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第三十二節「熱き地の再会 真実は今ここに 目覚めよ創世」
~心が交わりし時の唄~
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勇が誘われるままに迷い込んだのは……星の中心、【アストラルストリーム】。
そこに待っていたのは、『あちら側』に伝承されし伝説の天士……【創世の女神】ア・リーヴェ。
時を重ねる事の無い空間で、二人が対話を交わす。
それは心のあるがままに……。
「俺の事を待っていたって言っていたけど……何故俺なんだ? どうしてここに……?」
途端に勇の心から溢れ出るのは様々な疑問。
それもそのはず……ここに来れる方法すらわからなかったのに、今ここにこうして居る。
それが不思議に思えてしょうがなくて。
そもそもどうやってタイから日本に戻って来たのかすらわからないままだ。
そうも考えれば……そんな質問も出て来るだろう。
しかしア・リーヴェはその問いを前に頷くも……答えはしなかった。
ただ一声、それらの全ての答えが集約された一言を返すのみ。
『私は貴方の事をずっと見ていました……いつかここに至れる事を心から願って』
そう語る彼女の口元は上がり、優しい笑顔を覗かせる。
再び淡い黄色の雰囲気が彼女を包む中、勇は思わずその首を傾げさせていた。
「俺を……ずっと……?」
『はい……。 世界の融合が始まり、貴方が戦う事を選んだその日から……私は貴方を、貴方の様な人々をずっと見てきたのです。 この世界に至れる可能性を有した存在を』
するとア・リーヴェは見開いていた瞳を閉じ、胸元へその腕を回す。
まるで何かを思い起こすかの様に……。
『この世界は星の心……より近い力を持つ者にしか辿り着けません。 そう、貴方が今持つ【願いの力】と呼ぶ力の事です』
「願いの力がこの世界に来る為の鍵……じゃあ一体何なんだこの力は……?」
願いの力は不可視の力。
本人でもわからない、謎の力。
人の願いと想いを受け取り、その度合いを増す。
強くとも不安定で、それでいて信頼出来るが信用出来ない。
そんな力の在り方が不安でもあったから……彼はつい、訊いていた。
その問いに、ア・リーヴェは答える。
何一つ躊躇う事無く、惜しげも無く。
『貴方の持つ力……それは、【命力】です』
その一言を聴いた途端、勇が驚きを示す。
「なっ……そんなバカな、命力ならなんで……!!」
そう、【願いの力】は命力と似ていても異なる物だった。
どちらも使った事のある勇だからわかる事だ。
自由か不自由か……それほどまでに差のある力だったから。
だがア・リーヴェには勇がそう返す事をきっとわかっていたのだろう。
考えを巡らせる事も無く……口からそっと答えが囁かれた。
『現在において使われている力は、命力であって命力ではありません……。 あの力はいわば星から借りた仮初めの力。 魔剣や魔者達を媒体にして星から得ているに過ぎません』
それを聞いた途端から……勇はただ唖然とするのみ。
ずっと自分の力だと思っていた。
少なくても、自分の持つ特別な力なのだと。
そんな自分達の使っていた力が仮初めだったという事実に。
しかしこの瞬間……心での対話によって真に理解する。
考えても見ればその通りなのかもしれない。
万物に宿る命力……それは星から与えられた力。
生きていく為に必要だから……星から分けてもらっていた。
それを人間や魔者は媒体を介して自由に使えただけ……。
使い切ったら死ぬ……それはまだ、彼等が星に依存しているから。
『そして貴方の持つ力こそが、人間が本来持つべき本当の命力。 人間そのものの心で生み出し、他者の心を受けて増幅し、星に頼らずとも生きていける無限の力。 前向きさや希望に溢れた者だけが持つ事の出来る真の命力なのです』
「真の……命力……」
そして閉じていたア・リーヴェの目が見開かれ、勇との視線が合わさった時―――
―――彼女は応える。
『敢えて別の名で呼ぶならば……【天力】』
それこそが勇の力の根源の名。
ア・リーヴェが待ち望みし力の名。
「天力……それが俺の力の名……」
『そう……そしてその力こそが天士の本質。 しかしそれでいて特別では無い力です』
彼女の見ていた人間が勇だけでは無かった様に。
彼と同じ素質を持った人間は少なくは無いのだろう。
きっと勇が思う以上に……。
『そして貴方はこうしてそれに至った……それこそが私の持つ希望。 きっとそれは……混沌によって滅びに向かう世界の反発する力によって生み出された最後の奇跡なのかもしれません』
自身を抱いていた腕が解かれ、両手が勇へとそっと差し向けられる。
細い指の並ぶ掌を包んでしまいたいと思わんばかりに広げながら。
『だから私は……貴方に希望を託します』
「希望……?」
『ええ……貴方に私の識る全てを伝えたい。 その知識と知恵、そしてこれからどうするべきか……貴方に全てを委ねたいから』
「ア・リーヴェ……」
それが彼女の望み。
天士である彼女では何も出来ないとわかっているから。
