「……あんた達、学生でしょう?平日にログインしてくるのは、夕方頃?」
「え、あ、はいそうです」
「一晩、考えさせてほしい」
それだけ言うと、ジルダはコンソールを開いて、クエストリタイアを選択し、このフィールドから消えていった。
「うむ、やはり汝に任せて正解だったようだな。即時即決ではないが、手応えはあったのではないか?」
よくやったぞ、とフェルテは頷いている。
「「「…………」」」
が、何故か女子三人はアロウを軽蔑するような目を向けている。
「全く、何させるんだよ……ってなんで三人はそんな顔するんだ、俺はナンパ野郎じゃないぞ!?」
アロウは慌てて弁明するのだった。
フェルテも無事に奪還したことで、途中になっていたスパイクタートルの討伐に慌てて戻る。
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