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ー番外編ーヴィオレット*隣国編*
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セディルさんの様子がグダグタとなり、鍛練はひとまず休憩になった。
レイ達の後ろから恥ずかしそうな顔をしながらこちらへやってくるセディルさん。
「鍛練お疲れ様・・・」
私はステラさんが用意してくれた果実水を渡していった。
皆鍛練で喉が渇いていたのか凄い勢いで飲み干し、レイとルイスは地面へと座り込み先程の鍛練の反省や指導をしていた。
セディルさんはチラッと私の側にいたサンを見ながら私の方へとやって来た・・・
「先程母が迷惑をかけなかったか?」
何をステラさんが話したか探りたい様子だ・・
私はこれ幸いと言わんばかりに先程のセディルさんが変わったという話をした。
「最近セディルさんが穏やかになり、こうして剣を握る姿を見れて嬉しいようですよ?
何故だが不思議がっていたので今度理由を話してあげては如何ですか?」
ステラさん、きっと喜ばれますよ?と私は微笑みながら言った・・・
(何でセディルさんが変わったのかステラさんに説明して誤解を解いてください!!!
今のままではステラさんの私への感謝が止まらないよ・・・)
自分本意な理由だったが、このままでは私もセディルさんも困ると思いやんわりとそれでいて何度も何度もステラさんに説明した方がいいと告げた・・・
「ああ・・・そうだな。
母や父にも迷惑や心配をかけた・・・毎日殺気だっていた俺の側にいるのは辛かった筈だ。」
そう言うセディルさんの表情は辛そうだったが、何処かふっ切れたような雰囲気で話していた。
「だが今俺はこうして剣をまた取れた。それにあの時彼奴等と会った時も最後の一線を越えずにすんだ・・・
それはヴィオラがあの時彼奴等を追い払ってくれたお陰だ・・・でなければ、俺は怒りを押さえきれず何かしていたかもしれない・・・」
「それはないと思いますよ?・・・」
怒りを押さえきれず人を傷つけていたかもと後悔しているセディルさんに私はあんなにも子供達を大切にしている人が目の前で暴れたりなんてしないです。と告げた・・・
(それにあの時もずっとココや私の事を気づかっていたのに・・・)
私はあの時は庇おうとしてくださり、ありがとうございました。と微笑んだ・・・
「感謝しているのは俺の方だ。・・・ヴィオラは騎士の言葉にも惑わされず俺自身を見てくれていて、普通に接してくれている。それがどんなに有難い事か・・・」
「それにそんな危険な目に主を合わせたのにサンもレイも俺を許して鍛練につきあってくれている・・・ありがとう・・・」
人からの言葉ではなく本人を直接見て判断して貰えることの有難さは私も知っていた為、素直に感謝を受け入れる事が出来た。
そして側にいたサンも感謝を受け入れつつ何か言いたげに私の顔を見たので頷き好きにさせた
「えっとですね・・・感謝して頂けるのは有難いのですが・・・私とレイは貴方が鍛練をしなくてはいけない事情を知っているのです。」
あ、お嬢様は知りませんから・・・と焦りながらサンはセディルさんの様子を伺っていた。
(恐らくこの間の件はまだ終わってなくて何かあるんだよね。きっと・・・)
「気づいていると思うのですが・・・我々はこの孤児院を訪ねる前に何度か事前調査を行っていました。・・・その際に貴方が凄まじい殺気と態度だったので調査せずにいられず調べさせて頂きました。」
「そうか・・・あの時の視線はやはりお前達だったのか。」
「・・・はい。」
「ああ・・・ヴィオラ達はウィルトリア公爵家との繋がりもあるんだったな・・・。
ではそこからバレたのか・・・」
「情報源は明かせないのですが・・・とりあえず貴方達の事情を知っているのはこの場では私とレイだけです。」
セディルさんは難しい顔をしながら話を聞いていたが、サンの少しだけ後ろめたい気持ちを見抜いたのか、「俺が危険な奴だったのだから主の為に調査するのは仕方ない・・・」と苦笑いして許してくれた。
私は若干この場にいるのが気まずかったので、側にいたレイ達の元へ移動しようと思い、
「あの込み合った話のようなので、私は彼方にいますね・・・」とサン達に伝えた。
(事情の知らない私の前では話し辛いだろうし、サンが態々この話をするという事は話し合っておく事があるのかも・・・)
だがセディルさんはそんな私を引き止めるように話を始めた。
「ヴィオラにも聞いてほしい・・・これから巻き込んでしまうかもしれない事を・・・」
セディルさんの事情を私が知る日は来ないと思っていたので「本当に私が聞いてもいいのですか?・・・話したくない事は話さなくても大丈夫なのですよ?」と言った。
「いや、ヴィオラが迷惑でないのなら俺の過去を・・・事情を聞いてほしい。」
と不安そうに瞳を揺らしながら言い、私は「そういう事なら聞かせて下さい。」と言い、話を聞かせてもらう事になった・・・
庭にある長椅子へ私とセディルさんが座り、その側にサンが控えてくれていた。
「恐らく気づいているかとは思うが俺は元貴族だ。この国で伯爵家を賜っていた。
ランドール伯爵家の次男として生まれた俺は騎士として騎士団で国に仕えていた。」
「ランドール家は平凡な家だったが、優しくて優秀な兄と兄の婚約者が継いで、これからも家督は受け継がれる筈だったんだ・・・
それなのに・・・気がついたら金を失い、名誉も失い、その上貴族である事さえ奪われた!」
レイ達の後ろから恥ずかしそうな顔をしながらこちらへやってくるセディルさん。
「鍛練お疲れ様・・・」
私はステラさんが用意してくれた果実水を渡していった。
皆鍛練で喉が渇いていたのか凄い勢いで飲み干し、レイとルイスは地面へと座り込み先程の鍛練の反省や指導をしていた。
セディルさんはチラッと私の側にいたサンを見ながら私の方へとやって来た・・・
「先程母が迷惑をかけなかったか?」
何をステラさんが話したか探りたい様子だ・・
私はこれ幸いと言わんばかりに先程のセディルさんが変わったという話をした。
「最近セディルさんが穏やかになり、こうして剣を握る姿を見れて嬉しいようですよ?
