断罪された悪役令嬢はそれでも自分勝手に生きていきたい

たかはし はしたか

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リリの場合9

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公爵
公爵となって三月。
生活を楽しんでいた。
何もかもが楽しかった。
今日は屋敷を隅々まで回ってみた。
うっかり女使用人の私室に入り込みそうになって叱られた。
叱られるのも楽しかったので、咎めなかった。
向こうはちょっと青ざめていたが。
明日は外に出て敷地を回ってみよう。
公爵になって一月が過ぎた頃から生活が、生きていることが楽しくて仕方ない。
夜会での前公爵の失脚から3日で公爵に叙されてここに来た。
最初は王宮から連れてきた乳母や使用人を公爵家に配していこうとした。
ところがなかなか引き継ぎが進まない。
致し方なく元公爵の雇っていた使用人ととりあえずの執務をこなした。
最初の決済の書類の中に領地の橋の改修工事があった。
少し気になることがあって前公爵の執事に話を聞いた。
その時執事の目がきらりと光った気がした。
あくまで引き継ぎをしていただけのはずの元使用人達の態度が少しずつ変わっていった。
変わらなかったのは王宮から連れてきた使用人達。
彼ら彼女らの多くはは元々貴族で家を継げなかったもの。
それでも王宮に勤めているというのは誇らしいものだったはず。
そして、考えないようにしていたが飼い殺しの王弟であった自分に仕えること自体望んではいなかったのだ。
それは行動の端々に現れる。
朝起きたら、公爵家の使用人がすぐに顔を洗う暖かい湯とタオルを持って現れる。
朝食の紅茶が私の好みのものに。
自分が気になったことを尋ねるとすぐに返事が来る、すぐに返事ができなくても必ず確認して報告が来る。
どれも、王宮ではなかったことだった。
連れてきた使用人は、王宮に帰した。
そして執事に相談のうえ元公爵の雇っていた使用人はそのまま雇い続けることとした。
公爵になって2ヶ月が経っていた。
そしてその頃に最初の決済書類の橋の改修が形になった。
それは公爵としての初仕事であり、意見が反映されていた。
時間を見つけて実際に現地に足を運び、自分の意見どおりに少しだけ幅を広げられていたのをみた時、感動した。
公爵になってよかったと。
体が震えた。
学んでも活かす場のない立場から、意見の通る人を動かせる立場になったのを実感した。
橋を渡る領民を見ていて、責任という言葉が浮かんできた。
変わらずルビーを探し続けてはいたが、その意味するところは変わった。
王位を狙うのではなく公爵家を守るために。


「どうしますか」
そう問われて、答えは決まっていた。
即答。
むしろくいぎみに。
目の前の女性は複雑な表情だった。

だらだらつづいてすいません。
次で終わります
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