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あんまりな言葉にラウラは驚き顔をあげ、必死に叫ぶ。
「そんな……何を! 奪ったのならペンダントをしています!」
「それだけズル賢く性悪なんだろう。そんな企みに俺が騙されると思うな!」
「っ! ……お父様!」
何を言っても、ホセには響かない。全て嘘だと断言されてしまう。
騙す気もないし、嘘もついていない。
最後の砦とばかりにナバーロ侯爵へと視線を向けるが、侯爵は気まずそうに視線を反らした。
……父から説明をしなければ、何も聞いてもらえないだろうに。
私の話など何の説得力もないというのに。
ラウラの心に、絶望の闇が少しだけ広がった。
実の父に、人生をかける大事な場面で助けてもらえないという悲しみは、まるで奈落の底へと突き落とされたかのようで……眩暈のような感覚が起こる。
「こんな婚約は認めない」
否定もせず、ただ視線を反らしたナバーロ侯爵を見てホセはそれを肯定だと捉えたようで、そう一言だけ告げると、その場から立ち去った。
「ホセ! 一年後には結婚式を控えているんだぞ!」
国王がホセの背中に向かって叫ぶが、ホセは一切振り返る事なく、王城へと入っていった。
「……ナバーロ侯爵……」
「申し訳ありません……色々とありまして……」
溜息を吐いて問う国王に、侯爵はただ頭を下げ、ラウラもそれに倣って頭を下げた。
――大丈夫。きっと大丈夫。
ラウラは不安な気持ちをかき消すように、心の中で唱えていた。
ペンダントなんて、ただの証に過ぎない。大切なものではあるけれど……あれは再会の目印だ。
人となりを知ってもらえれば、きっとわかってもらえる筈。きっと見つけてくれる筈。
震え、泣きたくなる心をグッと堪え、ラウラはただ前を向いた。
お披露目の後、ホセに説明をしようと何度も謁見を申し込んだが、全て返事すら届かない始末。
挙句、王城で会ったとしても居ないものとして無視をされる。
更に決定的なのは……妹との逢瀬だ。
「ホセ様!」
「あぁ、会いたかったよ、パウラ」
誰かに見られるとは思わないのか。見られて困るとも思っていないのか。
色んな人が通り見る事も出来る王城の中庭で、ホセとラウラは二人っきりで会っていた。
しかも、お互いの身体に触れあっている程の近しい距離で、だ。
そんなの、不貞行為以外の何に見えると言うのだろう。
「……っ」
ラウラは視線を背けると、二人を背にして、その場から逃げるように立ち去った。
二人の逢瀬を何度目撃したのか分からない。
その度に心が砕かれていき、ボロボロになっていくようだ。
「そんな……何を! 奪ったのならペンダントをしています!」
「それだけズル賢く性悪なんだろう。そんな企みに俺が騙されると思うな!」
「っ! ……お父様!」
何を言っても、ホセには響かない。全て嘘だと断言されてしまう。
騙す気もないし、嘘もついていない。
最後の砦とばかりにナバーロ侯爵へと視線を向けるが、侯爵は気まずそうに視線を反らした。
……父から説明をしなければ、何も聞いてもらえないだろうに。
私の話など何の説得力もないというのに。
ラウラの心に、絶望の闇が少しだけ広がった。
実の父に、人生をかける大事な場面で助けてもらえないという悲しみは、まるで奈落の底へと突き落とされたかのようで……眩暈のような感覚が起こる。
「こんな婚約は認めない」
否定もせず、ただ視線を反らしたナバーロ侯爵を見てホセはそれを肯定だと捉えたようで、そう一言だけ告げると、その場から立ち去った。
「ホセ! 一年後には結婚式を控えているんだぞ!」
国王がホセの背中に向かって叫ぶが、ホセは一切振り返る事なく、王城へと入っていった。
「……ナバーロ侯爵……」
「申し訳ありません……色々とありまして……」
溜息を吐いて問う国王に、侯爵はただ頭を下げ、ラウラもそれに倣って頭を下げた。
――大丈夫。きっと大丈夫。
ラウラは不安な気持ちをかき消すように、心の中で唱えていた。
ペンダントなんて、ただの証に過ぎない。大切なものではあるけれど……あれは再会の目印だ。
人となりを知ってもらえれば、きっとわかってもらえる筈。きっと見つけてくれる筈。
震え、泣きたくなる心をグッと堪え、ラウラはただ前を向いた。
お披露目の後、ホセに説明をしようと何度も謁見を申し込んだが、全て返事すら届かない始末。
挙句、王城で会ったとしても居ないものとして無視をされる。
更に決定的なのは……妹との逢瀬だ。
「ホセ様!」
「あぁ、会いたかったよ、パウラ」
誰かに見られるとは思わないのか。見られて困るとも思っていないのか。
色んな人が通り見る事も出来る王城の中庭で、ホセとラウラは二人っきりで会っていた。
しかも、お互いの身体に触れあっている程の近しい距離で、だ。
そんなの、不貞行為以外の何に見えると言うのだろう。
「……っ」
ラウラは視線を背けると、二人を背にして、その場から逃げるように立ち去った。
二人の逢瀬を何度目撃したのか分からない。
その度に心が砕かれていき、ボロボロになっていくようだ。
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