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貴族令嬢には、ありえない処遇すぎて、ホセは驚きと怒りで荒げた声を上げた。
今時、メイドでさえ屋根裏部屋で過ごす事はないというのに。
「ホセ様が侯爵家へ通っているという噂がお姉さまの耳にも入ったみたいで……」
「ラウラ……なんて性悪な女なんだ……」
ホセは会った事もない婚約者に対して悪態をつく。
「もう良い! 俺が直接ラウラに……」
「止めて下さい!!」
ホセが激高して上げた言葉より大きな声でパウラは叫んだ。
もはや溢れ出る涙は止まる事を知らず、次から次へと零れ落ちている。
「そんな事をホセ様に話したとお姉様が知ったら……」
身体を縮ませて震えるパウラの言葉に、それは悪手かと思い直す。
「ならば侯爵に……」
「両親に言ってしまったとお姉様に知られたら、更に殴られてしまいます!」
「……更に?」
「あ……」
パウラの言葉に突っ込めば、パウラは顔を真っ青に染め上げて、一歩後ずさった。
迂闊に口から漏れ出てしまったと言わんばかりに、両手を口へ押し当てている。
……暴力まで振るっているというのか? 実の妹相手に? ただの嫉妬で?
――悪辣だ。
「良いんです……ドレスやアクセサリー……そして部屋まで奪われたけれど……」
優しいパウラの声に、ホセは顔を上げる。
寂しそうに……どこか悲し気に。だけれど、その表情は女神のように優しい。
「これだけは守り通せていますから」
そしてパウラが握ったのは、ホセが渡したペンダントだ。
心優しき命の恩人。
初恋の女の子。
何よりも大切な存在に渡した証。
それが、自分の婚約者にと望んでいた筈なのに。
――全てをラウラが奪った。
ラウラと言葉を交わす事もなく、パウラの言葉だけで、ホセは決めつけていた。決めつけてしまった。
ペンダントを持っているという、その事実だけで。
会った事もない婚約者、ラウラに対する心象の悪さは、言葉に言い表せない程となっていた。
「パウラ……君は本当に優しいね。流石俺の愛する人だ」
「ホセ様……! 嬉しい!!」
遠く離れた場所とは言え、目の届く所に侍女達が居るにも関わらず、ホセとパウラは抱き合った。
愛している。
愛する人。
それはもう、疑いようのない事実だと。
……パウラの口角が醜く歪んだ事など、ホセは知る由もない。
「あんた、どこ行ってたの?」
王城へ帰って来ると、エマが厳しい目つきをし、追及するような口調で問いかけてきたが、ホセはそれを無視した。
「あんたの婚約者はラウラ・ナバーロだってわかってんの?」
「ちっ」
どこからか嗅ぎつけたのだろうか。情報が早い。
ホセは煩わしさを覚え、舌打ちだけして返答する事なく、その場から遠ざかった。
残されたエマの瞳は、とてつもなく厳しく吊り上がっていた事にも、ホセは全く気が付いていなかったのだ。
今時、メイドでさえ屋根裏部屋で過ごす事はないというのに。
「ホセ様が侯爵家へ通っているという噂がお姉さまの耳にも入ったみたいで……」
「ラウラ……なんて性悪な女なんだ……」
ホセは会った事もない婚約者に対して悪態をつく。
「もう良い! 俺が直接ラウラに……」
「止めて下さい!!」
ホセが激高して上げた言葉より大きな声でパウラは叫んだ。
もはや溢れ出る涙は止まる事を知らず、次から次へと零れ落ちている。
「そんな事をホセ様に話したとお姉様が知ったら……」
身体を縮ませて震えるパウラの言葉に、それは悪手かと思い直す。
「ならば侯爵に……」
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「あ……」
パウラの言葉に突っ込めば、パウラは顔を真っ青に染め上げて、一歩後ずさった。
迂闊に口から漏れ出てしまったと言わんばかりに、両手を口へ押し当てている。
……暴力まで振るっているというのか? 実の妹相手に? ただの嫉妬で?
――悪辣だ。
「良いんです……ドレスやアクセサリー……そして部屋まで奪われたけれど……」
優しいパウラの声に、ホセは顔を上げる。
寂しそうに……どこか悲し気に。だけれど、その表情は女神のように優しい。
「これだけは守り通せていますから」
そしてパウラが握ったのは、ホセが渡したペンダントだ。
心優しき命の恩人。
初恋の女の子。
何よりも大切な存在に渡した証。
それが、自分の婚約者にと望んでいた筈なのに。
――全てをラウラが奪った。
ラウラと言葉を交わす事もなく、パウラの言葉だけで、ホセは決めつけていた。決めつけてしまった。
ペンダントを持っているという、その事実だけで。
会った事もない婚約者、ラウラに対する心象の悪さは、言葉に言い表せない程となっていた。
「パウラ……君は本当に優しいね。流石俺の愛する人だ」
「ホセ様……! 嬉しい!!」
遠く離れた場所とは言え、目の届く所に侍女達が居るにも関わらず、ホセとパウラは抱き合った。
愛している。
愛する人。
それはもう、疑いようのない事実だと。
……パウラの口角が醜く歪んだ事など、ホセは知る由もない。
「あんた、どこ行ってたの?」
王城へ帰って来ると、エマが厳しい目つきをし、追及するような口調で問いかけてきたが、ホセはそれを無視した。
「あんたの婚約者はラウラ・ナバーロだってわかってんの?」
「ちっ」
どこからか嗅ぎつけたのだろうか。情報が早い。
ホセは煩わしさを覚え、舌打ちだけして返答する事なく、その場から遠ざかった。
残されたエマの瞳は、とてつもなく厳しく吊り上がっていた事にも、ホセは全く気が付いていなかったのだ。
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