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断罪の夜

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国王の誕生を祝う夜会が王城で開かれていた。
他国からの来客や要人も多い盛大な夜会だった。

きらびやかな会場に有名な楽団による音楽。
美しく着飾った令嬢達を貴族達がダンスへ誘っていく...

その中でも一際目立っていた男性がいた。
眩しい黄金の髪に透き通る蒼い瞳。
白い生地に金色の刺繍が施された礼服が彼の為だけに作られた一着だと言える程似合っていた。

男性はこの国の第一王子アルベルトだった。

夜会では婚約者をエスコートする筈だったのだが何故か断られてしまい、たった一人で夜会に参加していた。

そんな婚約者が何故か自分の双子の弟王子と共に近付いてくる。腕に手を置いてエスコートをしてもらっている。

しかも二人とも夜会には相応しくない表情をしている。

弟王子・レイモンドは目を反らす事なくアルベルトを睨みつけ、婚約者・ソフィアは淑女としてはありえない涙目になりながら弟にすがりついて歩いていた。

周囲の者達も何事かと動きを止めて様子を伺っていた。

心地よかった音楽も止まって緊張感の漂う、静かな会場。

そこに響く二つの足音...

何をするつもりなのかと皆ドキドキしていた。

そんな思いなど知るよしもない二人はアルベルトの前までやって来ると意味のわからない事を言い出した。

「兄上...貴方はこの夜会に居るべきではないッ!すぐに出て行くべきだ!」

「.......ア、アルベルト様...」

如何にも自分が正しい事をしていると言いたげに叫ぶ

「一体どうしたと言うのだ?...レイモンド。それにソフィア嬢も今日のエスコートを断ったのは弟と来る予定だったからなのか?」

訳がわからないと眉を寄せる。

何故そんなに弟が怒っているのか理解不能だし、俺の婚約者と親密過ぎるのも気になる。

だがレイモンドとソフィアの態度に怪訝そうな表情をする者達がいるのを確認したアルベルトは感情を抑えた。

「一先ず此処は父上を祝う場だ。話は後にしよう...人目があるのだから落ち着け...」

何も問題ないように笑顔で会話を続けながら、小声で誤魔化そうとした。だがそんな気づかいも虚しくレイモンドは大声を張り上げた。

目を吊り上げて...

「兄上ッ!貴方のしようとした事は決して許されるものではない!どうして父上暗殺など考えたのですか!王位ですか?!何故なのです!」

「申し訳ありません!アルベルト様ッ!私、見てしまったのです。イスリア様レイモンドの婚約者と二人で抱き合っている姿や国王陛下を暗殺しようと話し合っている姿を...。」

泣き出すソフィアを守るように、わざとらしく抱き締めるレイモンド。

「浮気だけなら我慢出来たのですが国王陛下を害するなど、どうしても黙っていられなくて.....レイモンド様に話してしまいましたの。」

いじらしいソフィアの態度に周囲の者達の視線も変わり始めていた。

「兄上...お願いします。目撃者がいるのですから言い逃れは出来ません。.....罪を認めて下さい。貴方の共犯者はもう捕らえてあります。」

レイモンドは悲しそうな表情をしながらそう言うと、視線を会場の入り口に向けた。

「「「「「「....なッ!..........」」」」」」

そこには夜会には相応しくない。
武器を持った騎士達が着飾った令嬢を拘束している姿があった。

深紅の髪は綺麗に結ってあったのだろう。
薔薇の髪飾りが取れかけていて、髪も見るに堪えない程乱れていた。

しかも美しい黄金色のドレスは肩の部分が破れて、白い肌が見えてしまってした。

「..................。」


△▽△▽


一体何がどうなっているんだ?

レイモンドは私の双子の弟だ。見た目も瓜二つで幼い頃は常に側にいた乳母すら見分けられなかった。

今はレイモンドが髪を伸ばしてくれたお陰で見分けがつくようになったが昔は見分けられない事を逆手にとって悪戯ばかりしていた。

とても仲の良い兄弟だった。

幼い頃レイモンドと王位について話し合った時もそんなに興味を示しておらず、二人共王位にはさほど興味がなかった。

だからどちらが王位に就いても良いと私も周囲の者達も思っていた。今代は王位争いのない平和な王家だと、皆が安心していた筈だ。

それが何故こんな事に...



俺が王位に興味を示していなかった事はあいつが一番知ってる筈だ。それにあいつの婚約者とデキてるなんてありえないだろ....弟の婚約者だぞ?

むしろお前らの方がデキてるように見えるんだが...
ソフィア嬢の涙も胡散臭いし...

しかも目撃証言なんて全部嘘っぱちだろ?!

俺がどうやって弟の婚約者と二人きりになれるっつーんだよ!自分の婚約者でさえ、二人きりになれたのは一度か二度だぞ?それも俺達が気づかないような護衛付きでの二人きりだぞ...

はあ.......
俺やイスリア嬢を陥れようとしているのが丸見えだな。


つまりはこうなんだろう?
俺は弟に婚約者を寝取られた上でありもしない罪で断罪されてる。俺達を引きずり落とす為に...


でもな...その筋書きは欠点だらけだぞ?


レイモンド.....大切だった俺の半身。
こんな事をしなくてもお前が王座やソフィア嬢が欲しかったのなら父上に掛け合ってやったのに...

でももう遅い。
こんなに目立つ夜会の場で、しかも他国の者達もいる場で起こしてしまったんだ。

もう庇ってやる事は出来ない。

それにあんなに可愛らしいイスリア嬢を巻き込むなんて許せねぇよ。

髪もぐちゃぐちゃにしやがって...
チッ.....服を破くなんて男の風上にも置けねぇ野郎だ。

しかも人目のある場でイスリア嬢の肌を晒させるなんてぶち殺してやりてぇよ。



だけど、すげぇよな...
そんな状況でも公爵令嬢としてのプライドを保っているのか、涙一つ見せないで凛とした態度のままなんだから....

屈強な騎士に拘束されて恐ろしかった筈なのに...


なあ?レイモンド...
何であんなに可愛くて良い女を捨てちまうんだ?

お前がいらねぇのなら俺が貰っても良いよな?
プライドが高くて強気な女って、もろ俺のタイプなんだよなー。

見てみろよ、あの肩...気丈に振る舞ってるけど、少しだけ震えてるんだぞ?

あんなの見たら守ってあげたくなるだろッ!

ってな訳でお前達の企みは阻止して、彼処にいる美人さんを貰っちゃうからなッ!



昔から性格だけは違った双子。
頭は良いがヤンチャで行動派の兄。
同じく頭が良く物静かで穏健派の弟。

ヤンチャだったアルベルトは成長するにつれて王族の義務や自分の成すべき事を知り、皆が望む王子様の仮面を被って生きてきた。

心の中ではいつまでもヤンチャ小僧のままだったが...


△▽△▽


イスリアの拘束されている姿を見たアルベルトはレイモンドとソフィアの横を素通りして会場の入り口へと向かった。

「あ、兄上...何を為さるつもりですかッ!」

「アルベルト様ッ!お止め下さいッ!!!」

笑顔を無くし、無表情でイスリアと騎士達の元へ向かう。

騎士達は感情の読めない第一王子の姿に身震いし、この場から逃げ出したくて二、三歩後退った。

だが騎士達が逃げ出すよりも早くアルベルトが辿り着き、恐ろしく低い声で騎士達を咎めた。

「お前達は一体何をしているんだ。.....今すぐロイスダール公爵令嬢の拘束を解け。これは命令だ。」

「で、ですが......こ、国王陛下の暗殺の共犯者だとレイモンド様が...」

「も、申し訳ありませんが、御命令を聞く訳には参りません。」

まだ若い騎士達は震えながら拒絶した。
国王を守るという自分達の騎士としての使命が男達を突き動かしているのだ。

だがそんな事情などアルベルトには関係ない。
今優先すべきは冤罪で捕らわれているイスリアを助け出す事だけを考えているのだから...

「お前達は馬鹿なのか?...ロイスダール公爵令嬢が国王暗殺する理由などある訳がないだろう!確たる証拠も無しに令嬢を辱しめて拘束するなど騎士のする事ではない!今すぐに拘束を解けッ!!」

反論など許さん!と視線に怒気を込めたアルベルトの姿に自然と腕の力を緩めて拘束を解いてしまった騎士達。

騎士達の拘束が解かれたイスリアは張りつめていた糸が切れたように足元がふらついた。

「.......ッ....」

すかさず、イスリアの腰に手を回して抱き止めたアルベルトは「もう大丈夫ですよ。」と優しく声をかけた。

イスリアを立たせて、サッと離れたアルベルトはイスリアの肩に自分の上衣をかけ破れてしまったドレスと白い肌を隠した。

「ロイスダール公爵令嬢.....誠に申し訳ありません。私の弟と婚約者の茶番劇のせいでこのような目に遇わせてしまいまして...。」

「いえ、殿下からの謝罪は必要ございませんわ!私を陥れたのはレイモンド様とソフィア様ですもの...。貴方は私と同じ被害者ですわ。それにあの方達の企みに気づけなかった私にも落ち度はありますの。ですから謝罪は不要ですわ!」

アルベルトの完璧な王子様仮面はどんな令嬢でもメロメロの筈だ。だがイスリアにそれは通用しないみたいで、ツンとそっぽを見ながら謝罪はいらないと拒否してきた。

.....拒否られると何か燃えるよなぁー。
ちょっと耳赤いし...可愛い奴だなぁ~

心の中でニヤニヤが止まらないアルベルト。

このまま口説き落としたかったが周囲の目もあるし、それにレイモンド達が仕組んだ茶番劇が終わっていなかった。

拘束が解かれたイスリアとアルベルトが話している姿を見て、礼儀作法を忘れたレイモンドとソフィアが走りながらやって来た。

「拘束を解くなど何を考えているんだ!」

「その女は罪人ですよ!」

もの凄い形相で騎士達に詰め寄り、騎士の胸ぐらを掴むレイモンド。

そんな姿に眉をひそめる周囲。

周囲は先程のソフィアの涙で第一王子が浮気の末に国王陛下を暗殺したのかと考えが揺らいでいた。だが共犯の疑いがあるとはいえ、か弱い令嬢にあのような仕打ちをして拘束した騎士や指示を出していた第二王子様に不信感が芽生え始めていた。

しかもレイモンドとイスリアのやり取りはどう見ても恋人ではない。二人の間には何の妖しい雰囲気もなく、友人ですらないように思えた。

第二王子様の言っている事は何処かおかしいような気がする...

怪訝そうな表情で自分を見つめてくる者達の姿に気がついたレイモンドは自分のやるべき事を思い出したのか、又もアルベルトへと突っかかってきた。

「兄上ッ!貴方も本来は拘束されるべきだッ!それなのにこの女を逃がそうとするなんてッ!」

「アルベルト様ッ!どうか罪を認めて下さいませッ!」

反論しようとアルベルトが一歩前に出ようとすると、それよりも先にイスリアが口を開いた。

「あら?犯してもいない罪をどうやって認めれば良いのかしら?国王陛下の暗殺なんて考えてもいなければ、私と殿下は二人きりで会った事もないわ。それなの目撃証言が出るなんてそちらの方が怪しくないかしら?」

乱れた姿など気にならない程、優雅な立ち振舞いと艶やかな微笑み。

だがそんな余裕のある態度が許せないのだろう。
レイモンドは怒鳴り声を上げてイスリアへ殴りかかろうと腕を振りかざした。

「嘘をつくなッ!!!」

振り下ろされたレイモンドの腕を掴み取ったアルベルトは鋭い視線で睨み付けた。

「いい加減に愚かな真似は止めろ!お前は恥を晒したいのか!女性に手を上げようとするなど!」

「兄上にそんな事を言われる謂れはない!自分の婚約者に何をしようが私の勝手だ!ましてやこの女は父上を殺そうとした罪人だ!配慮しなくてはいけない道理などないッ!」

掴まれていた腕を勢いよく振り払い、言葉を荒げながら反論してくる。

「そんなに俺達を罪人にしたいのか?...」

静かなアルベルトからの問いかけを嘲笑うように口を歪ませたレイモンドは「当然だ!父上を暗殺しようとした奴を許せるか!」と言って嗤った。

「第二王子レイモンドとして宣言する!第一王子アルベルト、イスリア・ロイスダール公爵令嬢は国王陛下暗殺未遂の罪で国外追放とするッ!」

声高らかに宣言したレイモンドは自信満々に「罪人を拘束して国外に捨てて来いッ!!!」と命じた。

第一王子と第二王子の命令どっちを聞けばいいのか...
困惑して身動きが取れなくなってしまった騎士。

命令を聞かない騎士達を苛立ちを隠せないレイモンドはお前も同罪になりたいのかと脅しをかけた。此処が夜会会場だという事も忘れて...

「レイモンドもう止めろ、周囲を巻き込むな。お前達の企みには無理がある。この話が虚偽なのはすぐにバレる事だ。.....だからお前達は少しでも罪を軽くする為にもロイスダール公爵令嬢にこの場で謝罪すべきだ。」

そうすれば二人の罪も少しは軽くなるかもしれないし、何よりイスリア嬢の名誉回復に繋がる。

厳しい視線をレイモンドへ向けた。

たが未だに自分達の主張が通ると思っている彼等は謝罪しろと言われた事に怒りを露にした。

「ふざけないでくれッ!何故俺達が謝罪しなければいけないんだ!父上を暗殺しようとしたのはお前達じゃないかッ」

「そうよ!いい加減に罪を認めなさいッ!!!」

はあーダメだな。これは...
自分達の立場がまるでわかっていないな...

第二王子として宣言しちゃったし。
もう後戻りは出来ないんだぞ...

