89 / 159
勇気ある者達
87話 女性ばかりが集まるのは何故?
しおりを挟む
スパイクタートルの討伐完了から、翌日。
昨日に、フェルテの指示とはいえアロウに口説かれた (?)ジルダは、一晩考えさせてほしいと答え、クエストリタイアしていった。
恐らくは今日に返事を伝えに来るだろうと思い、アロウ達五人は酒場の一席を占拠して、ジルダを待っていた。
彼女もログインしてくるとすれば、夕方頃だろう。
「ほんとに、来るのかな……?」
カノラは、そもそもジルダが今日に返事を伝えに来るのかどうかさえ、半信半疑だった。
あの場で「一晩考えさせてほしい」と言うのは所謂、「善処する」や「前向きに検討する」というような、『言葉とは裏腹にその気は無い』答え方だ。
「にしても、アロウも罪な男だよねぇ。ストーリーイベントの報酬でツレなかったからって、マギアアームドの方をほめるアプローチに切り替えるなんてさ」
意地悪そうに口角を歪めて歯を見せるのはメイプル。
「そ、それは、その……でも、俺達のパーティが火力不足なのは、その通りだろ?」
アロウは苦し紛れに言い返す。
彼の言う通りでもあり、アロウとメイプルが前衛を担い、ルナとカノラが後衛を担うという、前後のはっきりしたポジショニングだが、面制圧や一点突破を可能にするような重火力を持っている者はいない。
遠距離射撃を担うルナはどちらかといえば、機動性を重視するタイプであり、重装備は望むところではない。
「アロウさんの言う通りではあるんですが。……どうしてこう、女性ばかりが集まって来るのでしょう」
ルナは若干ジト目でアロウを睨む。
カノラやフェルテならまだしも、メイプルにまで親しくしているのを見ていると、言い知れぬ"モヤ"が胸をつかえさせる。
その上から今度はジルダまで。
――それが、"嫉妬"と言う感情であることには、彼女はまだ気付いていない――。
「良いではないか。我らの力になるというのなら良し、そうでなければそこまでで済む話だ」
事の始まりというか元凶であるフェルテは、そんなルナの心境など察せるはずもなかった。
ふと、誰かが酒場に入って来て、待ち人を探すように辺りを見回し、アロウ達の元へやって来た。
「……お待たせ」
誰であろう、ジルダである。
「こんにちは、ジルダさん」
最初にアロウが応対する。
「結論から言わせてもらうわ」
彼らが何を聞き出そうとしているのかを、ジルダは理解している。
故に、率直に。溜め息混じりに。
「負けたわ。あんた達の熱意に、かしらね?重装型のマギアアームドを使うプレイヤーぐらいいくらでもいるのに、なんであたしに拘るのか……」
ようするに、と間を挟んでから。
「これからよろしく、ってこと」
「あ、ありがとうございます!」
一も二も無く、アロウは感謝に頭を下げた。
少しだけ悶着はありそうだが、それもすぐに解決出来るはずだ。
彼らのパーティに、また一人加入した――。
昨日に、フェルテの指示とはいえアロウに口説かれた (?)ジルダは、一晩考えさせてほしいと答え、クエストリタイアしていった。
恐らくは今日に返事を伝えに来るだろうと思い、アロウ達五人は酒場の一席を占拠して、ジルダを待っていた。
彼女もログインしてくるとすれば、夕方頃だろう。
「ほんとに、来るのかな……?」
カノラは、そもそもジルダが今日に返事を伝えに来るのかどうかさえ、半信半疑だった。
あの場で「一晩考えさせてほしい」と言うのは所謂、「善処する」や「前向きに検討する」というような、『言葉とは裏腹にその気は無い』答え方だ。
「にしても、アロウも罪な男だよねぇ。ストーリーイベントの報酬でツレなかったからって、マギアアームドの方をほめるアプローチに切り替えるなんてさ」
意地悪そうに口角を歪めて歯を見せるのはメイプル。
「そ、それは、その……でも、俺達のパーティが火力不足なのは、その通りだろ?」
アロウは苦し紛れに言い返す。
彼の言う通りでもあり、アロウとメイプルが前衛を担い、ルナとカノラが後衛を担うという、前後のはっきりしたポジショニングだが、面制圧や一点突破を可能にするような重火力を持っている者はいない。
遠距離射撃を担うルナはどちらかといえば、機動性を重視するタイプであり、重装備は望むところではない。
「アロウさんの言う通りではあるんですが。……どうしてこう、女性ばかりが集まって来るのでしょう」
ルナは若干ジト目でアロウを睨む。
カノラやフェルテならまだしも、メイプルにまで親しくしているのを見ていると、言い知れぬ"モヤ"が胸をつかえさせる。
その上から今度はジルダまで。
――それが、"嫉妬"と言う感情であることには、彼女はまだ気付いていない――。
「良いではないか。我らの力になるというのなら良し、そうでなければそこまでで済む話だ」
事の始まりというか元凶であるフェルテは、そんなルナの心境など察せるはずもなかった。
ふと、誰かが酒場に入って来て、待ち人を探すように辺りを見回し、アロウ達の元へやって来た。
「……お待たせ」
誰であろう、ジルダである。
「こんにちは、ジルダさん」
最初にアロウが応対する。
「結論から言わせてもらうわ」
彼らが何を聞き出そうとしているのかを、ジルダは理解している。
故に、率直に。溜め息混じりに。
「負けたわ。あんた達の熱意に、かしらね?重装型のマギアアームドを使うプレイヤーぐらいいくらでもいるのに、なんであたしに拘るのか……」
ようするに、と間を挟んでから。
「これからよろしく、ってこと」
「あ、ありがとうございます!」
一も二も無く、アロウは感謝に頭を下げた。
少しだけ悶着はありそうだが、それもすぐに解決出来るはずだ。
彼らのパーティに、また一人加入した――。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜
犬型大
ファンタジー
神様にいっぱい希望を出したら意思疎通のズレから竜人になりました。
異世界を救ってほしい。
そんな神様からのお願いは異世界に行った時点でクリア⁉
異世界を救ったお礼に好きなように転生させてくれるっていうからお酒を飲みながらいろいろ希望を出した。
転生しても人がいい……そんな希望を出したのに生まれてみたら頭に角がありますけど?
人がいいって言ったのに。
竜人族?
竜人族も人だって確かにそうだけど人間以外に人と言われている種族がいるなんて聞いてないよ!
それ以外はおおよそ希望通りだけど……
転生する世界の神様には旅をしてくれって言われるし。
まあ自由に世界を見て回ることは夢だったからそうしますか。
もう世界は救ったからあとはのんびり第二の人生を生きます。
竜人に転生したリュードが行く、のんびり異世界記ここに始まれり。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-
半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。
最初から最強ぼっちの俺は英雄になります
総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる