【完結】マギアアームド・ファンタジア

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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約束の未来へ

154話 約束

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「……フェルテ!」

 アロウは思わず駆け出し、フェルテを思いきり抱きしめた。

「ふおぉっ、な、なんだ、どうしたのだ、アロウ?」

 戸惑うフェルテなど構うこと無く、愛しいものを抱くように、離すものかと。

「俺も……俺も、フェルテと出会えて良かった。フェルテと出会えてなかったら、きっと、今と全然違う現在いまを過ごしてたと思う」

「…………アロウ」

「分かってる。こんなことで引き留めたら、創造神様が困るって。でも……俺はもっとフェルテと一緒に冒険がしたい。みんなと一緒にモンスターと戦って、色んなことを分かち合って、なのに……なのに、お別れなんて嫌だ!」

 アロウも理性では分かっているのだ。
 フェルテには使命があり、そのためにアプロディテより神子として生み出された存在だと。
 人間と、神子。
 本来ならば交わることさえ有り得ない。
 けれど、MAFの中でならそれを可能にしてくれた。

「ふっ……"お別れ"か。お別れならこの間に済ませたはずだろうに」

 おかしそうに、フェルテは苦笑する。

「だが、それは少し違うぞ、アロウ」

 彼女も、アロウの脇から背中へと手を伸ばす。

「確かに、永い旅になるだろう。だが、今生の別れではない」

「え……、それは、どういう……?」

 今生の別れでは無いと言うフェルテに、アロウは目を見開く。

。この魂が生きている限り、いつか必ず道が重なることもあろう」

『神子よ、そろそろです』

 その時が近いのか、アプロディテはフェルテを呼ぶ。

「はい。ですが、もう少し」

 フェルテはアロウの背中から手を離し、アロウもまた躊躇いがちにフェルテの背中から手を離す。

「我は必ず帰ってくる。それが我らの義……いや、"約束"だ」

「約束……」

 そんなもの、果たされるわけがない。
 それでもアロウは、フェルテの言う"約束"を、「嘘も方便」だとして、飲み込む。

「うん……約束だ、フェルテ」

「うむ」

 この嘘を信じてやることが、彼女に出来る最後のことだと、アロウは自分に頷く。
 フェルテも頷き返す。

 これが、最後だ。

『ではこれより、あなた方をこの神域から元の世界へログアウトさせます。少し意識が飛びますが、認識機能への害はありません』

 アプロディテは優しい光を放ち、それらはアロウ達MAFのプレイヤー達に纏われる。

 光が泡沫のように包まれ、プレイヤー達の姿も光に包まれていく。

「また会おう、アロウ!」

 その間際に、フェルテは手を振った。

「フェル……ッ 」

 不意に、手を振り返そうとしたアロウの意識が遠くなっていく。
 ログアウトの項目を選択した時のように、意識が浮上するように……





「――ハッ」

 気が付けば、徹矢はいつも利用しているゲームセンターの、MAFの筐体のシートの上にいた。
 両隣には、結月と菜々花も同じように意識を取り戻している。

 どうやら、ログアウト出来たようだ。

 まるで夢を見ていたような気分だ。
 しかし、MAFのアプリを開けば、フレンドユーザーの登録人数が一つ減っている。
 フレンド名を確認すれば、そこにはフェルテの名前が消えていた。 

「フェルテ……」



 ここに、ひとつの戦いは終わりを告げた。
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