弟のこれからを思い心が沈みかけていた時だった。

「............これは一体何事だ。」

音楽の響かない、静かな会場内に低音の声が響いた。

金髪にうっすらと白髪が混ざった髪に蒼い瞳。
この場で最上級の身分。国王陛下の姿がそこにはあった。

陛下は会場の中央まで来ており、姿を見た者は次々と礼をしていった。

「アルベルト....説明せよ。」

「はッ!承知致しました。」

命令に答えようとアルベルトは頭を上げた。

「まずは祝いの場で騒ぎを起こしてしまいまして誠に申し訳ございませんでした。...騒ぎの原因はレイモンドとソフィア嬢が私とロイスダール公爵令嬢の不貞を疑い、その上陛下の暗殺未遂を企てていたと断罪してきました。もちろん、私はそのような事はしておりませんし、否定致しました。ですがソフィア嬢の目撃証言があるとの事で私達は罪人だと言われました。その上ロイスダール公爵令嬢はレイモンドの命令で騎士達から力ずくで拘束されていました。」

アルベルトの説明を続け、騎士に拘束されていたイスリアの姿を見て、顔が強ばる陛下。

「それと私とロイスダール公爵令嬢はこの件で国外追放の刑に処されるようです。レイモンドが第二王子として宣言しました。」

なに食わぬ顔で告げたアルベルトにソフィアは気まずい思いをしていた。自分が見たと虚偽の証言した上に婚約者の弟と親密そうに夜会へとやって来て婚約者達を嵌めようとしたのだ。後ろめたい気持ちとバレるのではという恐ろしさがあった。

だがそんなソフィアの気持ちや自分の父親の鋭くなっていく瞳に気づかないレイモンドは愚かにも自分の正当性を主張した。

「そうなのです!父上ッ!兄上とイスリアは私を裏切り淫らな関係になっただけでなく、父上の事も殺めようとしていたのです!このような者達の事を私は許してはおけませんッ!なので僭越ですが私がこの者達の処遇を宣言致しました。これでもう二度と父上の身に危険は及ばない事でしょう。ご安心下さい!」

許可も出ていないのに勝手に礼を止めて歩きだし、身振り手振りをしながら大袈裟に話し、陛下の元へと向かった。

そんな第二王子の姿を見て、気でも狂ったのかと目を疑った周囲の者達。

そしてあまりにも酷い醜態に堪えかねた陛下が重い口を開いた。

「何を勝手な真似をしているレイモンド。余はそなたに礼を止めていいと言った覚えも、発言を許可した覚えもないぞ。それに此処は公式の場だ。父上ではなく陛下と呼べ。.....この程度の事を何度も言わせるな。」

「.......なッ...で、ですが....ちち..へ、陛下ッ!」

反論しようとし、危うく父上と言いかけたレイモンドをギロリと睨み付けた陛下は内心呆れていた。

今注意した事なのにどうして同じ事をするんだ...
この程度の常識は貴族の子供なら誰でも出来る事だぞ...

溜め息をつきながら「少し黙っていろ。」と言った。
そして視線をソフィアに向けた。

「ソフィア・マルドーナ公爵令嬢、面を上げろ。」

「は、はい.....」

只でさえ声が低く恐ろしいのに、そこに王としての威圧や苛立ちが込められておりソフィアは顔を真っ青にしながら顔を上げた。

「此度の騒動はそなたに証言が鍵となっているようだ。なので今一度余が問う。....ここで虚偽の証言をすればお咎めなしとはいかん。良いな...」

「は、はい。何なりとお聞きくださいませ。」

体が無意識に震えてしまうがソフィアはここが正念場だと思い、嘘を貫き通す覚悟を決めた。

今さら嘘だったとは言えないのだから...

「そなたは自分の婚約者であるアルベルトとロイスダール公爵令嬢が密会している姿を見たと...。そこで逢い引きしていたり、余を殺す為の暗殺計画を立てているのを見たというのだな?」

虚偽は決して許さん!と力強い視線がソフィアを襲う。

重圧は会場内全てに圧しかかり、周囲の者達は自分が問われている訳ではないのに冷や汗が止まらなかった。

「はい、間違いございません。...私はアルベルト様とイスリア様が抱きあっているのを見ました。そして恐ろしくも陛下の暗殺計画を企ている姿を見てしまいました。」

動揺しないように体に力を込めて、根性で震えを止めた。

「それは、何時何処で見たのだ。」

「先日行われた王妃様主催のお茶会の際、庭園の隅で見かけました。」

「...............そうか。」

考え抜いたのだろう。
第一王子と公爵令嬢が会える日はいつか、密会していると言ってもおかしくない日はいつなのか。

ソフィアは質問に動揺する事欠く答える事が出来た。
陛下もさして反応せず頷いた。


その様子に周囲は...
ああ...やっぱり暗殺計画は事実だったのか...と思いかけていた。


そして同じく動揺を一切見せていないアルベルトとイスリアへ問いかけた。

「では今度はアルベルト、ロイスダール公爵令嬢に問う。そなた達にはレイモンド達に断罪されるような疚しい所はないのだな。」

「はい、ございません。」

「ございませんわ、陛下。」

「ならば証明してみよ。自分達の無実を...この者達が納得するように説明してみなさい!」

陛下は何処か面白そうな表情をしながらアルベルトとイスリアを見た。

うっわぁー。
このクソじじぃ、面倒くさいからって丸投げしやがったな...。結末はわかってるくせに...

