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57.二人を外す
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「殿下!何を考えているのですか!」
「きっと誤解です!」
案の定と言うべきか……朝になってアニスが捕まったという一報が二人の耳に入ったのだろう。朝早くから人の執務室へと押しかけてくるのだから。
こっちは少ない睡眠時間の後で、後始末の書類を処理しているというのに。
「……君達はアニスと離れていて、何か気が付く事はないのか?」
確認のように伝える。
離れる時間で正気に戻るのか。少なくとも王子は、城へ帰れば後悔に苛まれた。だからと言って、共に過ごす時間が増えれば増える程、自分の思うように身体は動かなくなったが……。
(言葉や躊躇いには、出る筈だ)
操られるように惹かれた可能性に賭けて、二人に視線を向けた。瞬きすら惜しいといわんばかりに、二人の動向を逃さないように。
……だけど。
「何を言っているんですか?あぁ、殿下も寂しくて、変な嫉妬からこんな事を?」
「だったら、殿下も目が覚めてすぐ学園に来てアニスと会えば良かったんですよ。証拠の捏造でもしてたんですか」
握った拳から生暖かい液体が広がる感覚。それが血だと言う事に気が付いた時、怒りに染まった頭が少しだけ冷静になった。
……コイツ等は、洗脳されたんではなく、攻略されたんだと。
……簡単に心を掌握されたんだと。
そして俺を見下すような発言。いくら幼馴染のような存在でも、こんな上下関係も分からず、貴族マナーも守れない奴等を側に置いていた自分が恥ずかしくなる。
……自分が?
「殿下?」
「頭打った後遺症がまだあるんですかね」
自分の思考に引っかかり、少し止まっていた俺に、また二人は訝し気な目を向けては馬鹿にするような口調で話しかけてきた。
「……お前等は外れてもらう」
「え?」
「は?」
「側近や護衛から外れてもらうと行ったんだ。近寄る際は必要な手続きを踏め」
ブルーノは驚愕の表情をし、ルネは顔を真っ赤に歪め怒り出した。
「何言ってんだ!俺以外の誰に護衛が務まると!」
「そうですよ!護衛もですが、他の誰に側近が務まると?アニスの件に関しての嫉妬も、ここまでくると醜いですよ、殿下」
――こいつ等は、事の重大さを理解していない。
きっと何を言った所で、嫉妬だの八つ当たりだの、的外れな理論ばかり並べ立てて話にならないのだろう。……そもそも、その根底として第一王子がアニスを愛しているなどというワケの分からない根拠があるのだから。
「…………おい、こいつらを追い出せ」
話をする事すら無駄だと感じた俺は、近衛兵に声をかけ、まだ喚いている二人を追い出してもらったと同時に、ふいに奇妙な事を思う。
――……俺……?
「きっと誤解です!」
案の定と言うべきか……朝になってアニスが捕まったという一報が二人の耳に入ったのだろう。朝早くから人の執務室へと押しかけてくるのだから。
こっちは少ない睡眠時間の後で、後始末の書類を処理しているというのに。
「……君達はアニスと離れていて、何か気が付く事はないのか?」
確認のように伝える。
離れる時間で正気に戻るのか。少なくとも王子は、城へ帰れば後悔に苛まれた。だからと言って、共に過ごす時間が増えれば増える程、自分の思うように身体は動かなくなったが……。
(言葉や躊躇いには、出る筈だ)
操られるように惹かれた可能性に賭けて、二人に視線を向けた。瞬きすら惜しいといわんばかりに、二人の動向を逃さないように。
……だけど。
「何を言っているんですか?あぁ、殿下も寂しくて、変な嫉妬からこんな事を?」
「だったら、殿下も目が覚めてすぐ学園に来てアニスと会えば良かったんですよ。証拠の捏造でもしてたんですか」
握った拳から生暖かい液体が広がる感覚。それが血だと言う事に気が付いた時、怒りに染まった頭が少しだけ冷静になった。
……コイツ等は、洗脳されたんではなく、攻略されたんだと。
……簡単に心を掌握されたんだと。
そして俺を見下すような発言。いくら幼馴染のような存在でも、こんな上下関係も分からず、貴族マナーも守れない奴等を側に置いていた自分が恥ずかしくなる。
……自分が?
「殿下?」
「頭打った後遺症がまだあるんですかね」
自分の思考に引っかかり、少し止まっていた俺に、また二人は訝し気な目を向けては馬鹿にするような口調で話しかけてきた。
「……お前等は外れてもらう」
「え?」
「は?」
「側近や護衛から外れてもらうと行ったんだ。近寄る際は必要な手続きを踏め」
ブルーノは驚愕の表情をし、ルネは顔を真っ赤に歪め怒り出した。
「何言ってんだ!俺以外の誰に護衛が務まると!」
「そうですよ!護衛もですが、他の誰に側近が務まると?アニスの件に関しての嫉妬も、ここまでくると醜いですよ、殿下」
――こいつ等は、事の重大さを理解していない。
きっと何を言った所で、嫉妬だの八つ当たりだの、的外れな理論ばかり並べ立てて話にならないのだろう。……そもそも、その根底として第一王子がアニスを愛しているなどというワケの分からない根拠があるのだから。
「…………おい、こいつらを追い出せ」
話をする事すら無駄だと感じた俺は、近衛兵に声をかけ、まだ喚いている二人を追い出してもらったと同時に、ふいに奇妙な事を思う。
――……俺……?
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