妖精の取り替え子として平民に転落した元王女ですが、努力チートで幸せになります。

haru.

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~第一章~

貴族達の欲

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  自分達が全く知らされていなかった王家の宣言。
  それは多くの貴族達の感情を揺さぶり、受け入れられなかった。

  アクリアーナをこれまで見下し虐げていた貴族達はダメ王女を認めたくなかった。
   アクリアーナの能力を欲している貴族達は王家に先手を打たれた事が気にくわなかった。

  王家が平民となったアクアを支持するのが面白くない。
  何もかもが自分達の思い通りにいかず許せない。
  何故こんな事にーー。

  貴族達は式典が終わった後、大勢の貴族達で陛下に詰め寄った。

「何ですか!  さきほどの発言は!  我等は何も聞いておりませんぞ!」

「陛下っ!  納得いくように説明して下され!」

「王家があんな小娘の後ろ楯になるなど聞いた事がありません!」

「今すぐに撤回なさって下さい!」

「あんなのは認められませんよ!  何故、あのような事をなさったのですか!」

   大勢で喚き散らす貴族達の姿は醜くそして愚かに見えた。 


「……だまれ…………黙れっ!!!」


  普段感情を露にしない陛下が突然 怒鳴り声をあげた。

「お前達は一体何様だ!  王家の決定に不服があると申すのか?  なら何故先程申さなかった。民の前では何も言わなかったではないか!  あの時点でこの件は認められた!  今更そなたらに異義を唱える権利などない!」

「で、ですが!」

「ですがだと!?  そもそも国に尽くす有能な人物の後見人に王族がなるのは他国でもよくある話ではないか!  何故王家の個人的な決定をとやかく言われなくてはならない!」

「…………っ……」

「私はこれまでアクリアーナがどのような仕打ちを受けてきても国王としてあの子の為に権力を振りかざした事はなかった。お前達があの子を認めなくても、虐げていても過度な手助けはしてこなかった。身内には誰よりも厳しくしてきたつもりだ。……違うかっ!」

「…………ち、違いません。」

「あの子は私達には想像もつかない努力を経て、我が国で上位クラスの能力者となった。  自分で足りない部分を育てて、今のあの子になったのだ。この中の何人が『医療用コルセット』を身につけている?  あれもあの子の発案の元、作られた物だ。……あの子は王家を離れても尚、民や国を想い動く子なのだ!  そんな優秀な人物を保護しようと思うことの何が悪い!  言うてみよ!」

「ぁ……そ、それは……」

「……ぅ……っ……」

「……ぁ……」

  自分達の欲や自尊心の為に声を上げてた彼等は何も言い返せないのか、顔を俯かせて言葉に詰まっていた。

  もう認めるしかない。諦めるしかない。
  そんな空気が流れ出していた……が、此処まできても黙っていられない愚か者もいた。

「……で、ですが相手はただの平民ですぞ!  何故あんな奴の為に陛下がそこまでする必要があるのですか!」

  焦ったように大声で喚く男。
  だが男の言葉にカチンときた陛下は今までにない鋭くそして、厳しい視線を男へと向けた。

「……そなた今なんと申した。……たかが平民だとっ!?  私達、王族貴族はその平民の血税で生きているのだぞ!  忘れたのか!  私達は平民から税を徴収して豊かな暮らしをしている。だからこそ、国や民に尽くさねばならんのだ!  それが我等の義務なのだぞ!  ……それを貴族なのにそんな事も理解せず、民を蔑むとはお前は一体どういう思考をしているのだ!」

  ーー大馬鹿者がっ!
  空気が震えるような陛下の怒号が王城中に響き渡った。

「……ぁ、へ、陛下……も、もうし、申し訳……あ、りません……でした……」

  陛下の怒号を聞いて怯えきってしまった男は腰が抜けて床にへたりこんでいた。
  人目を憚らず、ゆるゆると地面に頭を擦り付けて震える声で謝罪をした。

  自分が怒らせてはいけない人物を刺激してしまったと理解してーー。

  周囲にいた者達も陛下の怒りを目の当たりにして、もう反論を口に出来る者は居なかった。

「良いか!  此度の件は王家の管轄であり、もう決定事項だ!  そなたらにはもう何も言う権利はない!  ……国王として言っておく。相手が貴族であろうと王家が後見する者に手出しすれば、ただではすまないと心得よ。この件において融通を利かせる気もない、罪を犯せば全員必ず厳罰に処する。…………あの子を追い出したのはそなたらだ。今更惜しむなんて事はなかろう?  ならばそっとしておいてやれ。……そうすれば誰にとっても悪い事にはならない。そうだろ?」

  大人しくしてれば問題など何も起こらない。
  
  陛下の貴族達を牽制するようなその言葉を受けて、彼等は思った。

  これ以上あの女アクリアーナに関われば、王家の怒りに触れる。

  あの女は王家の至極の宝だったのだ。
  それを我等が捨てた。あんな品性のかけらもない化け物サマンサと引き換えにして……

  自分達の落ち度を認める者、ただ単に自分達の保身を考えて手出しするのは止めておこうと考えていた者がいた。

  そんな中で王家があのような色違いの小娘に入れあげている姿に絶望し憎しみを燃やしている者がいた。



  …………終わりだな。マルヴィーア王家も……
  あんな薄汚れた色の小娘を守る為に王家の権力を使うとは堕ちたものだ。
  あんな男国王陛下に仕える意味はもうない。あの男に王座は似合わないな。

  
  これまで騒ぎには一切関与せず、常に傍観していた男は心の中でそう呟いた。


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