まあでもイスリア嬢も不安そうにしている事だし、ささっとやっちゃいますか!

アルベルトはニヤついた視線を陛下へと一瞬送り、真面目な表情で話し出した。

「では私から無実の証明をさせて頂きましょう。まずは王族や高位貴族当主以外は知る事のない常識から説明致しましょう。...私達は一国を納め、権力を牛耳る者。その為、王族は常に身の危険に晒されています。なので身の安全を守る為にどのような状況でも常に護衛が付いています。...例え婚約者と二人きりであっても見えない位置に護衛はいるのです。」

納得する周囲、そして、えッ?!と驚愕しているソフィアとレイモンド。

いやいやレイモンド...お前は何でそれを知らないんだよ。
いつも世話になってるだろう。

「ですから王族の断罪に関して物証や証言も大事ですが、必要なのは常に側にいる護衛からの証言が必要不可欠なのです。しかも王位が決まるまでは王子達の行動は常に陛下へと報告が上がります。ですので私やレイモンドの事で陛下が知らない事などないのです。ですから私がロイスダール公爵令嬢と深い仲でない事は勿論、暗殺計画など企てていない事は陛下が一番ご存知なのです。」

「「「「「「.....................。」」」」」」

「なので私の無実を陛下に証言して頂きたいのですがよろしいでしょうか?」

全員ポカーンと口を開けている。

あんなに気難しい表情をしていた陛下が実はアルベルトの無実を知っていた。

しかも自分の無実をあろう事か陛下に証言して欲しいと頼むなんて...
陛下も陛下でニヤニヤと愉しそうに笑っているし...

周囲の者達はもうどういう事なのか、わからなくなっていった。

「良いぞ。余はお前達の行動を全て知っている。アルベルトが余の暗殺計画など企てていない事も、レイモンドが兄を陥れようとしていた事も知っておるぞ。だがまさかこのような夜会で騒動を起こすとは思わなかった.....レイモンド釈明はあるか?」

陛下の証言で形勢が変わりレイモンドは顔を歪めた。

「.......父上は知っていた上で俺を泳がせていたのか?俺が兄上を陥れると知っていて...」

「......................。」

「俺は間違った事はしていない。王子なら誰でも王位を夢見るだろ?...だけど、どうせ父上は先に生まれたからという理由で兄上に王位を継がせる気だったんだ。そんなの許せる訳ないだろッ!!!俺だって王子なんだッ!たった数分前に生まれただけで優劣がつくなんて認められるかッ!!!」

息を切らしながら溜め込んでいた想いを吐き出す。

だがそれはレイモンドの中にあった劣等感や嫉妬心であって陛下が求めた釈明の言葉ではない。

しかもレイモンドの中にそういった感情があったとしても、兄を陥れていい理由にはならないし、国として大切な夜会の場を荒らしていい理由にはならない。

だがそんな簡単な事にも気づけないレイモンドは憎々しいと顔で表しながらアルベルトを睨み付けていた。

......第二王子は終わった。

その様子を見て誰もがそう思った。

陛下もレイモンドに重い処罰を言い渡そうとしていた。

だがソフィアが動いた。
か弱く可愛らしい令嬢が第二王子の前で跪き、陛下とアルベルトへ慈悲を願った。

「申し訳ございませんでした。全ては私のせいでございます。私が虚偽の証言をしたばかりにこのような事になってしまいました。アルベルト様...イスリア様...誠に申し訳ございませんでした。処罰は私が受けます。どのような処罰であっても構いません。ですからどうか...どうか...レイモンド様には寛大な処置をお願い致します。どうかレイモンド様にやり直すチャンスをお与え下さいませ....」

頭を地面へと擦りつけ、震える声で何度もレイモンドを助けてくれと頼むソフィア。

兄を陥れる為に近づいた女だったかもしれない。
レイモンドから囁かれた言葉にどれ程の真実があったかもわからない。
だがソフィアは自分に本心を晒してくれる、ちょっと頼りなくて人間味のあるレイモンドを本気で愛していたのだ。

だから何としてでもレイモンドを守りたい。
それだけを考えていた。

そんなソフィアの姿を見て、動揺が止まらないレイモンド。

「な、な、何をしてるんだ!ソフィアっ!立てッ!こんな事をしなくても良い!止めるんだっ!」

ソフィアの腕を掴み無理矢理立たせようとするレイモンド。だがソフィアはレイモンドの腕を振り払い頭を下げ続けた。

「な、何で...そこまで...」

謝罪と助命の言葉を何度も繰り返すソフィアの姿に自暴自棄になっていたレイモンドは胸が熱くなった。

自分の為にここまでしてくれる者がいたなんて...

