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15.うるさい幽霊
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「ここが……3次元でのゲーム世界!」
「……」
「本当に降り立つと既視感というよりは、建築様式に感動するなー……ゲーム視点だと若干俯瞰だったりするしな」
「……」
馬車を降りてから、ずっと感動を言葉にしている俺と違い、お嬢様は顔色1つ変えず、黙々と歩き続けている。ただ、真っすぐ教室へ向かうというよりは、中庭の方へ少し立ち寄ったりしてくれる辺り、日本人独特のおもてなしというか気遣いだろう。おかげで俺は色々と見る事が出来て感動しているのだが、正直、お嬢様と離れる事が出来たら、もっと色んな所を見られるのにと思ったりした。
だって、退屈じゃね?何を書いてるか分からない教科書やノートのようなものを使った授業中、ただ認識されずそこに浮いてるだけの俺。
教室から出られないかな、なんて思ってウロウロしましたさ。まぁ、無理だったわけだけれど。
最終的にはお嬢様の隣で、少しでも文字が分かるようになるかなーなんて思って、一緒に教科書らしきものを眺めていた。
……うん、退屈だ。ここまで退屈じゃなかったら、勉強なんてしないと断言できる。生きてる頃の俺はゲームばっかしていたしなぁ。
俺が究極の暇を体験しているのが分かったのか、お嬢様が日本語で何かを書き始めた。
――学校が終わったら街へ下りてみる?
「行く!!」
嬉しい申し出に、思わず声を張り上げて返事をしてしまい、ハッとして口に手をあてる。しかしお嬢様は何事もなかったように微動だにしてない。
流石、貴族の教育……ゲームや小説の通りだと言うのか……と、変な所で感心してしまう。
「流石に、うるさいです……」
「すいません……」
現世ならば放課後と呼ばれる時間、馬車に乗り込んだお嬢様は開口一番そう言い放った。
一人暮らしになると寂しさやストレスから独り言が多くなると言うけれど、こういう事なのだろうか。……まだ高校生と若い筈なのに、メンタル面は一気に老け込んだ感じがする。幽体だからこそ余計に。
「表情を変えず悟らせない教育は受けてますが……授業内容が聞こえません」
「ますます申し訳ないです!」
くっそ真面目だな!と内心思いつつも、とんでもなく邪魔をしている自分がいたたまれなくなる。
離れる事が出来るのならば、もう少しお互い楽になるのに……なんて思いながら馬車の外に目をやると、街並みが見えてきた。
「おぉおお」
思わず感嘆の声をあげた俺に、お嬢様は少し溜息をつきつつも口元を綻ばせた。
「……街中でも、私は話せませんからね……せめて小声で囁く程度です」
「お嬢様が変人に見られるもんなぁ」
俺の言葉にお嬢様が少し睨みつけるような目で見て来た。
「……」
「本当に降り立つと既視感というよりは、建築様式に感動するなー……ゲーム視点だと若干俯瞰だったりするしな」
「……」
馬車を降りてから、ずっと感動を言葉にしている俺と違い、お嬢様は顔色1つ変えず、黙々と歩き続けている。ただ、真っすぐ教室へ向かうというよりは、中庭の方へ少し立ち寄ったりしてくれる辺り、日本人独特のおもてなしというか気遣いだろう。おかげで俺は色々と見る事が出来て感動しているのだが、正直、お嬢様と離れる事が出来たら、もっと色んな所を見られるのにと思ったりした。
だって、退屈じゃね?何を書いてるか分からない教科書やノートのようなものを使った授業中、ただ認識されずそこに浮いてるだけの俺。
教室から出られないかな、なんて思ってウロウロしましたさ。まぁ、無理だったわけだけれど。
最終的にはお嬢様の隣で、少しでも文字が分かるようになるかなーなんて思って、一緒に教科書らしきものを眺めていた。
……うん、退屈だ。ここまで退屈じゃなかったら、勉強なんてしないと断言できる。生きてる頃の俺はゲームばっかしていたしなぁ。
俺が究極の暇を体験しているのが分かったのか、お嬢様が日本語で何かを書き始めた。
――学校が終わったら街へ下りてみる?
「行く!!」
嬉しい申し出に、思わず声を張り上げて返事をしてしまい、ハッとして口に手をあてる。しかしお嬢様は何事もなかったように微動だにしてない。
流石、貴族の教育……ゲームや小説の通りだと言うのか……と、変な所で感心してしまう。
「流石に、うるさいです……」
「すいません……」
現世ならば放課後と呼ばれる時間、馬車に乗り込んだお嬢様は開口一番そう言い放った。
一人暮らしになると寂しさやストレスから独り言が多くなると言うけれど、こういう事なのだろうか。……まだ高校生と若い筈なのに、メンタル面は一気に老け込んだ感じがする。幽体だからこそ余計に。
「表情を変えず悟らせない教育は受けてますが……授業内容が聞こえません」
「ますます申し訳ないです!」
くっそ真面目だな!と内心思いつつも、とんでもなく邪魔をしている自分がいたたまれなくなる。
離れる事が出来るのならば、もう少しお互い楽になるのに……なんて思いながら馬車の外に目をやると、街並みが見えてきた。
「おぉおお」
思わず感嘆の声をあげた俺に、お嬢様は少し溜息をつきつつも口元を綻ばせた。
「……街中でも、私は話せませんからね……せめて小声で囁く程度です」
「お嬢様が変人に見られるもんなぁ」
俺の言葉にお嬢様が少し睨みつけるような目で見て来た。
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