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祖父の世界
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祖父の世界への列車は母親の世界から3時間はかかる。
あいかわらず列車は五両しかなく1両に2人くらいしか乗っていない。
バレはリュックにつめこんだ母親から貰ったブルーのワンピースを見た。自分の父親と母親が仲の良くない事くらいは25歳にもなれば分かった。
バレが複雑な気持ちでワンピースで見ていたら明るい声がバレの頭の上から降ってきた。
「可愛いワンピースじゃん!ここ座っていい?」
バレが答えるまもなく、どかりと褐色の肌をした黒いロングヘアーのバレと同じ年齢の女が座った。
バレよりふた回り体格が大きく、表情も明るい。
「私、サバー、よろしく。両親の世界はどうだった?私の両親なんか最高っ!毎日ごちそうだし、500パレもらってワンピースも5着もらったの!で、あなたの両親はどんな人だった?」
バレが何も聞いてもいないのに、サバーは勝手に話し出した。
バレは居心地が悪く、ずけずけと質問するサバーの無神経さに無口だったバレはますます無口になった。
幸福な子供はそれが当たり前で、自分より不幸な子供がいる事を想像すら出来ない。
またサバーが話し出しそうだったので、バレは立ち上がった。
「化粧室で、ワンピースを着替えてくるわ」
バレはにっこり笑うとサバーは気にとめる事もなくリュックからクッキーを出して、窓の外を見ながら食べ出した。
バレは横目でそれを見ながら車両を移った。
誰もいない車両を見つけて、バレは一番すみに座る。自分の手が怒りで震えていた。
祖父の世界は、父親の世界と母親の世界に比べて静かだった。
「なんか、つまんなそー。早く次の世界に行こう」
駅のホームのはしからサバーの大声が聞こえたのでバレは駅員に50パレを払い足早に駅を出た。
あいかわらず駅前には藁葺き屋根の家があったが、地図を見るとバレの祖父の家は8キロは先の場所だ。
「祖父の世界の住人3億人、祖父ギルバー・ジャンル、みやこ町在住」
祖父の世界は10の町に別れ、バレの祖父が住む町は世界のかたすみだった。
「お嬢さん、乗って行くかい?この世界は歩くのには、ちと複雑だよ、10キロ先までなら1パレでいいよ」
駅前に小さな車が何台か止まっていて、どうやら好きな場所に運んでくれるらしい。
歩くことに慣れたバレだったが、両親やサバーの話に疲れたバレは車に乗ることにした。運転手はバレの父親くらいの年齢の男だった。
「この世界は、残酷だろ。いろんな家族がいるからね。俺も親には苦労させられたよ」
沈んだ表情のバレを運転手は見ながら話し出した。
「おじさん・・・運転手さんもですか?でも、恵まれた子供もいますね」
バレはカバンをひざの上でかかえ直した。バレは宙の国を出た事を後悔し始めていた。
家族と会わずに、永遠に宙の国で番人として生き続ける幸せもあるのではないだろうか?
「みやこ町は、おだやかなじいさんが多い町だから安心して行くといい」
運転手はそれだけ言うと、みやこ町まで黙っていた。
ギルバー・ジャンルの家は木造2階建ての素朴な家だった。70代の茶色の瞳をした細身の老人が出てきた。
「バレ、お入り。たいしたものもない家だけどね」
ギルバー・ジャンルは優しい笑顔をバレに見せると家に入った。両親や列車での出逢いに疲れ、だんだん家族に会うのが苦痛になってきたバレは無言で家に入った。
バレは30歳になっていた。
「お前の父さんも母さんも、あまりお前に似ていないねぇ。ばあさん似かな?」
バレの祖父はバレに緑茶と焼いたパンを出すと黙ってバレの横に座った。小さなテーブルに置かれたパンは芳ばしいバターのみの香りだった。
バレは黙って食べると、ほのかに甘くサクサクと食べやすい。
「2階の1番奥の部屋がお前の部屋だから、ゆっくりしていくといい」
バレの祖父はそれだけ言うと、2階に上がった。バレは残りのパンもたいらげる。
バレの祖父は静かな人で、朝と夕方の2回バレに緑茶とパンを出すだけで、特に何も話さない人だった。
疲れがたまっていたのか、バレは祖父が出す緑茶とパンを食べる以外は祖父に用意されたベッドと小さな木のテーブルと小さなタンス1つしか置いていない部屋で1日中眠った。
バレは35歳になっていた。
祖父の家にバレは3週間も滞在していた事に気がつき、慌てて次の祖母の世界に明日旅立つ事を祖父と夕方パンを食べながら話した。
「タンスに入っている中のものは、お前に用意したから全部持ってお行き。お前に会えて嬉しかったよ」
祖父は3週間前に出会った時と同じ笑顔でバレに笑いかけ、静かに2階に上がっていく。
タンスにはブラウン、ブラック、グレーの3枚のワンピースと80パレが入っていた。
朝早く祖父の家を出ようと決めていたバレだったが、祖父は緑茶とパンだけ用意してバレが食べ終わるまで待ち、バレが祖父の家から姿が見えなくなるまで、ずっと手をふってくれた。
