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第三十八節「反旗に誓いと祈りを 六崩恐襲 救世主達は今を願いて」
~邪神と準神~
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ここはどこかもわからぬとある場所。
未だ暗闇に抱かれたままの地にて、茶奈が一人立つ。
映像でも着ていた純白のワンピースを身に纏ったまま。
背には【翼燐エフタリオン】を。
手には星一つ欠いた【ユーグリッツァー】を。
そうして微笑みを浮かべる姿はまさしく天使のよう。
だがその内に潜むのは―――漆黒の闇である。
ありとあらゆる負の感情が集まり、溶け込み、混ざり合って。
如何な色でさえも飲み込み塗り潰す極闇だ。
「さぁ【六崩世神】達よ。 来たるべき時が来ました。 この愚かな世界を終わらせて、前世界への一歩を踏み出す時が。 それでは肉の皆さんへの手向けに至福の悦痛を、至上の快苦を贈り届けましょう」
その闇が囀らせるの慈悲無き慈悲の言葉ばかりで。
優悦に塗れたその顔には罪悪感など一抹も付いてはいない。
これこそが負の極致。
苦痛を至極とし、人が望むのも苦痛と信じて疑わない。
全て者が望みしは最上級の苦しみなのだと。
故に六つの負力がそんな邪神から生まれた。
【憤常】―――常に怒り、憤りを他者にぶつける事を是とする。
【諦唯】―――唯々諦め、抗う意思さえ溶かし尽くさん。
【劣妬】―――優れた者を妬み、劣る事に優悦さえ感じよう。
【揚猜】―――全てが猜疑に塗れる、心の奥底から望む程に。
【忘虚】―――忘れよ、記憶の欠片さえも虚空の彼方へと。
【憎悦】―――憎み、怨む事に至上至極の悦びを。
その六つの負力が生みしは【六崩世神】。
各々の神力を手に、邪神への供物を捧げる鋭兵となろう。
「【憤常】ゴルペオ、【諦唯】マドパージェ、【劣妬】ペルペイン、【揚猜】オーギュ、【忘虚】ロワ
、そして【憎悦】……やっと貴方達の役目を果たす時が来ました。 思う存分に力を奮ってくださいね」
『おお我が主よ! 其がお言葉だけでこのゴルペオ、全てを賭けられましょうぞ』
『麗しき姿となられました主様。 どうかこれからも我等に崩世の導きを』
『やった。 ペルね、ペルね、ずっとずっとたのしみにしてたの』
『ようやくこの時が来たあッ!! ようやく主様の力になれるうッ!!』
『キヒヒッ!! 溜まりに溜まった鬱憤を晴らさせて頂くぜぇ』
茶奈の言葉に合わせ、それぞれの負力を司る光達が暴れる様に動き回る。
それぞれの特性に見合った動きを見せながら。
この時を待っていたと言わんばかりに激しく。
ただ、一つの光を除いては。
『悪いがァ、俺はアンタの言う事を素直に聞くつもりは無い』
『『『ッ!?』』』
それは黒の光―――【憎悦】。
淡い白の燐光膜を添わせているからか暗闇の中でも際立っていて。
荒く激しくうねる姿が負の激情を表している事には変わりないのだが。
この時見せた感情はまるで叛意だ。
とても従者とは思えない程の。
『―――ただ殺す!! 人間も魔者も!! 堕ちる世界など知った事か!!』
ただその感情は一時を置くだけでまるで別人の如くガラリと変わる。
光の激しくも纏まりの無い蠢きを体現するかの様に。
『そう、絶望に満ちた世界は私の意のままに……!!』
その言動からは、茶奈の意図や目的を理解しているかどうかさえ疑わしい。
それだけ神格は破綻し、語る言葉はどうにも滅裂で。
でもそんな黒光に対しても、茶奈の微笑みは崩れる事も無く。
駄々を捏ねる子供をあやす様に、その手を掲げて黒い光を優しく撫で上げていて。
「ええ、そうですね【憎悦】。 貴方の思うがままに動いて構いません。 力を思う存分に奮ってください。 その為に貴方を造り上げたのですから」
『ならばそうさせてもらおう』
しかしそれに靡く事も無く、黒光は無粋な言葉を残して天へ昇っていく。
他の五光を置いて、鋭く刺すかの様に一直線に。
