【完結】異世界で幽霊やってます!?

かずきりり

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10.知らないからこそ恥をかく

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 その視線は、しっかり俺へと向けられていて、目と目が交わる。
 あ……認識してもらった。
 今までの孤独を思えば、喜ぶ気持ちも沸いてくる。

「え!?見える!?本当に見える!?声も聞こえる!」
「シーッ!静かにしてください!他の人に気づかれたら……」
「いや、見えないし聞こえない……」

 言っていて、自分で落ち込む。
 居るのに無視されるのって、あんな感じなのかとか。誰とも話せないって、こんな気持ちになるのかとか、一生知りたくなかった事を十分体験させてもらった。一日にも満たない時間だけど、もうしたくない。

「着ているものは……学ランですよね……?」
「その文字、日本語だよね?」

 おそるおそると言った様子で訊ねるアデライト公爵令嬢に、こちらも念の為確認のように訊ねる。

「日本人なんですか?」
「アデライト公爵令嬢こそ」
「…………そこはランデー公爵令嬢と言うところなんですけど……」
「そんな知識はない」

 ずっと頭の中で呼んでいたが、どうやら呼び方が違うらしい。日本式で言うなら苗字に敬称をつけるのがランデー公爵令嬢という言い方で、アデライト公爵令嬢だと名前に敬称をつけてるようなものになる。
 あ、うん。初対面の女子にそんな呼び方しないわ。
 無知って恥ずかしいな!
 項垂れる俺に、ランデー公爵令嬢はクスリと微笑んだ。

「どうせ周りに声が聞こえないのであれば、お好きに呼んでもらっても良いですよ」
「……じゃあ、お嬢様で」
「……何か凄く他人行儀な上に嫌味を感じますが」

 それは仕方ない。これ以上、恥ずかしい思いをしたくないのだ。
 思春期男子として恥ずかしさだけでなく、やっと話せる相手が出来たというのに、無作法を見せて嫌われるのも怖い。
 離れられない以上、お互い嫌いにならないように気を付けようと思って何が悪い!
 ジーッと、疑問符を浮かべたようにこちらを見るお嬢様に、少し申し訳なさを感じてしまい、顔を少し背けて答える。

「……この世界に慣れてから考える……」
「?そう言えば……転生……ではないのですか?」

 生身ではなく幽霊で。しかも学ランを着ている、死んだ時の姿そのまま。
 お嬢様の疑問符は更に増えたようで、とりあえずお互いの話をして整理しようと言う事になった。
 お供え、した方が良いですか?なんて言うお嬢様に、酷く胸が痛んだが、お供えしてもらったら幽霊でも食べられるのは本当だろうかと口にすれば、お嬢様は少し多めのお菓子と紅茶のカップを二人分頼んだ。
 メイドの恰好をした者が一瞬、疑惑の目を向けたが、二種類の紅茶をお嬢様が頼んだ事から、納得したようだった。
 うん……どんだけ飲むんだって思われてそうだけどな。お嬢様。
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