たいした話もしていないのに、バレの枯渇していた気持ちは海のように満たされていた。
あいかわらず列車は五両しかなく1両に2人くらいしか乗っていない。
バレはリュックにつめこんだ母親から貰ったブルーのワンピースを見た。自分の父親と母親が仲の良くない事くらいは25歳にもなれば分かった。
バレが複雑な気持ちでワンピースで見ていたら明るい声がバレの頭の上から降ってきた。
「可愛いワンピースじゃん!ここ座っていい?」
バレが答えるまもなく、どかりと褐色の肌をした黒いロングヘアーのバレと同じ年齢の女が座った。
バレよりふた回り体格が大きく、表情も明るい。
「私、サバー、よろしく。両親の世界はどうだった?私の両親なんか最高っ!毎日ごちそうだし、500パレもらってワンピースも5着もらったの!で、あなたの両親はどんな人だった?」
バレが何も聞いてもいないのに、サバーは勝手に話し出した。
バレは居心地が悪く、ずけずけと質問するサバーの無神経さに無口だったバレはますます無口になった。
幸福な子供はそれが当たり前で、自分より不幸な子供がいる事を想像すら出来ない。
またサバーが話し出しそうだったので、バレは立ち上がった。
「化粧室で、ワンピースを着替えてくるわ」
バレはにっこり笑うとサバーは気にとめる事もなくリュックからクッキーを出して、窓の外を見ながら食べ出した。
バレは横目でそれを見ながら車両を移った。
誰もいない車両を見つけて、バレは一番すみに座る。自分の手が怒りで震えていた。
祖父の世界は、父親の世界と母親の世界に比べて静かだった。
「なんか、つまんなそー。早く次の世界に行こう」
駅のホームのはしからサバーの大声が聞こえたのでバレは駅員に50パレを払い足早に駅を出た。
あいかわらず駅前には藁葺き屋根の家があったが、地図を見るとバレの祖父の家は8キロは先の場所だ。
「祖父の世界の住人3億人、祖父ギルバー・ジャンル、みやこ町在住」
祖父の世界は10の町に別れ、バレの祖父が住む町は世界のかたすみだった。
「お嬢さん、乗って行くかい?この世界は歩くのには、ちと複雑だよ、10キロ先までなら1パレでいいよ」
駅前に小さな車が何台か止まっていて、どうやら好きな場所に運んでくれるらしい。
歩くことに慣れたバレだったが、両親やサバーの話に疲れたバレは車に乗ることにした。運転手はバレの父親くらいの年齢の男だった。
「この世界は、残酷だろ。いろんな家族がいるからね。俺も親には苦労させられたよ」
沈んだ表情のバレを運転手は見ながら話し出した。
「おじさん・・・運転手さんもですか?でも、恵まれた子供もいますね」
バレはカバンをひざの上でかかえ直した。バレは宙の国を出た事を後悔し始めていた。
家族と会わずに、永遠に宙の国で番人として生き続ける幸せもあるのではないだろうか?
「みやこ町は、おだやかなじいさんが多い町だから安心して行くといい」
運転手はそれだけ言うと、みやこ町まで黙っていた。
ギルバー・ジャンルの家は木造2階建ての素朴な家だった。70代の茶色の瞳をした細身の老人が出てきた。
「バレ、お入り。たいしたものもない家だけどね」
ギルバー・ジャンルは優しい笑顔をバレに見せると家に入った。両親や列車での出逢いに疲れ、だんだん家族に会うのが苦痛になってきたバレは無言で家に入った。
バレは30歳になっていた。
「お前の父さんも母さんも、あまりお前に似ていないねぇ。ばあさん似かな?」
バレの祖父はバレに緑茶と焼いたパンを出すと黙ってバレの横に座った。小さなテーブルに置かれたパンは芳ばしいバターのみの香りだった。
バレは黙って食べると、ほのかに甘くサクサクと食べやすい。
「2階の1番奥の部屋がお前の部屋だから、ゆっくりしていくといい」
バレの祖父はそれだけ言うと、2階に上がった。バレは残りのパンもたいらげる。
バレの祖父は静かな人で、朝と夕方の2回バレに緑茶とパンを出すだけで、特に何も話さない人だった。
疲れがたまっていたのか、バレは祖父が出す緑茶とパンを食べる以外は祖父に用意されたベッドと小さな木のテーブルと小さなタンス1つしか置いていない部屋で1日中眠った。
バレは35歳になっていた。
祖父の家にバレは3週間も滞在していた事に気がつき、慌てて次の祖母の世界に明日旅立つ事を祖父と夕方パンを食べながら話した。
「タンスに入っている中のものは、お前に用意したから全部持ってお行き。お前に会えて嬉しかったよ」
祖父は3週間前に出会った時と同じ笑顔でバレに笑いかけ、静かに2階に上がっていく。
タンスにはブラウン、ブラック、グレーの3枚のワンピースと80パレが入っていた。
朝早く祖父の家を出ようと決めていたバレだったが、祖父は緑茶とパンだけ用意してバレが食べ終わるまで待ち、バレが祖父の家から姿が見えなくなるまで、ずっと手をふってくれた。
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