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07.

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 足元がふらつきながらも、早くこんな高級そうなクッションから逃げなくては!と、籠から出ようとすれば、師匠が私を持ち上げ、じろじろ眺める。

「師匠!?」
「しかし、変身魔法なんて今まで見た事なかったなぁ」

 師匠でも見た事ない魔法があるのか。いや、確かに書物で残ってはいたけれど、実際これはかなり高度な魔法ではある。常に魔法を細やかに身をまとわないといけない為、かなりの集中力を要するし、魔法の加減を間違えれば四肢がはじけ飛んでもおかしくないのだ。
 だからこそ、実用している人が居なくても仕方がないのではないだろうか。

「身体の作りはどうなっているんだい? 四足歩行は苦ではないのか? ちょっと失礼するよ」

 師匠は私をテーブルの上に仰向け……つまり、お腹を丸出しにした状態でのせて、色んな所を触り始めた。

「……うん、身体の作りは普通の猫と全く変わりないね」
「レディを撫でくりまわさないでくれます!?」

 いくら猫の姿と言っても、私は一応令嬢である。つまり、女だ。あちこち触られたら恥ずかしくもある。そりゃ師匠は魔法の成果にだけ興味がある人だと理解していてもだ。恥ずかしいものは恥ずかしい。というか、そう女性に触れるものではない。撫でまわすなんて言語道断!

「凄い! 本当に普通の猫と変わりない!」
「どこ触ってるんですか!?」

 師匠の手が、尻尾や後ろ足にまで伸びてきた為、私は必死になって逃げだした。爪を出さない猫パンチを繰り広げた事は褒めてもらいたい。本当なら噛みつくくらいしたかった。それ程に恥ずかしかったのだから。

「あぁ、すまないね。紅茶やお菓子は……猫に大丈夫なのか?」

 謝りながら、紅茶を入れてクッキーを差し出しながらも、疑問に思った師匠は首をかしげたけれど、私はそんなの気にしないとばかりに紅茶を舐めてクッキーを食べた。
 泥水を啜って、雑草を食べる事に比べたら、遥かにマシだろう。どちらにしろ食べて死ぬならば、美味しいものである方が良い。
 空腹になっていた私は一心不乱に飲み食いしていれば、師匠の身体が震えている。どうかしたのだろうかと顔をあげれば、師匠は目を見開いて顔を真っ赤にしていた。

「凄い……これは凄いぞ!」
「へ?」

 興奮しきった師匠は、私をガッと掴むと、思いっきり揺さぶった。
 いや、そんな人の肩を揺さぶる感覚でしないで!私は今、猫なの!めちゃくちゃ揺れるし、自分の身体を支えきれない!

「高度な魔法操作をしながら、会話をして、更には飲み食いまで出来る!これは……凄い!」
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