ピクトグラム君とバーチャルヘルパーちゃん ~異世界転生した底辺絵師ですが自由気ままに世界の常識を描き直そうと思います~

日奈 うさぎ

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第一章

第3話 想像力が全ての世界

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「んっがあーーーーーー!!!!!?????」
「グルゥオオオオオオ!!!!!!!!!」

 何とか生きてる俺! 初サバイバルなのにすごい!
 だけど生きてる心地がしねええええええ!!!!!

 相手も馬鹿じゃないらしく、一発一発深く薙ぎ払ってきて間合いを詰めて来る!
 俺の余裕をどんどん削ぎ取っていくかのようだ!

 だ、だが奴の行動パターンはなんとなく読めた気がするぞ。

 どうやら奴は立ち上がっての爪での攻撃が主らしく、割と下半身がお留守。
 だから屈むようにして懐脇へ逸れるようにして逃げれば割と逃げやすい!
 奴自身も地面に攻撃しにくそうで抵抗があるようだ。

 この方法でいけば、やれるっ!

 ……何を?

「なぁおいへるぱっ! なんかあるんだろ!? チートだとかなんとか言ってたんだから、攻撃手段とかさぁ!」

 どう見ても相手は熊みたいな奴だ。
 皮は厚そうだし、とてもじゃないが素手でどうにかなる相手じゃないだろう。
 
 でもここは異世界だ。
 だったらこう、魔法とかスペシャルなスキルで――

『え、あ、無いっすねー』

「――は!? おぅあっ!?」

 呆れるあまり、逃げるのが一瞬遅れた。
 本気で危ない所だった。

 でも攻撃手段がないってどういうことだよ!?
 じゃあこれどうすんだよ!?

『ここは所謂イマジネーションベーシズムな世界なのでぇ、そう都合のいい物とかないんですよー』

「な、なにがなんだってぇ!?」

『要は個人の想像力次第ってことでっす! だから、がんば!』

「はああああああ!!!!???」

 へるぱもてんで役に立ちそうにない。
 しかも意味不明なことばかり言うと思ったら、いつの間にか視界右下の端でチアガールみたいな服装になってポンポンを振り回し始めている。
 もうなんなんだよコイツは!?

 でももう考えている余裕がない。
 スタミナももう限界に近い、息切れがすごい。

 こんなの、もうダメってことじゃないか!?

「グゥルオオアアアア!!!!!」
「――ッ!!?」

 だがその一瞬を付いたウサギちゃんが今までにない挙動を見せた。
 逃がさんと言わんが如く、俺が通るよりも先に足元を爪で抉っていて。

 その瞬間、体が急な浮遊感に見舞われた。

 さっきのバイク事故と同じだ。
 ウサギちゃんが今、俺を見上げていて。

 それでもって俺は、草や土と共に空へと打ち上げられている!

「ごっ、強引過ぎでえっ!!?」

 ――あ、これダメだ。

 絶対逆らっちゃいけない奴だわ。

 そもそも遭遇したこと自体がアウトだろ……。

 そんな思考が次々よぎる中、背中に強い衝撃が走る。
 すると途端に鼻や顔にギュッと詰まる感覚が溜まり、たまらず視界がぼやけた。
 まるで誰かに思いっきりブン殴られたような感じだ。

 でもそんな中であろうとウサギちゃんが遠くから走ってくるのが微かに見える。
 それで悟ってしまった。

 これはもう助からないのだと。

「せっかく、生き、返ったのに……」

 残念だ。
 不愉快だ。
 どうしてこんな理不尽に見舞われなきゃいけないんだ。

 こんなことならいっそ、家で引き籠ってりゃよかった。
 アイツとも関係を切って、一人虚しく生きて行けば――



(頭ン中の絵ってのはさ、自分だけの世界なんだよ。それを体現したいって想い、お前にもあんだろ? だって想像が止まらないってのは、お前が心の中でそう望んでるってことだと思うから。だったらさ、もういっそやり続けてみようぜ?)



 今、親友の声が聞こえたような気がした。
 厳密に言えば、過去にこう言っていたのを思い出した。

 あの時、アイツは絵師を諦めようとしていた俺に教えてくれたっけ。
 俺が想像する限り、創作者であることは辞められないって。

 そしてこの異世界にやってきた。
 想像すること、イマジネーション。
 考えるよりも、閃きで象られる世界。

 それが、この世界の主体だっていうならば。

「グルゥアアアアア!!!!!」

 気付けばウサギちゃんが迫ろうとしていた。
 長く考えていたつもりが一秒も経っていなかったようだ。

 そして僅かな時間の中で俺は再び思い返す。
 親友のアイツと交わした約束を、自分が創作者であり続けたいと願ったことを。

 だから、俺は。

「う あ あ ああああああ!!!!!!」

 閃いてやろう。
 創造してやろう。
 この世界が、そのことを望むっていうのなら!

 その想いの下に地面を踏みしめる。
 さらには力の限りに踏み込み、敢えて奴へと向けて飛び出していた。

 今はただ、あのウサギ野郎をこの場から退場させてやろうという想いのままに。

 そして全力全霊で左拳をまっすぐ突き出したのだ。
 叫んで、想像して、ただ体の赴くままに。



 そうした時、俺の想像力は確かに爆発したのである。
 あの巨大なウサギちゃんが、空の彼方へとブッ飛ぶという形で。
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