何故だが不思議がっていたので今度理由を話してあげては如何ですか?」
ステラさん、きっと喜ばれますよ?と私は微笑みながら言った・・・
(何でセディルさんが変わったのかステラさんに説明して誤解を解いてください!!!
今のままではステラさんの私への感謝が止まらないよ・・・)
自分本意な理由だったが、このままでは私もセディルさんも困ると思いやんわりとそれでいて何度も何度もステラさんに説明した方がいいと告げた・・・
「ああ・・・そうだな。
母や父にも迷惑や心配をかけた・・・毎日殺気だっていた俺の側にいるのは辛かった筈だ。」
そう言うセディルさんの表情は辛そうだったが、何処かふっ切れたような雰囲気で話していた。
「だが今俺はこうして剣をまた取れた。それにあの時彼奴等と会った時も最後の一線を越えずにすんだ・・・
それはヴィオラがあの時彼奴等を追い払ってくれたお陰だ・・・でなければ、俺は怒りを押さえきれず何かしていたかもしれない・・・」
「それはないと思いますよ?・・・」
怒りを押さえきれず人を傷つけていたかもと後悔しているセディルさんに私はあんなにも子供達を大切にしている人が目の前で暴れたりなんてしないです。と告げた・・・
(それにあの時もずっとココや私の事を気づかっていたのに・・・)
私はあの時は庇おうとしてくださり、ありがとうございました。と微笑んだ・・・
「感謝しているのは俺の方だ。・・・ヴィオラは騎士の言葉にも惑わされず俺自身を見てくれていて、普通に接してくれている。それがどんなに有難い事か・・・」
「それにそんな危険な目に主を合わせたのにサンもレイも俺を許して鍛練につきあってくれている・・・ありがとう・・・」
人からの言葉ではなく本人を直接見て判断して貰えることの有難さは私も知っていた為、素直に感謝を受け入れる事が出来た。
そして側にいたサンも感謝を受け入れつつ何か言いたげに私の顔を見たので頷き好きにさせた
「えっとですね・・・感謝して頂けるのは有難いのですが・・・私とレイは貴方が鍛練をしなくてはいけない事情を知っているのです。」
あ、お嬢様は知りませんから・・・と焦りながらサンはセディルさんの様子を伺っていた。
(恐らくこの間の件はまだ終わってなくて何かあるんだよね。きっと・・・)
「気づいていると思うのですが・・・我々はこの孤児院を訪ねる前に何度か事前調査を行っていました。・・・その際に貴方が凄まじい殺気と態度だったので調査せずにいられず調べさせて頂きました。」
「そうか・・・あの時の視線はやはりお前達だったのか。」
「・・・はい。」
「ああ・・・ヴィオラ達はウィルトリア公爵家との繋がりもあるんだったな・・・。
ではそこからバレたのか・・・」
「情報源は明かせないのですが・・・とりあえず貴方達の事情を知っているのはこの場では私とレイだけです。」
セディルさんは難しい顔をしながら話を聞いていたが、サンの少しだけ後ろめたい気持ちを見抜いたのか、「俺が危険な奴だったのだから主の為に調査するのは仕方ない・・・」と苦笑いして許してくれた。
私は若干この場にいるのが気まずかったので、側にいたレイ達の元へ移動しようと思い、
「あの込み合った話のようなので、私は彼方にいますね・・・」とサン達に伝えた。
(事情の知らない私の前では話し辛いだろうし、サンが態々この話をするという事は話し合っておく事があるのかも・・・)
だがセディルさんはそんな私を引き止めるように話を始めた。
「ヴィオラにも聞いてほしい・・・これから巻き込んでしまうかもしれない事を・・・」
セディルさんの事情を私が知る日は来ないと思っていたので「本当に私が聞いてもいいのですか?・・・話したくない事は話さなくても大丈夫なのですよ?」と言った。
「いや、ヴィオラが迷惑でないのなら俺の過去を・・・事情を聞いてほしい。」
と不安そうに瞳を揺らしながら言い、私は「そういう事なら聞かせて下さい。」と言い、話を聞かせてもらう事になった・・・
庭にある長椅子へ私とセディルさんが座り、その側にサンが控えてくれていた。
「恐らく気づいているかとは思うが俺は元貴族だ。この国で伯爵家を賜っていた。
ランドール伯爵家の次男として生まれた俺は騎士として騎士団で国に仕えていた。」
「ランドール家は平凡な家だったが、優しくて優秀な兄と兄の婚約者が継いで、これからも家督は受け継がれる筈だったんだ・・・
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