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第九節「人が結ぶ世界 白下の誓い 闇に消えぬ」
~善意と悪意と定められぬモノ 疑~
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理由の説明を経て、なんとかフェノーダラ王への嫌疑は晴れた。
個人的な印象の低下だけはどうにも避けられなかったが。
しかし話はこれだけで終わりという訳では無い。
事の経緯や詳細情報のやりとりも必要だ。
これは問題云々の前の、二国間での条約だからこそ。
問題があったからと疎かにすれば、それは逆に福留ら日本政府の不備となる。
条約とは何があろうと守らねばならない。
決して疎かにしない事が明日の信用へと繋がるのだから。
「―――というのが今回の活動報告となります」
「説明をありがとう。 しかしまさかあの噂の【白の兄弟】と和解するとはな。 勇殿の懐の広さはもはや図り知れん。 完全に我々の想像の域を超えているよ」
「はは、その内紹介しますよ」
「う、む。 だが城に連れてくるのだけは申し訳ないが避けて欲しい。 全てが勇殿と同じ考えという訳では無いからな。 魔者に家族や友人を殺された者も少なくはないのだから」
そのやりとりの中でこうして驚くのももう珍しい事ではない。
なにせ都度驚かされてばかりなので。
それだけ勇達が『あちら側』にとっての偉業を数々成し遂げているという事なのだろう。
ただそれは逆に言うと、彼等がまだ現代に馴染みきっていないという事でもある。
つまり彼等は言うほど順応性が高くないという事だ。
アージという見本が現れたからこそ見えてくる本質と言った所か。
機械や文化には好奇心があるからまだ慣れられるけれど。
でも精神面ではまだまだ幼稚、という感じで。
後は、次々に文化を受け入れてくれるエウリィ次第だろう。
彼女だけは知性を感じさせてくれるので、懸ける期待は大きいと言える。
「にしても剣聖さん、明らかにドゥーラさんの事知ってましたよね? 面識とかあるんです?」
「たぁーーー!! どうしてお前はそうして蒸し返すんだぁよぉ!! あの女の事なんざどうでもいいだろぅがよぉぉぉう!! 話したくもねぇわ、あんな気色悪い奴なんざぁ!!」
あとこのよくわからない人も。
賢いんだか子供っぽいんだか本当によくわからない。
掴み所があるのか無いのかも。
ついでに言うと、強いのか弱いのかも。
最強を謳うくらいなのだから相応に強いのだろうが、イマイチ天井が見えなくて。
あの福留でさえ読み切れないのだから相当に棚の引き出しが深いのだろう。
それこそ王の間一杯に引いても開け切らない程に。
「剣聖殿は最強三者【三剣魔】の一人、その頂点と呼ばれる程の実力の持ち主だ。 しかしあのドゥーラは確か噂だと、それにも匹敵する強さとも言われていてね。 その性格から【暗踏者】などとも呼ばれているという」
「剣聖さんって【三剣魔】って呼ばれてるんだ。 てっきり〝剣聖〟が仇名なのかと思ってた」
「それも一つの銘ってだけだぁよ。 色々呼ばれ過ぎて纏まりがねぇだけだ。 だぁが、あの女と同格っていうのは納得いかねぇ!! 奴ぁ実力はねぇ! 命力に異常な執着があるだけだぁよぉ!!」
おまけにこうして負けず嫌いな所も。
本当に謎の多い人物である。
こうして絡み易いのがせめてもの救いか。
それを知っているからか、フェノーダラ王の話の引き出し方はとても上手い。
まるで子供のあやし方を知り尽くした親の様だ。
「あいつぁ昔こそ可愛げのあるいい女だったんだがな。 次に会った時はあんなんだった。 何があったのかは知らねぇが、もう二度と会いたくねぇと思ったのは確かだ。 それくらい不気味だったってこった」
「へぇ、剣聖さんも接点があったんですね」
「そこの阿呆王みてぇに節操の無い事はしてねぇけどなぁ!」
「ウグッ……」
ただ今となっては互いに弱点を掴み合っている状態で。
ならばとのお返しは、懐へと穴が開きそうな程に痛々しい。