そして同じ力を持つ勇ならば、きっと事を成せると信じているから。
だからこそ彼女は……今、勇へと全てを託せる。
『ですがこの場所に来た時から、貴方はもう全てを知っていたのですよ?』
その瞬間……勇の心に旋風の様な力の流れが吹き荒れた。
たったその一言を聴いただけだった。
たったそれだけで……勇の脳裏に突如として様々な情報が流れ込み始めたのだ。
天力という力、その根源。
天力と命力と、その在り方。
天士という存在。
ア・リーヴェという存在。
彼女の知恵と考え方。
世界の成り立ち。
世界の在り方。
それら事の全て。
頭の全てが掻き消されてしまいそうな程の凄まじい情報量。
一つの星が生まれる事よりもずっとずっと多い、一人の人間では許容出来るはずも無い程の。
だがそれでいて……不思議と定着し、今までの記憶と混ざっていく感覚。
気付けばまるで自分が全てを感じて来たかのように……自身の記憶と一体化していた。
『貴方はこうして全てを知りました。 私の知る全てを知りました。 その上で敢えて問います……貴方は―――』
「その問いに答える必要は無いよ、ア・リーヴェ。 ここに居る、それだけで十分だ」
全てが終わった時……勇の心は不思議と澄み切っていた。
きっと記憶の中には凄惨な事もあっただろう、彼女の罪も知っただろう。
そして全てが真実なのだろう。
でもそれでいて……知る事が出来たから。
「俺は君に出会えて良かった……これで俺は全てが守れるよ……!!」
その一言を発した時の素顔が余りにも眩しくて。
希望に満ち溢れた笑顔が輝いていて。
ア・リーヴェは自然と……安堵の笑みを浮かべていた。
『ありがとう……藤咲勇……来てくれたのが貴方で本当に良かった……』
微笑みを浮かべても、その頬に伝う雫はどこか哀愁の藍色が混じる。
その色の中にも様々な感情の色が織り交ざり、その想いの深さを示すかのよう。
勇もまたその感情の根源を知ったから……頷きを返せた。
慈しみと、慰めの念を以って。
「それじゃあ俺は行くよ。 皆が待ってる」
『ええ……きっと貴方の力はお友達を救う力になります。 願わくば……ここまで歪んでしまった世界をも救ってください……』
「ああ、任せてくれ!」
その一言を最後に突如勇の体が光り輝き……空間の白に溶ける様に消え去った。
残ったア・リーヴェは一人、どことも知れぬ勇の存在を感じながら見上げ……その想いを世界に広げる。
『どうか……どうか救ってください……この世界を……。 例えあの人を討つ事になろうとも……私はもう……』
そしてその一言が呟かれたと同時に……ア・リーヴェもまた光の粒へと還り、星の心と混じり合ったのだった。
こうして世界は……勇を待つ。
そこに待っていたのは、『あちら側』に伝承されし伝説の天士……【創世の女神】ア・リーヴェ。
時を重ねる事の無い空間で、二人が対話を交わす。
それは心のあるがままに……。
「俺の事を待っていたって言っていたけど……何故俺なんだ? どうしてここに……?」
途端に勇の心から溢れ出るのは様々な疑問。
それもそのはず……ここに来れる方法すらわからなかったのに、今ここにこうして居る。
それが不思議に思えてしょうがなくて。
そもそもどうやってタイから日本に戻って来たのかすらわからないままだ。
そうも考えれば……そんな質問も出て来るだろう。
しかしア・リーヴェはその問いを前に頷くも……答えはしなかった。
ただ一声、それらの全ての答えが集約された一言を返すのみ。
『私は貴方の事をずっと見ていました……いつかここに至れる事を心から願って』
そう語る彼女の口元は上がり、優しい笑顔を覗かせる。
再び淡い黄色の雰囲気が彼女を包む中、勇は思わずその首を傾げさせていた。
「俺を……ずっと……?」
『はい……。 世界の融合が始まり、貴方が戦う事を選んだその日から……私は貴方を、貴方の様な人々をずっと見てきたのです。 この世界に至れる可能性を有した存在を』
するとア・リーヴェは見開いていた瞳を閉じ、胸元へその腕を回す。
まるで何かを思い起こすかの様に……。
『この世界は星の心……より近い力を持つ者にしか辿り着けません。 そう、貴方が今持つ【願いの力】と呼ぶ力の事です』
「願いの力がこの世界に来る為の鍵……じゃあ一体何なんだこの力は……?」
願いの力は不可視の力。
本人でもわからない、謎の力。
人の願いと想いを受け取り、その度合いを増す。
強くとも不安定で、それでいて信頼出来るが信用出来ない。
そんな力の在り方が不安でもあったから……彼はつい、訊いていた。
その問いに、ア・リーヴェは答える。
何一つ躊躇う事無く、惜しげも無く。
『貴方の持つ力……それは、【命力】です』
その一言を聴いた途端、勇が驚きを示す。
「なっ……そんなバカな、命力ならなんで……!!」
そう、【願いの力】は命力と似ていても異なる物だった。
どちらも使った事のある勇だからわかる事だ。
自由か不自由か……それほどまでに差のある力だったから。
だがア・リーヴェには勇がそう返す事をきっとわかっていたのだろう。
考えを巡らせる事も無く……口からそっと答えが囁かれた。
