【完結】異世界で幽霊やってます!?

かずきりり

文字の大きさ
34 / 65

34.ヒロインには会いたくないのに

しおりを挟む
「疲れた……」

 グッタリと馬車の中で屍のように浮遊している俺を見て、お嬢様は開き直るように言った。

「だって生きたいもの」
「死んだ人間を前にしてよく言える……」

 それでも生きてるなら生きようとは本能的に思うのは分かる。死にたいーなんて言葉で言っても、食べるし寝る。更に言うなら攻撃されれば避けるし逃げるだろう。

「……処刑というルートを辿る為に生まれたとは、思いたくないの……抗いたい」

 悲しそうに眼を伏せてお嬢様が言った時、馬車は学園に到着したようで、止まった。
 確かに、最初から自分の生きる道が決められている上、知っているのは自分の存在価値さえも見誤りそうだ。
 人間、何をするのも選択の連続だと言うのは聞いた事がある。その選択によって未来が決まると……まぁ、それで学業よりもゲームを選んだ俺は、生きていたら一体どんな未来になっていたんだろうな……。

「きゃっ」

 もし、なんてあり得ない未来についてボーっと考えながらお嬢様に引きずられていたら、横から少し甲高い悲鳴が聞こえた。
 うん、聞きたくない声だ。ぶりっ子モードの声だ。相手は見なくても分かる。
 お嬢様の横顔も、一瞬口元が引きつった。……そりゃ関わりたくないだろうなぁ。

「ごめんなさい……驚いて……」
「いえ、いいのよ」

 ビクビクおどおどと言った感じで話しかけてくるヒロイン、アニス。怖いなら話しかける必要もないだろうに。
 門から校舎へ続く通路には、人も沢山いる。こちらをジロジロ見ているし、お嬢様も無視するわけにはいかない。
 しかし、アニスのあの態度を遠目から見ているだけの人には、怯えているようにしか見えないというか……お嬢様が虐めているようにも見えるわなー……。

「あの……本当に殿下を階段から突き落としたのですか……?」
「どの口が言う」

 相手に聞こえないからこそ、あえて俺は口に出して少し怒りを発散した。てか、いちいちこんな人通りが多いところで言う事か?空気読め!日本人なら空気読めるだろう!
 こんな人間、二次元で存在するだけで充分だろう。現実に存在しないで頂きたい。切実に。気持ち悪くて仕方がない。

「私、本来のアデライト様はそんな事する人ではないと思ってます!でも、いくら嫉妬にかられたから言って行き過ぎた行為じゃないですか……?私が悪いのは分かってます……なら、私を害してくれれば良かったのに……」

 勝手な妄想に勝手な意見。挙句ハラハラと涙を流して、泣いたもの勝ちとでも言いたいのかとすら思える。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
よくゲームとかで敵を回復するうざい敵キャラっているだろ? ――――それ、オレなんだわ……。 昔流行ったゲーム『魔剣伝説』の中で、悪事を働く辺境伯の息子……の取り巻きの一人に転生してしまったオレ。 そんなオレには、病に侵された双子の妹がいた。 妹を死なせないために、オレがとった秘策とは――――。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!? これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。 日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

処理中です...