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ここから番外編(腹黒王が割と出ます)
19: ヴィランに根負けしたナニカ、少しだけ記憶を残す。
ハハハ、ハハハハ……
……アハハハ……
ーーーーー
ーーー
ー
「……って、結局ヒルトゥームが勝ってたのかよーー!!?」
「うぇっ!?」
「てか、ナイ!ナイわーー!原作エンゼリヒト、アモネイ推しとかナイわーー!趣味悪!どー考えてもビクトール様一択っしょ!もー相変わらず超絶イケメン!超絶格好良い!最後まで戦おうとする姿勢が素敵すぎる!」
…………ハァハァ
ふと、乱れた息を整えつつ辺りを見回せば、白々明けようとする空が船窓から見える。ギシッギシッと軋む音、穏やかに揺れる蒼い景色。
(あ、そうか、ダンジョンに備えて早めに寝て……。)
船の一室、ベッドに居ることを思い出した僕は、それにしても、と夢を反芻した。
どうやら、神か悪魔の悪戯か、それとも違う何かか。僕が転生しなかったゲーム通りの未来を夢で視たらしい。
何となくだけど、何故だか、それが只の夢ではなく、僕が転生しなかった本来の未来なのだと確信が持てた。
(当たり前だけど、エンゼリヒトは僕とはまるっきり別人だったな。アモネイを好きになるし、それに、身長も低く、可愛いままだった。くぅぅ、何としてでも秘薬を手に入れるぞ!……にしても、アゼル様がサミュエルを…意外…、でも、そーなると…)
「おいおい、大丈夫か??ビックリした…いきなり絶叫するって、どんな夢見たんだよエンゼル~。」
ふぁぁ、とアクビと共に間の抜けた声が僕の思考を中断させる。
横を見ると、何時ものようにベッド横の床にボロを敷いて寝ているゴートが、ベッドに顎を乗せてうらめしそーな顔で此方を見ていた。どうやら壮絶な安眠妨害をしてしまったようだ。まぁ、毎度駄々を捏ねて部屋に転がり込むヤツが悪いので一切同情しない。顎乗せて上目遣いでぢーっと此方見るのも可愛くなんか無いからな。
「それがさ、聞いてよゴートあのね、あれ?…………あれ?凄い衝撃的な……あれ?……え??」
あれ??さっき僕、何て考えてたっけ??どんな夢見て、どんな反芻をしたんだっけ??
此方を見るゴートに溜め息一つ吐いて、今見た夢を話そうと思ったんだけど、途端に思い出せなくなってしまった僕は、頑張って思い出そうとするんだけど、まるでザルで川の水を救ってるかの様に何も引っ掛からない。
「???………ねぇ、ゴート、さっき僕何て叫んで起きた?何て言ってた??」
せめて何か取っ掛かりがあれば……!そう思って聞くも、ゴートも首を捻る。
「ええー?そう言われると、何か俺も良く思い出せないなー。……えっと、ヒルトゥーム……勝った?………後、ビクトール様が相変わらず格好いいとか言ってた気がするが、……あれ?おかしいな、普段は寝てても結構こーゆーのは覚えてられるタチなんだが……。」
「ええっ!?ビクトール様夢に出てきてたの!?絶対思い出す!!」
ゴートは何だかんだで有能だから、そんなゴートが思い出せないという事実に、何だか少し、何かの意思みたいなものを感じたりもしたけれど、ビクトール様というワードに僕は頑張って思い出す以外の選択肢を全て捨てた。絶対思い出す!!
てか、ヒルトゥームが勝ったって何??何か国を跨いだ剣術試合とかでもしてた夢かなぁ?!ビクトール様が優勝!!みたいな??キャーー!真剣な顔して剣を振るうビクトール様とか最っっ高だろーなーー!!
絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対思い出す!!!!!!気合い!!!!根性!!!!んぎぃぃぃ思い出せ僕ゥゥゥゥ!!!!
「ハッ!?お、思い出した!!学園のカフェでビクトール様が剣を……!!キャーー!ビクトール様!格好良い!!はぅっ……♡」
「お、おい!エンゼル!……エンゼル!?しっかりしろ、エンゼルーー!?」
気合いで何とか思い出そうと頑張った僕はその甲斐有って、学園のカフェで談笑していたら急に周囲が騒がしくなり、ビクトール様が凄く真剣な顔で剣を構えた瞬間を思い出した。
凄く短いシーンだし、音も、前後のやり取りも思い出せなかったけど、その超絶格好良いビクトール様の姿は本当に格好良くて、マジ最高に格好良くて、僕は喜びの余り鼻血を吹きながら気絶した。まぁ思い出そうと頑張って頭が何だか割れる位に痛かったのもあるかもしれない。
でも、夢に出てきたビクトール様思い出せたから幸せ♡
暫くしてゴートに起こされた僕は、未だに頭痛やらちょっとした目眩なんかを感じていたけれど、心は剣を構えたビクトール様のお陰でスッゴいポカポカで、ヤル気満々で。絶対に秘薬を手に入れて、ビクトール様をあの超絶ムカつく王子達からかっ拐うぞ!!と決意を新たにしたのだった。
そして、それから色々あり、時も流れて……。
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