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第二十九節「静乱の跡 懐かしき場所 苦悩少女前日譚」
~その隠し事 吐露~
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魔剣使い達を逃がした罪と罰は思いの外きつかった。
たむろしていた時間も長かったのか、彼等の臭いは部屋になお充満したままだった。
おまけに席が多く、勇一人ではどうにもならず。
茶奈や心輝達が持ってきた雑巾などを使い、何処からか持ってきたマスクを付け、仲間達揃って除菌作業に従事した。
その甲斐あって三十分程で作業は終わり、見事室内は清潔さを取り戻したのだった。
役目を果たしたファヴニーズは空となり……還るべき宝の山へと納められる事と成った。
こうして勇達はスッキリとした室内で再び積もりに積もった話題を始めようと席に付く。
そんな彼等の下にあるのは、どこから出て来たのかわからないスナック菓子の山であった。
「これ、どこから出て来たんだよ?」
気付けばそこにあったのだ。
心輝が思わず手に取り、何の抵抗も無く開く。
途端にじゃがいもの香りが立ち込め、彼等の食欲を誘う。
ポテトチップスに、ビスケット、ポップコーンやチョコレート菓子。
おまけに飲み物も完備……抜かりなき談笑の場の構築に思わず勇達の笑いを誘う。
そんな彼等の視線は……瀬玲に向けられていた。
「どこって……買って来たに決まってるじゃん」
「いッつだよ!?」
思わず心輝のツッコミが激しく飛ぶ。
最近の彼はどうにもこの役が多いのは否めない。
「アンタ達と合流する前。 ささっとコンビニ寄って、本部の自室に置いて、合流地点に行ったのよ」
そう、これらは全て瀬玲の仕業。
「どうせこうやって集まって話す事があるだろう」……そう予想した彼女なりの気遣いだった。
「準備良すぎますね……これは見習わないと」
思わず茶奈が眉間を寄せて感心を露わにする。
抱かれたキッピーの頬が組まれた腕で寄せられているのはもうご愛敬だ。
当の本人はそんなのに構う事無くお菓子に向けて手を届かせようと必死であるが。
「つかお前、そのなりでコンビニ行ったのかよ……店員ビビるだろ」
「当たり前じゃん、そんなの知った事じゃないわよ」
想像してもみよう。
瀬玲の髪はこれでもかと言う程に長い上に薄青緑で、ただでさえ目立つ。
魔特隊の隊員であるが故に有名人で、当然アニメにもモチーフキャラは居る。
その様な人物が突然現れて、両手に下げたカゴ一杯のスィーツや飲み物を買っていくのだ。
地元民とはいえ、余りのサプライズに驚くのは当然と言える。
そしてその姿が如何にシュールか……言うに忍びない。
「まぁ、店員にはサイン求められたけどね、描いたけど」
「応えたのかよッ!?」
今日の心輝のツッコミは切れ味抜群だ。
とはいえ……勇達は心ながらに思う。
「きっと心輝も、同じ状況ならしっかり応えるだろうな」と。
そんな他愛も無い雑談が続き、時間が過ぎていく。
とはいえ時間はまだまだたっぷりあるという事で、彼等の会話は更に盛り上がっていった。
すると、ふと心輝が時計を眺めて時刻を確認する。
時間現在十一時過ぎ……もうすぐレンネィが出勤してきてもおかしくない時間帯だ。
先日祖父母宅に缶詰だったという事もあり、一昨日の事件の後から彼女とは会っていない。
さすがに気にはなる様で、そわそわする姿を見せていた。
心輝がレンネィを待っている。
それが見てわかる様で、思わず皆の嘲笑を呼ぶ。
しかしナターシャだけは……それに気付くと、思わず顔を俯かせた。
勇と茶奈がそんな彼女の姿を見掛け、心配そうな視線を向ける。
気付けば二人もまたナターシャの様に黙り込んでいた。
まるでそれが連鎖する様に、途端周囲に静けさを呼ぶ。
「やっぱり、レンネィさんと何かあったんじゃないか?」
「ううん、ちがうよ、ママとは何もない……」
その言葉が一つの仮説を呼び込む。
レンネィとは何も無い……では、誰と何があったのか。
