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「え、あの……」
「とある子爵令嬢なのですが」
いきなり話の当事者にされたが、私の事はどうでも良い旨を伝えようと口を開いたのだけれど、ルイスが淡々と話し始めた。
嫌がらせから、王太子殿下の言葉まで、全て。
「ははは……はははははは」
「ふ……ふふふ……ふふふふふ」
聞いて行くにつれ、俯き身体が揺れていた両親だが、話が終えた途端、狂ったように笑い出した。
壊れた!?
思わず身体が一瞬強張ったけれど、目の前にあるデザートを食べないという選択肢はない。
しっかりと食しながら両親を見ていれば、バッと顔をあげた。
「ルイス。よく分かった。ミアを守ってくれてありがとう。しかし……正直公爵家では守れるか分からない」
「あなた!? ミアだけでなく、ルイス大切なセフィーリオ公爵家の子ですわ!」
お父様は悔しそうな表情で声を絞り出した。
それは、王族の血を引いている事で何かしら言われたとしても、貴族最高位の公爵家といえ庇う事は出来ないという事だ。
それを察したお母様は、悲鳴のような声をあげるけれど……たかが一貴族の力など知れている。
王太子殿下に対抗して私を守る為と言っても、よくやったとは言い切れない。
「俺は義姉上の婚約者で、義姉上を守る義務と権利があります」
「そうだけど……」
だから、身分を明かしたと言う事だ。例え遠回しだとしても。
確かに、あのままだったら王太子殿下が権力を使って、冤罪により意味不明な罰を与えてきたかもしれない。そして、お父様は全力で贖い、無用な争いも生まれていたかもしれないだろう。
そう考えれば、あの場を収める方法としては最善ではなくても良かったのかもしれないが……でも、そうなればルイスは……?
思わずルイスの顔を見上げれば、私の視線に気が付いたルイスは優しく微笑む。
「俺は公爵家を出ていく気はありませんよ」
しっかりと自分の意思を宣言する。
その言葉に、一瞬だけ安堵の空気が広がるけれど、本人の意思だけではどうしようもない事がある。
「ルイス……」
「ルイスの気持ちはよく分かった」
分かっていても、それ以外言う事の出来ない両親は、無理やり自分を納得させたような表情で言葉を絞り出した。
でも、私は知っている。
ルイスが王弟殿下と手紙のやり取りをしている事を。
食事が終わり、話す事もこれ以上ないと解散になったけれど、私は自室で一人、とある思いに耽っていた。
――ルイスは、本当の父親と一緒に居る方が良いのではないか。
ルイスルートでは、どうなるのが正解なのかと、答えの出ない問題が頭の中で駆け巡る。
「とある子爵令嬢なのですが」
いきなり話の当事者にされたが、私の事はどうでも良い旨を伝えようと口を開いたのだけれど、ルイスが淡々と話し始めた。
嫌がらせから、王太子殿下の言葉まで、全て。
「ははは……はははははは」
「ふ……ふふふ……ふふふふふ」
聞いて行くにつれ、俯き身体が揺れていた両親だが、話が終えた途端、狂ったように笑い出した。
壊れた!?
思わず身体が一瞬強張ったけれど、目の前にあるデザートを食べないという選択肢はない。
しっかりと食しながら両親を見ていれば、バッと顔をあげた。
「ルイス。よく分かった。ミアを守ってくれてありがとう。しかし……正直公爵家では守れるか分からない」
「あなた!? ミアだけでなく、ルイス大切なセフィーリオ公爵家の子ですわ!」
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それは、王族の血を引いている事で何かしら言われたとしても、貴族最高位の公爵家といえ庇う事は出来ないという事だ。
それを察したお母様は、悲鳴のような声をあげるけれど……たかが一貴族の力など知れている。
王太子殿下に対抗して私を守る為と言っても、よくやったとは言い切れない。
「俺は義姉上の婚約者で、義姉上を守る義務と権利があります」
「そうだけど……」
だから、身分を明かしたと言う事だ。例え遠回しだとしても。
確かに、あのままだったら王太子殿下が権力を使って、冤罪により意味不明な罰を与えてきたかもしれない。そして、お父様は全力で贖い、無用な争いも生まれていたかもしれないだろう。
そう考えれば、あの場を収める方法としては最善ではなくても良かったのかもしれないが……でも、そうなればルイスは……?
思わずルイスの顔を見上げれば、私の視線に気が付いたルイスは優しく微笑む。
「俺は公爵家を出ていく気はありませんよ」
しっかりと自分の意思を宣言する。
その言葉に、一瞬だけ安堵の空気が広がるけれど、本人の意思だけではどうしようもない事がある。
「ルイス……」
「ルイスの気持ちはよく分かった」
分かっていても、それ以外言う事の出来ない両親は、無理やり自分を納得させたような表情で言葉を絞り出した。
でも、私は知っている。
ルイスが王弟殿下と手紙のやり取りをしている事を。
食事が終わり、話す事もこれ以上ないと解散になったけれど、私は自室で一人、とある思いに耽っていた。
――ルイスは、本当の父親と一緒に居る方が良いのではないか。
ルイスルートでは、どうなるのが正解なのかと、答えの出ない問題が頭の中で駆け巡る。
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