するとたちまち冷静な口撃が二人の間で飛び交う事に。
こうなってはもはやどちらが親で子なのやら。
勇も福留もそんな応酬を前にもはや失笑気味である。
「で、でも俺は最初あの人が危険だってイメージはまるで無かったな。 むしろいい人って感じの方が強くて」
「そうですね、普通に話してくれましたし」
「ほう? それはなかなか面白い着眼点だな。 彼女と話をした者は大抵、気味悪がって近づかなくなるものなのだが」
そのやりとりの果てに剣聖が不貞腐れた中、勇が再び口を開く。
ドゥーラが危険人物である事には間違い無いが、当初感じた事も嘘では無かったから。
その事実から生まれたモヤモヤの原因を、彼女を良く知る人達に聞いてもらいたくて。
あながち王が言っていた事も嘘では無いのかもしれない、と。
ドゥーラは敵意を向けなければ害意を及ぼさない、と王は言っていた。
なら逆に、移動していた時の様に好意を向けたらどうだろうか。
むしろ良い事を教えてくれても不思議ではないのかもしれない。
実際に接合術も教えて貰い、マヴォもそれで救えたのだから。
だからそういう意味では、実はやっぱり良い人なのでは無いかとさえ再考させられて。
今までは気味悪がって誰も近づかなかったから、良い所が見えなかっただけ。
そうも考えれば、一概にドゥーラを悪人と決めつけられなくなる。
只の勘違いという線も否定出来ないからだ。
これがいわゆる勇のモヤモヤの原因である。
「ドゥーラさんは確かに怖いし、あの所業はとても許せる事じゃない。 けどあそこまでやったのは敵意を向けられたからだ。 それに人の体を治す方法も知ってましたし、俺達に教えもしてくれました。 ああいう技術って基本的に人を想わないと得られないんじゃないかって思うんです」
それに今回裏切りを見せたのは勇達の方。
ならばと、一方的に責める事は出来ない様で。
これが勇の優しさ故の意見なのだろう。
しかしこれは勇もちゃなもまだ知らないだけだ。
知り得た事だけが真実を映しているとは限らないという事を。
恩情や好意が必ずしも善意を司っている訳では無いという―――残酷な現実を。
個人的な印象の低下だけはどうにも避けられなかったが。
しかし話はこれだけで終わりという訳では無い。
事の経緯や詳細情報のやりとりも必要だ。
これは問題云々の前の、二国間での条約だからこそ。
問題があったからと疎かにすれば、それは逆に福留ら日本政府の不備となる。
条約とは何があろうと守らねばならない。
決して疎かにしない事が明日の信用へと繋がるのだから。
「―――というのが今回の活動報告となります」
「説明をありがとう。 しかしまさかあの噂の【白の兄弟】と和解するとはな。 勇殿の懐の広さはもはや図り知れん。 完全に我々の想像の域を超えているよ」
「はは、その内紹介しますよ」
「う、む。 だが城に連れてくるのだけは申し訳ないが避けて欲しい。 全てが勇殿と同じ考えという訳では無いからな。 魔者に家族や友人を殺された者も少なくはないのだから」
そのやりとりの中でこうして驚くのももう珍しい事ではない。
なにせ都度驚かされてばかりなので。
それだけ勇達が『あちら側』にとっての偉業を数々成し遂げているという事なのだろう。
ただそれは逆に言うと、彼等がまだ現代に馴染みきっていないという事でもある。
つまり彼等は言うほど順応性が高くないという事だ。
アージという見本が現れたからこそ見えてくる本質と言った所か。
機械や文化には好奇心があるからまだ慣れられるけれど。
でも精神面ではまだまだ幼稚、という感じで。
後は、次々に文化を受け入れてくれるエウリィ次第だろう。
彼女だけは知性を感じさせてくれるので、懸ける期待は大きいと言える。
「にしても剣聖さん、明らかにドゥーラさんの事知ってましたよね? 面識とかあるんです?」
「たぁーーー!! どうしてお前はそうして蒸し返すんだぁよぉ!! あの女の事なんざどうでもいいだろぅがよぉぉぉう!! 話したくもねぇわ、あんな気色悪い奴なんざぁ!!」