痛々しいソフィアの声が響く中、陛下の口が開いた。

「静粛にせよ。.....本来の予定では今夜アルベルトを王太子に任命する事でレイモンドの暗躍を止めようとしていたのだ。...だがそれでは遅かったのだな。余が判断を見誤った。...レイモンド、マルドーナ公爵令嬢がここまでしているのはお前の為だ。お前を愛しているから虚偽の証言をしてしまい、今もこうして自分の身ではなくお前の身を案じている。その事に何か感じないか?」

「私は......王位が欲しかった。この国で自分の居場所が欲しかった。双子の弟だからと兄に全てを譲り、後ろに引き下がるだけの人生は嫌だったんだ。だから実の兄や邪魔だった婚約者を陥れた。...だけどこんな私を自分の事以上に想ってくれる者がいた。もうそれだけで充分だ。どのような処罰でも受け入れる覚悟です。」

憔悴しきったレイモンドは涙を滲ませながら頭を下げた。

「.....うむ。では我が息子である第二王子、レイモンドとソフィア・マルドーナ公爵令嬢の引き起こした此度の騒動への沙汰を下す。本来ならこのような場で引き起こした事件なのだから国外追放でも甘い。だが、一人は王族だ。むやみにその血を外へ出す事は出来ぬ。よってレイモンドは身分剥奪の上、子を成せぬように処置をする。そして辺境地にある王家所有『最果ての塔』で幽閉の刑に処す。....そしてソフィア・マルドーナもまた身分剥奪の上『最果ての塔』へ幽閉の刑に処す。」

命が助かった上、二人一緒に居れるとは思っていなかったのだろう。目を見開いて陛下を見る二人。

「.......辺境地は吹雪が吹き込む極寒の地だ。最果ての塔には使用人はおらず、最低限の物資しか届かぬ。...ソフィア・マルドーナ、そなたの愛が本物なら生涯こやつに尽くしていくがいい。二人だけで厳しい暮らしをせよ。それがそなた達の罰だ。」

寛大すぎる処罰に感極まるレイモンドとソフィアは涙しながら感謝の言葉を口にした。

「「感謝致します....」」

その姿に会場内の者達は皆、心を打たれていた。

「ロイスダール公爵令嬢...此度はこのような騒動に巻き込んだ上、騎士から拘束されるという恐ろしいめにあわせてしまった。この償いは必ずしよう。後日公爵と共に話し合いの席を設ける。そしてレイモンドとの婚約もダメになってしまったが.....そなたが望むのなら相手の選抜に王家が力になろう。」

イスリアへの謝罪とも取れる寛大な言葉。

まあ婚約者は寝取られた上幽閉が決まってしまったし、自分は冤罪をかけられて騎士から拘束まで受けてしまった。

それも全て第二王子のせいだ。
恐らくもうまともな相手との婚約はできないだろう。と思っていた。

王家からの謝罪はもちろん、補償だってあってしかるべきだ。

だがそれは形式的な物でイスリアの人生の根本的な解決にはならないだろう。と諦めていた。

それなのに婚約相手を選ぶのに王家が力になる?

王家が後ろ楯に立ってくれるのなら百人力だ。
ほんの少しホッとしてしまい、口元が緩んだのがわかった。

感謝の言葉を述べようと口を開くと、先にアルベルトが動いた。

「陛下、発言の許可を頂いてもよろしいでしょうか?」

妖しい笑みを浮かべたアルベルトが陛下の目を見た。
するとアルベルトが何をするのかわかったのか、一瞬笑みを浮かべ発言の許可を出した。

「申してみよ...」

「感謝致します。...此度の件は弟の気持ちを推し量れなかった私にも落ち度があります。そのせいでロイスダール公爵令嬢にはあのような辱しめを受けさせてしまいました。それなのに涙一つ溢さず、凛とした姿を守り続けていました。....私はそんな姿を見て心が打たれました。なんて誇り高い方なのだろうと...。」

わざとらしく跪き...