間も無く暗空へと消え、跡に残したのは五光の憤りのみ。
『おのれ【憎悦】ゥ、なんという奴だぁ!! 真名無き新参者の分際で!!』
その黒光へと真っ先に苛立ちを見せたのは、やはり【揚猜】だ。
稲妻が如き黄光を迸らせ、怒りを露にする様子が。
ただそんな黄光へと、白い肌の手甲がそっと伸びて。
その猛りを撫で受け止める様にゆるりと手首が捻られ、反った指先が微かに触れる。
「構いません。 結局は私の意思のままに動く事になるでしょう。 叛意を見せても、まだ意思を纏める事は出来ていませんから」
『おおさすが主様ァ!! なんたる慈悲か!! まさしく、神!!』
そう一撫ですれば、激しく迸っていた光達もたちまち鎮まろう。
なれば再び五光が纏まり、円を描く様に回り始めていて。
『『『では我等も御心のままに責務を果たしましょうぞ』』』
その直後、残光を引いて空へ。
末には各地へと散る様にして別れ跳ぶ。
五色の軌跡を描き残したまま。
世界を滅ぼす最後の仕上げを成す為に。
「さぁ世界の終わりがやっと始まります。 勇さんはこれにどう抗いますか? クフ、クフフ……!!」
そしてその光達を見上げ、茶奈がほくそ笑む。
来たるべき世界の滅びを讃えるかの様に。
もう彼女に世界崩壊以外の道筋は見えていないのだろう。
勇達の抵抗すら、ただのあがきとしか思っていないから。
世界は間違い無く滅ぶのだと、そう確証を持っているからこそ。
故にもう、終わりへの足踏みは―――止まらない。
『ふははは!! 待っていろディーーーックッ!! お前は、俺が殺すゥ!! その家族も!! 仲間も!! そして私は世界の女王となるのですッ!!』
その世界の片隅で、黒光が咆え散らかして飛んで行く。
己の目的も、望みも、それに至る手段さえも理解せぬまま。
ただただ思った事ばかりを口走って。
それが全て、負の女神に踊らされている事なのだとも知らずに。
その負の女神が与えし慈悲は世界の崩壊のみ。
それ以外に成す慈悲など有り得はしない。
人も魔者も、その末に現実を思い知るだろう。
自分達の信じてきた偶像神が、現神に対して如何に無力なのかという事を。
未だ暗闇に抱かれたままの地にて、茶奈が一人立つ。
映像でも着ていた純白のワンピースを身に纏ったまま。
背には【翼燐エフタリオン】を。
手には星一つ欠いた【ユーグリッツァー】を。
そうして微笑みを浮かべる姿はまさしく天使のよう。
だがその内に潜むのは―――漆黒の闇である。
ありとあらゆる負の感情が集まり、溶け込み、混ざり合って。
如何な色でさえも飲み込み塗り潰す極闇だ。
「さぁ【六崩世神】達よ。 来たるべき時が来ました。 この愚かな世界を終わらせて、前世界への一歩を踏み出す時が。 それでは肉の皆さんへの手向けに至福の悦痛を、至上の快苦を贈り届けましょう」
その闇が囀らせるの慈悲無き慈悲の言葉ばかりで。
優悦に塗れたその顔には罪悪感など一抹も付いてはいない。
これこそが負の極致。
苦痛を至極とし、人が望むのも苦痛と信じて疑わない。
全て者が望みしは最上級の苦しみなのだと。
故に六つの負力がそんな邪神から生まれた。
【憤常】―――常に怒り、憤りを他者にぶつける事を是とする。
【諦唯】―――唯々諦め、抗う意思さえ溶かし尽くさん。
【劣妬】―――優れた者を妬み、劣る事に優悦さえ感じよう。
【揚猜】―――全てが猜疑に塗れる、心の奥底から望む程に。
【忘虚】―――忘れよ、記憶の欠片さえも虚空の彼方へと。
【憎悦】―――憎み、怨む事に至上至極の悦びを。
その六つの負力が生みしは【六崩世神】。
各々の神力を手に、邪神への供物を捧げる鋭兵となろう。
「【憤常】ゴルペオ、【諦唯】マドパージェ、【劣妬】ペルペイン、【揚猜】オーギュ、【忘虚】ロワ
、そして【憎悦】……やっと貴方達の役目を果たす時が来ました。 思う存分に力を奮ってくださいね」
『おお我が主よ! 其がお言葉だけでこのゴルペオ、全てを賭けられましょうぞ』
『麗しき姿となられました主様。 どうかこれからも我等に崩世の導きを』
