140文字だけの小説

桜海 ゆう

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5 泣いている君へ

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「そんなに頑張ってさあ、泣いてるだけなら辛いだけじゃない?」
上手くいかない仕事にも人間関係にも増えない貯金にも天も底はないのに
楽しい事や幸せには天も底もあって...

 私は有給を使い
面倒見のよい大学の先輩に会いに行った。
  
  ビールを片手に田舎の縁側で先輩は
夏の青空を見あげる。

 「泣かない人生、選んでみたら?」
気軽に言われたが、1番それが難しいのかもしれない


    「後輩の泣き顔なんて見たくねーんだよ」
私が空を見上げると、今度は先輩がうつむく。
    泣きそうな顔。私はこんな先輩の顔を見たくない。
      「泣いているんですか?」
茶化すと、先輩はビールを思い切り飲み干した。
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