勘違い白豚令息、婚約者に振られ出奔。~一人じゃ生きられないから奴隷買ったら溺愛してくる。~

syarin

文字の大きさ
57 / 66
ここから番外編(腹黒王が割と出ます)

19: ヴィランに根負けしたナニカ、少しだけ記憶を残す。



ハハハ、ハハハハ……

……アハハハ……


ーーーーー
ーーー



「……って、結局ヒルトゥームが勝ってたのかよーー!!?」

「うぇっ!?」

「てか、ナイ!ナイわーー!原作エンゼリヒト、アモネイ推しとかナイわーー!趣味悪!どー考えてもビクトール様一択っしょ!もー相変わらず超絶イケメン!超絶格好良い!最後まで戦おうとする姿勢が素敵すぎる!」

…………ハァハァ

ふと、乱れた息を整えつつ辺りを見回せば、白々明けようとする空が船窓から見える。ギシッギシッと軋む音、穏やかに揺れる蒼い景色。

(あ、そうか、ダンジョンに備えて早めに寝て……。)

船の一室、ベッドに居ることを思い出した僕は、それにしても、と夢を反芻した。

どうやら、神か悪魔の悪戯か、それとも違う何かか。僕が転生しなかったゲーム通りの未来を夢で視たらしい。
何となくだけど、何故だか、それが只の夢ではなく、僕が転生しなかった本来の未来なのだと確信が持てた。

(当たり前だけど、エンゼリヒトは僕とはまるっきり別人だったな。アモネイを好きになるし、それに、身長も低く、可愛いままだった。くぅぅ、何としてでも秘薬を手に入れるぞ!……にしても、アゼル様がサミュエルを…意外…、でも、そーなると…)

「おいおい、大丈夫か??ビックリした…いきなり絶叫するって、どんな夢見たんだよエンゼル~。」

ふぁぁ、とアクビと共に間の抜けた声が僕の思考を中断させる。
横を見ると、何時ものようにベッド横の床にボロを敷いて寝ているゴートが、ベッドに顎を乗せてうらめしそーな顔で此方を見ていた。どうやら壮絶な安眠妨害をしてしまったようだ。まぁ、毎度駄々を捏ねて部屋に転がり込むヤツが悪いので一切同情しない。顎乗せて上目遣いでぢーっと此方見るのも可愛くなんか無いからな。

「それがさ、聞いてよゴートあのね、あれ?…………あれ?凄い衝撃的な……あれ?……え??」

あれ??さっき僕、何て考えてたっけ??どんな夢見て、どんな反芻をしたんだっけ??

此方を見るゴートに溜め息一つ吐いて、今見た夢を話そうと思ったんだけど、途端に思い出せなくなってしまった僕は、頑張って思い出そうとするんだけど、まるでザルで川の水を救ってるかの様に何も引っ掛からない。

「???………ねぇ、ゴート、さっき僕何て叫んで起きた?何て言ってた??」

せめて何か取っ掛かりがあれば……!そう思って聞くも、ゴートも首を捻る。

「ええー?そう言われると、何か俺も良く思い出せないなー。……えっと、ヒルトゥーム……勝った?………後、ビクトール様が相変わらず格好いいとか言ってた気がするが、……あれ?おかしいな、普段は寝てても結構こーゆーのは覚えてられるタチなんだが……。」

「ええっ!?ビクトール様夢に出てきてたの!?絶対思い出す!!」

ゴートは何だかんだで有能だから、そんなゴートが思い出せないという事実に、何だか少し、何かの意思みたいなものを感じたりもしたけれど、ビクトール様というワードに僕は頑張って思い出す以外の選択肢を全て捨てた。絶対思い出す!!

てか、ヒルトゥームが勝ったって何??何か国を跨いだ剣術試合とかでもしてた夢かなぁ?!ビクトール様が優勝!!みたいな??キャーー!真剣な顔して剣を振るうビクトール様とか最っっ高だろーなーー!!

絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対思い出す!!!!!!気合い!!!!根性!!!!んぎぃぃぃ思い出せ僕ゥゥゥゥ!!!!

「ハッ!?お、思い出した!!学園のカフェでビクトール様が剣を……!!キャーー!ビクトール様!格好良い!!はぅっ……♡」

「お、おい!エンゼル!……エンゼル!?しっかりしろ、エンゼルーー!?」

気合いで何とか思い出そうと頑張った僕はその甲斐有って、学園のカフェで談笑していたら急に周囲が騒がしくなり、ビクトール様が凄く真剣な顔で剣を構えた瞬間を思い出した。

凄く短いシーンだし、音も、前後のやり取りも思い出せなかったけど、その超絶格好良いビクトール様の姿は本当に格好良くて、マジ最高に格好良くて、僕は喜びの余り鼻血を吹きながら気絶した。まぁ思い出そうと頑張って頭が何だか割れる位に痛かったのもあるかもしれない。
でも、夢に出てきたビクトール様思い出せたから幸せ♡

暫くしてゴートに起こされた僕は、未だに頭痛やらちょっとした目眩なんかを感じていたけれど、心は剣を構えたビクトール様のお陰でスッゴいポカポカで、ヤル気満々で。絶対に秘薬を手に入れて、ビクトール様をあの超絶ムカつく王子達からかっ拐うぞ!!と決意を新たにしたのだった。



そして、それから色々あり、時も流れて……。



感想 980

あなたにおすすめの小説

【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~

TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】 公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。 しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!? 王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。 これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。 ※別で投稿している作品、 『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。 設定と後半の展開が少し変わっています。 ※後日譚を追加しました。 後日譚① レイチェル視点→メルド視点 後日譚② 王弟→王→ケイ視点 後日譚③ メルド視点

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。