断罪された悪役令嬢はそれでも自分勝手に生きていきたい

たかはし はしたか

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リリの場合8

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元公爵
王都を出てはや一月。
目的の辺境は近い。
もうそろそろ旅が終わる。
王宮でのパーティーから突然馬車に放り込まれ、従者もなく妻と2人旅となった。
何の準備もなかったので、途中の街で所持品を売り食事や宿を整えた。
王宮でのパーテイということもあって、夫婦揃ってしっかりドレスアップしていたのが幸いして、路銀に困ることはなかった。
生まれついての微妙な立ち位置のために、備えるべきは備えてきた。
妻のドレスの内側にはいつも貴金属の入ったポーチが取り付けてあった。
私の礼服の中にも数個の宝石や金貨が縫い付けてある。
何より健康に気を配り、体を鍛えた。
学びあらゆる経験を積んだ。
最低限の蓄財以外は領地への還元と子の教育にお金を注いできた。
この旅では移動の関係で数日の野宿を挟んだが私は火も起こせるし、ナイフも使える。
野宿であっても罠を作って狩りをしたり植物を採取したり、決して妻を飢えさせたりしなかった。
最初は冷ややかな態度だった御者も見届け人の騎士も、面倒を見させられるどころか夫婦で旅を楽しむ私たちを見て次第に態度を改めた。
まあ、そんなことはどうでもいい。
旅の終わりが見えてきて思うのは娘のこと。
王子が生まれた半年後に生まれた娘。
娘が生まれた時の王家は本当に喜んでいた。
当然娘が王子に嫁ぐのだと決めつけて。
娘が歩き始めた時から、私たち夫婦はありとあらゆることを娘に教えてきた。
厳しい親だったと思う。
それでも、娘はこう言ったのだ。
「お父様、王家との因縁は私の代で終わりにします。必ず私が終わらせます」
そう微笑んで、わずか8歳で王太子の婚約者となった。
王家は一筋縄ではいかない。
元国王の子として生まれた祖父が隣国の王女と結婚したのは理由があった。
王がくり返し兄夫婦に介入しようとしてたからだ。
それがうまく行かないと見ると血統を盾に兄夫婦の子つまり祖父をを養子にして王太子にしようとした。
王の手出しを控えさせるために交流のあった隣国の力を借りたのが真相だ。
そのごはたまたま男ばかりが生まれて、因縁が持ち越された。
それでも、いつも張り合ってこられて迷惑だった。
こちらを気にしなければいいのにと何度思ったことか。
表立ってはなにもないただの親戚だが、いつもチラチラ目のすみで見られているような生活だった。
もう妻は若くはない。
いや、十分若く麗しいが子を産むにはもう負担が大きすぎる。
ここからは私ではなく子供達の時代だろう。
娘がどんな決断をするのか。
それを見守ろう。
教育はしっかりした。
こちらの生活は心配いらない。
辺境とはいえ人の住んでいる場所だ。
3日ほど馬車で走れば友人の領地もある。
娘がどのように王家との因縁を清算するのか、楽しみだ。

ショルーズ
なぜ
なぜ
どうしてこうなった
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