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羽ばたきの時
106話 然りげ無い勇気
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今になって思えば、とアロウは目の前で対峙するレッドワイバーンとの間合いを測りながら、エナジーライフルとワイルドカットラスによるヒットアンドアウェイでダメージを重ねていく。
ほんの二ヶ月前まで、この世界はスマートフォンの動画越しにしか見られなかったのに、況してやMAFを代表するレッドワイバーンと戦うなど、夢物語のようだったのに。
けれどMAFを始めてその二ヶ月が経った今、自分はその世界にいるのだと自覚する、自覚出来る。
低空から突撃してくるレッドワイバーンの苛烈な攻撃を掻い潜り、頭部や翼を狙う。
カノラが断続的に強化魔法を使ってくれるおかげで、暴れ回るレッドワイバーンの動きに追従出来るし、ダメージを受けても少なくて済む。
ルナは前衛で立ち回るアロウとフェルテのカバーをするように立ち回り、隙が見えればエナジーライフルでダメージを重ねてくれている。
ジルダは後方からヘビーガトリングガンを連射し、レッドワイバーンが上空に飛べば近接信管のミサイルで追撃するため、レッドワイバーンの自由を確実に封じている。
フェルテは周囲の仲間の状況に応じて、近接攻撃と魔術攻撃を使い分け、的確に立ち回っている。
地道な、本当に地道な積み重ねを続けている内に、レッドワイバーンは上空へ飛び上がる。
また空中から攻撃かと思えば、明後日の方向に身を翻して飛び下がっていく。
どうやらエリア移動のようだ。
「よし、体勢を立て直して、すぐに追撃だ」
アロウは一度武装をマウントラッチに納めて、アイテムボックスから回復ポーションを取り出してすぐに飲み干す。
火山の奥――火口付近のところで、レッドワイバーンは待ち構えていた。
アロウ達の姿を捕捉するなり飛び上がり、まだ遠い間合いから火球ブレスを連発してくる。
「喰らっときなさい!」
火球ブレスをジグザグのホバー機動で躱しつつ、ジルダは両肩のミサイルポッドを開き、ホーミングミサイルを全弾発射。
レッドワイバーンはホーミングミサイルを躱そうとするものの、名前の通り追尾性の高いミサイルだ、レッドワイバーンの動きに追従し、そして近付けば近接信管が散弾をばら撒く。
散弾を受けて動きを止めるレッドワイバーン、そこへアロウとルナがエナジーライフルを斉射し、損傷の重なった翼爪がついに砕け折れた。
表面化したダメージにレッドワイバーンは平衡感覚を崩し、上空から落下、地面に激突したショックか、倒れたままもがいている。
今が攻めたてるチャンスだと、フェルテは瞬時に間合いを詰め、頭部に宝剣を突き入れて内側から薙ぎ払い、カノラもこの時はライトサブマシンガンで援護射撃を行う。
しかしこれだけではレッドワイバーンは力尽きず、やがて起き上がり――ジルダに向けて火球ブレスを放った。
「ッ」
ヘイトが自分に向いていたことに気付き、しかしヘビーガトリングガンを連射している最中では咄嗟に動けず――その寸前にアロウが割り込んだ。
アイアンシールドを構えて踏ん張ろうとするものの、火球ブレスの爆破力は凄まじく、ガードごとアロウを吹き飛ばした。
「アロウッ!?」
吹き飛ばされて、地面をバウンドするアロウ。
「いって……こりゃ迂闊にガードしちゃまずいな」
左腕のダメージを堪えつつ、アロウはすぐそばにいるジルダの身を案じる。
「ジルダさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですかじゃないわ!あんたの方こそ大丈夫なの!?」
「ちゃ、ちゃんと防御はしましたよ?これくらいはポーション飲めば回復しますし」
「……ならいいわ」