『現在において使われている力は、命力であって命力ではありません……。 あの力はいわば星から借りた仮初めの力。 魔剣や魔者達を媒体にして星から得ているに過ぎません』
それを聞いた途端から……勇はただ唖然とするのみ。
ずっと自分の力だと思っていた。
少なくても、自分の持つ特別な力なのだと。
そんな自分達の使っていた力が仮初めだったという事実に。
しかしこの瞬間……心での対話によって真に理解する。
考えても見ればその通りなのかもしれない。
万物に宿る命力……それは星から与えられた力。
生きていく為に必要だから……星から分けてもらっていた。
それを人間や魔者は媒体を介して自由に使えただけ……。
使い切ったら死ぬ……それはまだ、彼等が星に依存しているから。
『そして貴方の持つ力こそが、人間が本来持つべき本当の命力。 人間そのものの心で生み出し、他者の心を受けて増幅し、星に頼らずとも生きていける無限の力。 前向きさや希望に溢れた者だけが持つ事の出来る真の命力なのです』
「真の……命力……」
そして閉じていたア・リーヴェの目が見開かれ、勇との視線が合わさった時―――
―――彼女は応える。
『敢えて別の名で呼ぶならば……【天力】』
それこそが勇の力の根源の名。
ア・リーヴェが待ち望みし力の名。
「天力……それが俺の力の名……」
『そう……そしてその力こそが天士の本質。 しかしそれでいて特別では無い力です』
彼女の見ていた人間が勇だけでは無かった様に。
彼と同じ素質を持った人間は少なくは無いのだろう。
きっと勇が思う以上に……。
『そして貴方はこうしてそれに至った……それこそが私の持つ希望。 きっとそれは……混沌によって滅びに向かう世界の反発する力によって生み出された最後の奇跡なのかもしれません』
自身を抱いていた腕が解かれ、両手が勇へとそっと差し向けられる。
細い指の並ぶ掌を包んでしまいたいと思わんばかりに広げながら。
『だから私は……貴方に希望を託します』
「希望……?」
『ええ……貴方に私の識る全てを伝えたい。 その知識と知恵、そしてこれからどうするべきか……貴方に全てを委ねたいから』
「ア・リーヴェ……」
それが彼女の望み。
天士である彼女では何も出来ないとわかっているから。
そして同じ力を持つ勇ならば、きっと事を成せると信じているから。
だからこそ彼女は……今、勇へと全てを託せる。
『ですがこの場所に来た時から、貴方はもう全てを知っていたのですよ?』
その瞬間……勇の心に旋風の様な力の流れが吹き荒れた。
たったその一言を聴いただけだった。
たったそれだけで……勇の脳裏に突如として様々な情報が流れ込み始めたのだ。
天力という力、その根源。
天力と命力と、その在り方。
天士という存在。
ア・リーヴェという存在。
彼女の知恵と考え方。
世界の成り立ち。
世界の在り方。
それら事の全て。
頭の全てが掻き消されてしまいそうな程の凄まじい情報量。
一つの星が生まれる事よりもずっとずっと多い、一人の人間では許容出来るはずも無い程の。
だがそれでいて……不思議と定着し、今までの記憶と混ざっていく感覚。
気付けばまるで自分が全てを感じて来たかのように……自身の記憶と一体化していた。
『貴方はこうして全てを知りました。 私の知る全てを知りました。 その上で敢えて問います……貴方は―――』
「その問いに答える必要は無いよ、ア・リーヴェ。 ここに居る、それだけで十分だ」
全てが終わった時……勇の心は不思議と澄み切っていた。
きっと記憶の中には凄惨な事もあっただろう、彼女の罪も知っただろう。
そして全てが真実なのだろう。
でもそれでいて……知る事が出来たから。
「俺は君に出会えて良かった……これで俺は全てが守れるよ……!!」
その一言を発した時の素顔が余りにも眩しくて。
希望に満ち溢れた笑顔が輝いていて。
ア・リーヴェは自然と……安堵の笑みを浮かべていた。
『ありがとう……藤咲勇……来てくれたのが貴方で本当に良かった……』
微笑みを浮かべても、その頬に伝う雫はどこか哀愁の藍色が混じる。
その色の中にも様々な感情の色が織り交ざり、その想いの深さを示すかのよう。
勇もまたその感情の根源を知ったから……頷きを返せた。
慈しみと、慰めの念を以って。
「それじゃあ俺は行くよ。 皆が待ってる」
『ええ……きっと貴方の力はお友達を救う力になります。 願わくば……ここまで歪んでしまった世界をも救ってください……』
「ああ、任せてくれ!」
その一言を最後に突如勇の体が光り輝き……空間の白に溶ける様に消え去った。
残ったア・リーヴェは一人、どことも知れぬ勇の存在を感じながら見上げ……その想いを世界に広げる。
『どうか……どうか救ってください……この世界を……。 例えあの人を討つ事になろうとも……私はもう……』
そしてその一言が呟かれたと同時に……ア・リーヴェもまた光の粒へと還り、星の心と混じり合ったのだった。
こうして世界は……勇を待つ。
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