『やった。 ペルね、ペルね、ずっとずっとたのしみにしてたの』
『ようやくこの時が来たあッ!! ようやく主様の力になれるうッ!!』
『キヒヒッ!! 溜まりに溜まった鬱憤を晴らさせて頂くぜぇ』
茶奈の言葉に合わせ、それぞれの負力を司る光達が暴れる様に動き回る。
それぞれの特性に見合った動きを見せながら。
この時を待っていたと言わんばかりに激しく。
ただ、一つの光を除いては。
『悪いがァ、俺はアンタの言う事を素直に聞くつもりは無い』
『『『ッ!?』』』
それは黒の光―――【憎悦】。
淡い白の燐光膜を添わせているからか暗闇の中でも際立っていて。
荒く激しくうねる姿が負の激情を表している事には変わりないのだが。
この時見せた感情はまるで叛意だ。
とても従者とは思えない程の。
『―――ただ殺す!! 人間も魔者も!! 堕ちる世界など知った事か!!』
ただその感情は一時を置くだけでまるで別人の如くガラリと変わる。
光の激しくも纏まりの無い蠢きを体現するかの様に。
『そう、絶望に満ちた世界は私の意のままに……!!』
その言動からは、茶奈の意図や目的を理解しているかどうかさえ疑わしい。
それだけ神格は破綻し、語る言葉はどうにも滅裂で。
でもそんな黒光に対しても、茶奈の微笑みは崩れる事も無く。
駄々を捏ねる子供をあやす様に、その手を掲げて黒い光を優しく撫で上げていて。
「ええ、そうですね【憎悦】。 貴方の思うがままに動いて構いません。 力を思う存分に奮ってください。 その為に貴方を造り上げたのですから」
『ならばそうさせてもらおう』
しかしそれに靡く事も無く、黒光は無粋な言葉を残して天へ昇っていく。
他の五光を置いて、鋭く刺すかの様に一直線に。
間も無く暗空へと消え、跡に残したのは五光の憤りのみ。
『おのれ【憎悦】ゥ、なんという奴だぁ!! 真名無き新参者の分際で!!』
その黒光へと真っ先に苛立ちを見せたのは、やはり【揚猜】だ。
稲妻が如き黄光を迸らせ、怒りを露にする様子が。
ただそんな黄光へと、白い肌の手甲がそっと伸びて。
その猛りを撫で受け止める様にゆるりと手首が捻られ、反った指先が微かに触れる。
「構いません。 結局は私の意思のままに動く事になるでしょう。 叛意を見せても、まだ意思を纏める事は出来ていませんから」
『おおさすが主様ァ!! なんたる慈悲か!! まさしく、神!!』
そう一撫ですれば、激しく迸っていた光達もたちまち鎮まろう。
なれば再び五光が纏まり、円を描く様に回り始めていて。
『『『では我等も御心のままに責務を果たしましょうぞ』』』
その直後、残光を引いて空へ。
末には各地へと散る様にして別れ跳ぶ。
五色の軌跡を描き残したまま。
世界を滅ぼす最後の仕上げを成す為に。
「さぁ世界の終わりがやっと始まります。 勇さんはこれにどう抗いますか? クフ、クフフ……!!」
そしてその光達を見上げ、茶奈がほくそ笑む。
来たるべき世界の滅びを讃えるかの様に。
もう彼女に世界崩壊以外の道筋は見えていないのだろう。
勇達の抵抗すら、ただのあがきとしか思っていないから。
世界は間違い無く滅ぶのだと、そう確証を持っているからこそ。
故にもう、終わりへの足踏みは―――止まらない。
『ふははは!! 待っていろディーーーックッ!! お前は、俺が殺すゥ!! その家族も!! 仲間も!! そして私は世界の女王となるのですッ!!』
その世界の片隅で、黒光が咆え散らかして飛んで行く。
己の目的も、望みも、それに至る手段さえも理解せぬまま。
ただただ思った事ばかりを口走って。
それが全て、負の女神に踊らされている事なのだとも知らずに。
その負の女神が与えし慈悲は世界の崩壊のみ。
それ以外に成す慈悲など有り得はしない。
人も魔者も、その末に現実を思い知るだろう。
自分達の信じてきた偶像神が、現神に対して如何に無力なのかという事を。
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