恐らく、アンディと何かがあったのだろう。
それを察した勇達の心配が募る。
あれだけ仲の良かった兄妹に何が起きたのか……不思議でしょうがなかったのだ。
そんな時……マヴォの太い手がナターシャの頭を掴み、わしゃりと押し付ける様に撫でまわした。
「痛い、なにするのマヴォ!?」
それは撫でるというよりも、どこか躾ける様な荒々しいもの。
痛がるナターシャを前に、マヴォは抑える事もせず。
「やはり変な事になる前に話しておけ? お前がだんまりしてても余計にこじれるだけだぞ……」
「うー……」
マヴォの口ぶりは何か事情を知っているよう。
それに気付いた勇達の視線を集めると、マヴォは察して頷き応えた。
「実はな、俺もその事情に途中から絡んでる。 とはいえ深い所はナターシャから聞いただけで、正直魔特隊で魔者の俺じゃあどうしようもない事だと思ってる」
どうにも根が深そうな話題に、勇達が神妙な面持ちをナターシャに向け始めた。
マヴォが手を出せないという事はつまり、人としての生活圏に何かしらの問題があるという事。
アンディが問題なのか、アンディの取り巻く環境が問題なのか、それは話してくれないとわからないという訳だ。
「さもねぇと……あのコト俺がバラすぞぉ?」
「マヴォ!! それはやめてぇ!!」
そこに覗くのはかつてのいじらしいマヴォの姿。
女の子のヒミツを暴露しようと言うのだ、いじらしくもなければ只の嫌がらせにもなりかねないからだろう。
しかしその一言がキッカケとなったのか……縮こまっていたナターシャの腕が机の上に「ドスン」と乗せられた。
「わかったぁ……話すよぉ~……」
「それでいいんだ」
とうとうナターシャが観念すると、マヴォは大きな腕を組んで大きく頷く。
彼にとってはそうしてでも話しておくべきだと思ったのだろう。
少々強引な引き出し方ではあったが。
ゆっくりとナターシャが語り始め、勇達が静かに聞き耳を立てる。
彼女から語られる事となったのは、ほんの数日前の話。
今から四日前……小嶋由子逮捕二日前の日へ出来事は遡る。
そこから彼女を陰鬱とさせる事件が幕を開けたのだった。
たむろしていた時間も長かったのか、彼等の臭いは部屋になお充満したままだった。
おまけに席が多く、勇一人ではどうにもならず。
茶奈や心輝達が持ってきた雑巾などを使い、何処からか持ってきたマスクを付け、仲間達揃って除菌作業に従事した。
その甲斐あって三十分程で作業は終わり、見事室内は清潔さを取り戻したのだった。
役目を果たしたファヴニーズは空となり……還るべき宝の山へと納められる事と成った。
こうして勇達はスッキリとした室内で再び積もりに積もった話題を始めようと席に付く。
そんな彼等の下にあるのは、どこから出て来たのかわからないスナック菓子の山であった。
「これ、どこから出て来たんだよ?」
気付けばそこにあったのだ。
心輝が思わず手に取り、何の抵抗も無く開く。
途端にじゃがいもの香りが立ち込め、彼等の食欲を誘う。
ポテトチップスに、ビスケット、ポップコーンやチョコレート菓子。
おまけに飲み物も完備……抜かりなき談笑の場の構築に思わず勇達の笑いを誘う。
そんな彼等の視線は……瀬玲に向けられていた。
「どこって……買って来たに決まってるじゃん」
「いッつだよ!?」
思わず心輝のツッコミが激しく飛ぶ。
最近の彼はどうにもこの役が多いのは否めない。
「アンタ達と合流する前。 ささっとコンビニ寄って、本部の自室に置いて、合流地点に行ったのよ」
そう、これらは全て瀬玲の仕業。
「どうせこうやって集まって話す事があるだろう」……そう予想した彼女なりの気遣いだった。
「準備良すぎますね……これは見習わないと」
思わず茶奈が眉間を寄せて感心を露わにする。
抱かれたキッピーの頬が組まれた腕で寄せられているのはもうご愛敬だ。
当の本人はそんなのに構う事無くお菓子に向けて手を届かせようと必死であるが。
「つかお前、そのなりでコンビニ行ったのかよ……店員ビビるだろ」