「私も彼女も婚約者を失ったばかりです。...その次などすぐには考えられないでしょう。ですが、もし...もしも...許されるのなら私がロイスダール公爵令嬢の婚約者候補に立候補する事を御許し頂けないでしょうか。あの方の事をもっと知ってみたいのです。」

と嘆願した。

周囲は第一王子の愛の告白とも取れる言葉に頬を赤らめ、ざわついた。

イスリアも思ってもみなかった展開に頭が真っ白になりついていけなかった。

「......そうか。お前はロイスダール公爵令嬢を気に入ったのか。...だが私は後押しする事は出来ぬ。此度の事で公爵家には多大なる迷惑をかけたのだ。これ以上何かを望む事など出来ぬ。だからお前が本当に望むのなら自分の力で本人の気持ちと公爵を落とすがよい。」

グダグダ言ってたが、陛下は協力はしないがお前がする事を止めないから好きにしろ。的な事を言った。

すると満面の笑顔になったアルベルトは「感謝致します。」と一礼した後、イスリアの元へ歩み寄った。そして王子の仮面を被ったまま「ロイスダール公爵令嬢の気高さに惹かれました。もし宜しければ、私と交流する機会をとって頂ければと思います。」と微笑んだ。

最後にイスリアにだけ聞こえる小さな声で呟いた。

「俺、あんたに本気で惚れたから!これからガンガン攻めていくから覚悟しとけよ。他の男なんて選ばせないから.....イスリア、俺はお前のプライドも全て愛す。だけど令嬢として取り繕ってないお前も見てみたいからそのつもりで居とけよ!」

そして跪いてイスリアの左手の薬指に口づけを落とした。

「...は...えっ.....ふぇッ......ッ.....」

周囲にはアルベルトの巧みな表情や仕草のせいで、簡単な自己紹介と爽やかな挨拶程度をしているようにしか見えていない。

だが実際にはかなり強引に口説いており、イスリアの頭の中はパンクしてしまった。

完璧だと思っていた第一王子が自分に熱を込めた口説き文句を言ってきたのだから...

紳士な男性ではなく、本能的な男だったのだ。

真っ赤な顔をしながら口をパクパクさせているイスリア。

...クククッ。
あんなに顔を真っ赤にしちゃって...
本当に可愛い奴。これから楽しくなりそうだな...

アルベルトの好意と、イスリアの満更でもない表情に周囲の者達は収まるところに収まりそうだと思った。

そして陛下が此度の件について迷惑かけたと周囲へ詫びて他国の者達へのフォローをしっかりと行い、夜会は終わった。


△▽△▽


陛下の執務室にアルベルトと陛下が向かい合って座っていた。

「で、あれは何処までが親父の計画だったんだ?知ってたんだろう?レイモンドが夜会で仕出かすこと...」

アルベルトは紅茶を飲みながら、軽い世間話でもするように話し出した。

「フッ.....まあな。あやつは私がそろそろ王位を継ぐ者を決める次期だと思い焦っていたからな。派手にやらかしてお前を排除する気だったのだろう。まあ騎士まで動かす愚か者とは思っていなかったがな。」

「...俺達はあんたの手のひらで踊ってたって事か。他の貴族達の動きもおかしかったしな...。あれも親父の差し金か?」

「いや、他の奴らの事は知らんぞ!奴等は勝手に俺の意図を察して、動かない事を決めたんだろう。」

「...それすらも計算の内って訳か。」

呆れたように父親を見つめる。
だが陛下も髪を掻きむしりながら溜め息を吐いた。

「そうは言うがな...俺だって苦労したんだぞ。王位を継がせるにはレイモンドは単純で素直、そして感情的すぎるから危なっかしくて任せられないし、王位を任せられるお前は自分の興味のない物には何一つ反応を示さない奴で王位には興味がなかった。しかもレイモンドは感情ですぐに権力をふるう。あの国外追放を宣言したように...あれは王族として一番許されない行為だ。王族の立場を自分の欲望の為に使うなど許されない。だからレイモンドを王族のままでは居させられなかったんだ。」

「.................。」

「それにお前を選んでレイモンドを選ばなければ必ず遺恨が残る。レイモンドはお前と俺...そして国を憎む。それだけは避けたかったんだ。だからレイモンドには何か理由をつけてでも此処から去ってもらう必要があった。それが王としての決断だ。....だが親としては息子に辛い人生を送らせたい訳ではない。」