あとこのよくわからない人も。
賢いんだか子供っぽいんだか本当によくわからない。
掴み所があるのか無いのかも。
ついでに言うと、強いのか弱いのかも。
最強を謳うくらいなのだから相応に強いのだろうが、イマイチ天井が見えなくて。
あの福留でさえ読み切れないのだから相当に棚の引き出しが深いのだろう。
それこそ王の間一杯に引いても開け切らない程に。
「剣聖殿は最強三者【三剣魔】の一人、その頂点と呼ばれる程の実力の持ち主だ。 しかしあのドゥーラは確か噂だと、それにも匹敵する強さとも言われていてね。 その性格から【暗踏者】などとも呼ばれているという」
「剣聖さんって【三剣魔】って呼ばれてるんだ。 てっきり〝剣聖〟が仇名なのかと思ってた」
「それも一つの銘ってだけだぁよ。 色々呼ばれ過ぎて纏まりがねぇだけだ。 だぁが、あの女と同格っていうのは納得いかねぇ!! 奴ぁ実力はねぇ! 命力に異常な執着があるだけだぁよぉ!!」
おまけにこうして負けず嫌いな所も。
本当に謎の多い人物である。
こうして絡み易いのがせめてもの救いか。
それを知っているからか、フェノーダラ王の話の引き出し方はとても上手い。
まるで子供のあやし方を知り尽くした親の様だ。
「あいつぁ昔こそ可愛げのあるいい女だったんだがな。 次に会った時はあんなんだった。 何があったのかは知らねぇが、もう二度と会いたくねぇと思ったのは確かだ。 それくらい不気味だったってこった」
「へぇ、剣聖さんも接点があったんですね」
「そこの阿呆王みてぇに節操の無い事はしてねぇけどなぁ!」
「ウグッ……」
ただ今となっては互いに弱点を掴み合っている状態で。
ならばとのお返しは、懐へと穴が開きそうな程に痛々しい。
するとたちまち冷静な口撃が二人の間で飛び交う事に。
こうなってはもはやどちらが親で子なのやら。
勇も福留もそんな応酬を前にもはや失笑気味である。
「で、でも俺は最初あの人が危険だってイメージはまるで無かったな。 むしろいい人って感じの方が強くて」
「そうですね、普通に話してくれましたし」
「ほう? それはなかなか面白い着眼点だな。 彼女と話をした者は大抵、気味悪がって近づかなくなるものなのだが」
そのやりとりの果てに剣聖が不貞腐れた中、勇が再び口を開く。
ドゥーラが危険人物である事には間違い無いが、当初感じた事も嘘では無かったから。
その事実から生まれたモヤモヤの原因を、彼女を良く知る人達に聞いてもらいたくて。
あながち王が言っていた事も嘘では無いのかもしれない、と。
ドゥーラは敵意を向けなければ害意を及ぼさない、と王は言っていた。
なら逆に、移動していた時の様に好意を向けたらどうだろうか。
むしろ良い事を教えてくれても不思議ではないのかもしれない。
実際に接合術も教えて貰い、マヴォもそれで救えたのだから。
だからそういう意味では、実はやっぱり良い人なのでは無いかとさえ再考させられて。
今までは気味悪がって誰も近づかなかったから、良い所が見えなかっただけ。
そうも考えれば、一概にドゥーラを悪人と決めつけられなくなる。
只の勘違いという線も否定出来ないからだ。
これがいわゆる勇のモヤモヤの原因である。
「ドゥーラさんは確かに怖いし、あの所業はとても許せる事じゃない。 けどあそこまでやったのは敵意を向けられたからだ。 それに人の体を治す方法も知ってましたし、俺達に教えもしてくれました。 ああいう技術って基本的に人を想わないと得られないんじゃないかって思うんです」
それに今回裏切りを見せたのは勇達の方。
ならばと、一方的に責める事は出来ない様で。
これが勇の優しさ故の意見なのだろう。
しかしこれは勇もちゃなもまだ知らないだけだ。
知り得た事だけが真実を映しているとは限らないという事を。
恩情や好意が必ずしも善意を司っている訳では無いという―――残酷な現実を。
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