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勇気ある者達
89話 三つのオーブを探せ
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入口に当たる場所を通過すると、早速壁にぶつかった。二重の意味で。
大部屋だが、その部屋の半分は石壁に遮られている。
「石壁……ここは通れないのか」
一箇所だけ色の違う部分があるので、恐らくはこれが開くのかもしれない。
アロウは石壁の周囲を探るが、石壁を壊したり動かせるようなものは特に見当たらない。
が、よく見ると石壁には、何か嵌め込めそうな三つの窪みが並んでいる。
「これは……何かのキーかな?」
メイプルはアロウの隣からその窪みを見やる。
「この窪みに何かを嵌め込むんだと思うけど……」
「いずれにせよ、水路を渡って回り道をしなければならないようですね」
ルナが進言した通り、この大部屋には三つの水没した通路がある。そこを潜っていくようだ。
道中に現れるマーマンやマッドエスカルゴ、シーサーペントを撃破しつつ、ようやく水路から上がると、そこは行き止まりで、代わりに青い宝箱があった。
「……罠、かしらね」
それを見て、ジルダが最初に疑った。
「あぁ、パンドラボックスみたいな、宝箱のフリしたモンスターですか?」
ダンジョンではよくあるトラップだ。
モンスターが宝箱の中に潜んでいるのか、あるいは宝箱そのものがモンスターなのか。
「でも、本物の宝箱の可能性もあるよね?だったら、射撃して本物か偽物か試すのも、危ないんじゃない?」
もし宝箱が本物だったとしたら、射撃によって宝箱が壊れ、中身も台無しに、とメイプルも意見する。
「……だったら、俺が開けてみよう。ルナさん、もしこれがモンスターで、俺が不意打ちを受けたら援護してほしい」
「分かりました」
フォノンメーザーガンの銃口を向けつつ、ゆっくり宝箱に近付くアロウ。そのすぐ後ろをソニックレイピアを構えたルナが控える。
近付くだけでは反応はない。
宝箱の蓋に手を添え、そーっと開き、
開けた瞬間魔物が牙を剝いて頭をバクリ――といかれるようなこともなく。
水色の宝玉が箱の中に納められていた。
「ふぅ……本物で良かった」
アロウは安堵して、その宝玉を手に取る。
どうやら、これを三つ集めて大部屋の石壁の窪みに嵌め込むようだ。やはり宝箱を射撃しなくて良かった。
来た道を戻って来て、二つ目の水路へ。
小型モンスターを掃討しつつ、水路の奥行きに到達するが、そこに宝箱は無く、代わりに部屋に繋がっているらしい扉がある。
「これ、入ったら扉を閉められて、中ボス戦とか?」
扉に手を掛ける前に、アロウが止まる。
「それっぽいよね。最初は普通に宝箱があって、その次からは隠してるんだし」
メイプルもそれに同調している。
「中ボス戦ね。なら、ここはあたしに任せてもらっても?」
そこへ、ジルダが危険を買って出る。
「任せてって、一人で入るんですか?」
「点数稼ぎよ。少しは実力があるってところを見せないと、口先だけと思われるでしょう?」
「俺はそんなこと思いませんけど……」
わざわざ一人で行くよりも、全員で戦った方が楽なんじゃ、とアロウは止めようとするが、
「良いではないか」
意外にもフェルテが肯定した。
「ジルダに、我らの戦いに手を貸す価値があるかを確かめるには、ちょうどいい。これで"ちゅうぼす"とやらを倒せたならば良し、倒せなければそこまでということだ」
「……だ、そうよ。ちょっと行って来るわね」
有無を言わせぬまま、ジルダは扉を開けて入って行った。
大部屋だが、その部屋の半分は石壁に遮られている。
「石壁……ここは通れないのか」
一箇所だけ色の違う部分があるので、恐らくはこれが開くのかもしれない。
アロウは石壁の周囲を探るが、石壁を壊したり動かせるようなものは特に見当たらない。
が、よく見ると石壁には、何か嵌め込めそうな三つの窪みが並んでいる。
「これは……何かのキーかな?」
メイプルはアロウの隣からその窪みを見やる。
「この窪みに何かを嵌め込むんだと思うけど……」
「いずれにせよ、水路を渡って回り道をしなければならないようですね」
ルナが進言した通り、この大部屋には三つの水没した通路がある。そこを潜っていくようだ。
道中に現れるマーマンやマッドエスカルゴ、シーサーペントを撃破しつつ、ようやく水路から上がると、そこは行き止まりで、代わりに青い宝箱があった。
「……罠、かしらね」
それを見て、ジルダが最初に疑った。
「あぁ、パンドラボックスみたいな、宝箱のフリしたモンスターですか?」
ダンジョンではよくあるトラップだ。
モンスターが宝箱の中に潜んでいるのか、あるいは宝箱そのものがモンスターなのか。
「でも、本物の宝箱の可能性もあるよね?だったら、射撃して本物か偽物か試すのも、危ないんじゃない?」
もし宝箱が本物だったとしたら、射撃によって宝箱が壊れ、中身も台無しに、とメイプルも意見する。
「……だったら、俺が開けてみよう。ルナさん、もしこれがモンスターで、俺が不意打ちを受けたら援護してほしい」
「分かりました」
フォノンメーザーガンの銃口を向けつつ、ゆっくり宝箱に近付くアロウ。そのすぐ後ろをソニックレイピアを構えたルナが控える。
近付くだけでは反応はない。
宝箱の蓋に手を添え、そーっと開き、
開けた瞬間魔物が牙を剝いて頭をバクリ――といかれるようなこともなく。
水色の宝玉が箱の中に納められていた。
「ふぅ……本物で良かった」
アロウは安堵して、その宝玉を手に取る。
どうやら、これを三つ集めて大部屋の石壁の窪みに嵌め込むようだ。やはり宝箱を射撃しなくて良かった。
来た道を戻って来て、二つ目の水路へ。
小型モンスターを掃討しつつ、水路の奥行きに到達するが、そこに宝箱は無く、代わりに部屋に繋がっているらしい扉がある。
「これ、入ったら扉を閉められて、中ボス戦とか?」
扉に手を掛ける前に、アロウが止まる。
「それっぽいよね。最初は普通に宝箱があって、その次からは隠してるんだし」
メイプルもそれに同調している。
「中ボス戦ね。なら、ここはあたしに任せてもらっても?」
そこへ、ジルダが危険を買って出る。
「任せてって、一人で入るんですか?」
「点数稼ぎよ。少しは実力があるってところを見せないと、口先だけと思われるでしょう?」
「俺はそんなこと思いませんけど……」
わざわざ一人で行くよりも、全員で戦った方が楽なんじゃ、とアロウは止めようとするが、
「良いではないか」
意外にもフェルテが肯定した。
「ジルダに、我らの戦いに手を貸す価値があるかを確かめるには、ちょうどいい。これで"ちゅうぼす"とやらを倒せたならば良し、倒せなければそこまでということだ」
「……だ、そうよ。ちょっと行って来るわね」
有無を言わせぬまま、ジルダは扉を開けて入って行った。
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