「当たり前じゃん、そんなの知った事じゃないわよ」
想像してもみよう。
瀬玲の髪はこれでもかと言う程に長い上に薄青緑で、ただでさえ目立つ。
魔特隊の隊員であるが故に有名人で、当然アニメにもモチーフキャラは居る。
その様な人物が突然現れて、両手に下げたカゴ一杯のスィーツや飲み物を買っていくのだ。
地元民とはいえ、余りのサプライズに驚くのは当然と言える。
そしてその姿が如何にシュールか……言うに忍びない。
「まぁ、店員にはサイン求められたけどね、描いたけど」
「応えたのかよッ!?」
今日の心輝のツッコミは切れ味抜群だ。
とはいえ……勇達は心ながらに思う。
「きっと心輝も、同じ状況ならしっかり応えるだろうな」と。
そんな他愛も無い雑談が続き、時間が過ぎていく。
とはいえ時間はまだまだたっぷりあるという事で、彼等の会話は更に盛り上がっていった。
すると、ふと心輝が時計を眺めて時刻を確認する。
時間現在十一時過ぎ……もうすぐレンネィが出勤してきてもおかしくない時間帯だ。
先日祖父母宅に缶詰だったという事もあり、一昨日の事件の後から彼女とは会っていない。
さすがに気にはなる様で、そわそわする姿を見せていた。
心輝がレンネィを待っている。
それが見てわかる様で、思わず皆の嘲笑を呼ぶ。
しかしナターシャだけは……それに気付くと、思わず顔を俯かせた。
勇と茶奈がそんな彼女の姿を見掛け、心配そうな視線を向ける。
気付けば二人もまたナターシャの様に黙り込んでいた。
まるでそれが連鎖する様に、途端周囲に静けさを呼ぶ。
「やっぱり、レンネィさんと何かあったんじゃないか?」
「ううん、ちがうよ、ママとは何もない……」
その言葉が一つの仮説を呼び込む。
レンネィとは何も無い……では、誰と何があったのか。
恐らく、アンディと何かがあったのだろう。
それを察した勇達の心配が募る。
あれだけ仲の良かった兄妹に何が起きたのか……不思議でしょうがなかったのだ。
そんな時……マヴォの太い手がナターシャの頭を掴み、わしゃりと押し付ける様に撫でまわした。
「痛い、なにするのマヴォ!?」
それは撫でるというよりも、どこか躾ける様な荒々しいもの。
痛がるナターシャを前に、マヴォは抑える事もせず。
「やはり変な事になる前に話しておけ? お前がだんまりしてても余計にこじれるだけだぞ……」
「うー……」
マヴォの口ぶりは何か事情を知っているよう。
それに気付いた勇達の視線を集めると、マヴォは察して頷き応えた。
「実はな、俺もその事情に途中から絡んでる。 とはいえ深い所はナターシャから聞いただけで、正直魔特隊で魔者の俺じゃあどうしようもない事だと思ってる」
どうにも根が深そうな話題に、勇達が神妙な面持ちをナターシャに向け始めた。
マヴォが手を出せないという事はつまり、人としての生活圏に何かしらの問題があるという事。
アンディが問題なのか、アンディの取り巻く環境が問題なのか、それは話してくれないとわからないという訳だ。
「さもねぇと……あのコト俺がバラすぞぉ?」
「マヴォ!! それはやめてぇ!!」
そこに覗くのはかつてのいじらしいマヴォの姿。
女の子のヒミツを暴露しようと言うのだ、いじらしくもなければ只の嫌がらせにもなりかねないからだろう。
しかしその一言がキッカケとなったのか……縮こまっていたナターシャの腕が机の上に「ドスン」と乗せられた。
「わかったぁ……話すよぉ~……」
「それでいいんだ」
とうとうナターシャが観念すると、マヴォは大きな腕を組んで大きく頷く。
彼にとってはそうしてでも話しておくべきだと思ったのだろう。
少々強引な引き出し方ではあったが。
ゆっくりとナターシャが語り始め、勇達が静かに聞き耳を立てる。
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そこから彼女を陰鬱とさせる事件が幕を開けたのだった。
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