「それでソフィア嬢って訳か...。あの令嬢は最初からレイモンドに惚れてたからなぁー。」

自分の婚約者を寝取られるように仕向けたのが父親だと知っても怒る訳でもなく、納得してしまうアルベルト。

そんな息子の姿に呆れ溜め息を吐く陛下。

「はぁー。お前なぁ...本当にあの娘に興味がないな。..ッたく、それも悩みの種だったんだぞ!お前達兄弟は揃いも揃って、婚約者との相性が悪すぎる!お前達は互いに興味の持てない婚約者同士で、レイモンドとロイスダール公爵令嬢は互いに自分が有りすぎる上、ロイスダール公爵令嬢が優秀過ぎた。レイモンドのプライドを刺激しすぎて友にすらなれぬ関係だった。........幼い頃は割と良い組み合わせだと思っていたのだかな。」

「あっははははははッ....」

父親の苦労を知り、乾いた笑い声で誤魔化すアルベルト。

だがそんな和やかな雰囲気から重圧ある重たい雰囲気に変わった。

父親ではなく、国王陛下としての表情になった。

「.....レイモンドには本当にすまない事だとは思うが国を守る為だ。王位はお前に継がせた方が良い。お前は必要とあればズル賢い戦法も取れるし、何よりやる時は必ず勝てる作戦を立てる奴だ。あらゆる事を想定する思慮深さもあるから危ない橋は渡らない。人を従わせる貫禄もこの先付くだろう。だからお前なんだ。」

弟を犠牲にして選んだ事を後悔させるなよ。と鋭い視線で見つめてくる父親の姿にアルベルトは身が引き締まるような思いがした。

自分がこれから背負う事になる物の重さを感じていた。








「.....はぁー。俺はこれからレイチェルのご機嫌取りもしなくてはいけないし、大変なんだからな!」

「ああ...母さんは暫くご機嫌ななめだろうな。相談なくこんな事をしたんだろう?」

「言うわけないだろう。...知っていたらレイチェルが黙っている訳がない。仮病で夜会を欠席させるのがどんなに大変だったと思うんだ!」

双子の母親、王妃様は息子を愛している。
どちらにも幸せになって欲しいし、どっちかを犠牲になどしたくない。

国と息子だったら息子を選ぶし、もっと良い選択肢があったのではと考えてしまう。

だが考えた所でレイモンドは王位を諦めなかっただろうし、王家内での危険は少しでも無くしておくべき事だ。

あそこまでやらかしたレイモンドの命を守るのならば、子供を作れないようにした上で幽閉するのが一番安全で幸せな未来だった。

非情でもその決断が王族の勤めだ。
継承権争いで血が流れたり、民に迷惑のかかるような事態になるのは絶対に避けなければならない。

父親のその想いはアルベルトへしっかりと受け継がれた。







あれから一年が経った。

王太子になったアルベルトは日々忙しく動いている。
自国の政策や他国との外交に走り回っている。

イスリアとの関係は未だ友人止まりだが、強引なアルベルトのアプローチにイスリアも絆されてきている様子だ。

濃厚なアルベルトの愛の言葉に顔を赤くするイスリア。

それにアルベルトはいつイスリアが嫁ぎに来てもいいように王城内に部屋を用意したり、専属の侍女の教育を始めたりと準備は万端のようだ。



レイモンド達も厳しい環境の中で苦労しつつ生活をしていた。慌ただしかった王城での暮らしとは違い、ソフィアと力合わせて穏やかに暮らしていた。

王族としてのプレッシャーもなく、兄と比べられる事もなく、愛される幸せに浸る日々を送っていた。

肩の荷が降りたお蔭なのか、二人とも笑顔が増えて互いに必要不可欠な存在になっていった...




白い紙が山のように積まれた一室。

「アルベルト様ッ!此方が済んだら、この書類に目を通しておいて下さい!」

「わかった。」

「アルベルト様ッ、先日執り行われた式典の御礼状が他国から来ております。」

「後で見ておく.....そこに置いてくれ。」

忙しなく人が出入りして、あれやこれやと仕事を持ち込んでくる毎日。

今まで二人でやっていた仕事をアルベルト一人でしなくてはいけなくて毎日仕事に追われていた。



夕刻になり、ようやく一段落ついた。
そして遅い時間になってしまったが、屋敷に行くと約束していたイスリアの元へと向かうアルベルト。

馬車の中には108本の赤い薔薇と美しいダイヤの指輪が用意されていた。

一年間熱烈に口説き続けた日々に本日終止符を打とうとしているのだ。

珍しく緊張して手が震えているアルベルト。





イスリアが泣きながらプロポーズを受けるまで後少し..



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みんなの感想(1件)

ひゅふぁ
2020.07.29 ひゅふぁ

弟の婚約者とできるなんてありえないだろ、といった数行後、「貰ってもいいよな、ーーもろ俺のタイプ」って。
ありえなくなくないですか!?(汗

haru.
2020.07.29 haru.

感想ありがとうございます!
ま、まぁ……そう言われるとそうですね。汗
(((;꒪ꈊ꒪;))):

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