ジルダはすぐにレッドワイバーンに向き直ってヘビーガトリングガンによる砲撃を再開する。
「それと……ありがとね」
ガトリングの轟音で誤魔化すような、小さな声で礼を言って。
ほんの二ヶ月前まで、この世界はスマートフォンの動画越しにしか見られなかったのに、況してやMAFを代表するレッドワイバーンと戦うなど、夢物語のようだったのに。
けれどMAFを始めてその二ヶ月が経った今、自分はその世界にいるのだと自覚する、自覚出来る。
低空から突撃してくるレッドワイバーンの苛烈な攻撃を掻い潜り、頭部や翼を狙う。
カノラが断続的に強化魔法を使ってくれるおかげで、暴れ回るレッドワイバーンの動きに追従出来るし、ダメージを受けても少なくて済む。
ルナは前衛で立ち回るアロウとフェルテのカバーをするように立ち回り、隙が見えればエナジーライフルでダメージを重ねてくれている。
ジルダは後方からヘビーガトリングガンを連射し、レッドワイバーンが上空に飛べば近接信管のミサイルで追撃するため、レッドワイバーンの自由を確実に封じている。
フェルテは周囲の仲間の状況に応じて、近接攻撃と魔術攻撃を使い分け、的確に立ち回っている。
地道な、本当に地道な積み重ねを続けている内に、レッドワイバーンは上空へ飛び上がる。
また空中から攻撃かと思えば、明後日の方向に身を翻して飛び下がっていく。
どうやらエリア移動のようだ。
「よし、体勢を立て直して、すぐに追撃だ」
アロウは一度武装をマウントラッチに納めて、アイテムボックスから回復ポーションを取り出してすぐに飲み干す。
火山の奥――火口付近のところで、レッドワイバーンは待ち構えていた。
アロウ達の姿を捕捉するなり飛び上がり、まだ遠い間合いから火球ブレスを連発してくる。
「喰らっときなさい!」
火球ブレスをジグザグのホバー機動で躱しつつ、ジルダは両肩のミサイルポッドを開き、ホーミングミサイルを全弾発射。
レッドワイバーンはホーミングミサイルを躱そうとするものの、名前の通り追尾性の高いミサイルだ、レッドワイバーンの動きに追従し、そして近付けば近接信管が散弾をばら撒く。
散弾を受けて動きを止めるレッドワイバーン、そこへアロウとルナがエナジーライフルを斉射し、損傷の重なった翼爪がついに砕け折れた。
表面化したダメージにレッドワイバーンは平衡感覚を崩し、上空から落下、地面に激突したショックか、倒れたままもがいている。
今が攻めたてるチャンスだと、フェルテは瞬時に間合いを詰め、頭部に宝剣を突き入れて内側から薙ぎ払い、カノラもこの時はライトサブマシンガンで援護射撃を行う。
しかしこれだけではレッドワイバーンは力尽きず、やがて起き上がり――ジルダに向けて火球ブレスを放った。
「ッ」
ヘイトが自分に向いていたことに気付き、しかしヘビーガトリングガンを連射している最中では咄嗟に動けず――その寸前にアロウが割り込んだ。
アイアンシールドを構えて踏ん張ろうとするものの、火球ブレスの爆破力は凄まじく、ガードごとアロウを吹き飛ばした。
「アロウッ!?」
吹き飛ばされて、地面をバウンドするアロウ。
「いって……こりゃ迂闊にガードしちゃまずいな」
左腕のダメージを堪えつつ、アロウはすぐそばにいるジルダの身を案じる。
「ジルダさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですかじゃないわ!あんたの方こそ大丈夫なの!?」
「ちゃ、ちゃんと防御はしましたよ?これくらいはポーション飲めば回復しますし」
「……ならいいわ」
ジルダはすぐにレッドワイバーンに向き直ってヘビーガトリングガンによる砲撃を再開する。
「それと……ありがとね」
ガトリングの轟音で誤魔化すような、小さな声で礼を言って。
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