勘違い白豚令息、婚約者に振られ出奔。~一人じゃ生きられないから奴隷買ったら溺愛してくる。~

syarin

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ここから番外編(腹黒王が割と出ます)

20: ヴィランと囚われの王子様。

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「フハハハハ!とうとうこの時が来たね!迎えに来たよ!!ビクトール様!!」

秘薬を手に入れ、新たなる力を手に入れた僕は、幾重にも計画を練り重ね、修行を重ね、とうとう、ビクトール様の前に立っていた。

ヒルトゥームの城は半壊し、あちこち魔法で燃えて、砕けて、土煙やら燻った煙を上げている。
途中で王子の抵抗に有ってゴートとはぐれたがまぁ、構うものか。

城の塔の最上階。
僕が堅牢な扉を抉じ開け、カツカツと冷たい大理石の床を音を鳴らして歩けば、囚われていたビクトール様がびくり、と怯えた様な顔で此方を振り返った。

その怯えた顔も相変わらず息を呑むほど美しい、僕の愛しの愛しのビクトール様♡

「くぇっ、ちょ、待て…エンゼrぶぎゃん!!」

背後からボロボロになりながら僕の服の裾を掴む赤髪王子を回し蹴りで華麗に吹っ飛ばして、僕は艶然とビクトール様に微笑んだ。

身長は165、肌は抜ける白さのツヤツヤすべすべ♡この日の為に全身磨きをかけた甲斐有って、滑らかで吸い付くようだし、薔薇色の神だって天使の輪が二重三重に煌めいてる。

綺麗に整えた桜貝ネイルの指先で野苺みたいに色付いた唇を一撫ですれば、ビクトール様の喉がゴクリ、と鳴った。

「フフ、逢いたかった……ビクトール様♡僕、やっと自信持ってビクトール様の前に立てる自分になれました。ぁぁ、愛してます…!ビクトール様!!」

「ゲホッ…ゲホゲホ!ダ、ダメだって…ェンゼ…ゲホゲホッ」

僕がビクトール様に歩み寄って、その逞しい手を取れば、背後で壁にめり込んだ赤髪王子がヨロヨロと立ち上がろうとする。全く、しぶといなぁ。

「そ…違ゲホッ…ビクトールじゃゲホゲホ!…目を覚ませ!!ェンゼうっ!!ぁあっ♡ちょっ……ゲフッ!」

薔薇の蔦の様な魔法の鞭でしぶとい赤髪王子をビシバシと打てば、一瞬妙な声を出してたが、もう立ち上がる元気も無くなったのだろう、力無く床に転がる赤髪王子の必死に何かを訴えるような瞳を見下ろして冷笑し、僕はそっとビクトール様にしなだれかかった。

ふかふかと逞しいビクトール様の胸に頬擦りすれば、男の人らしい野草混じりのグリーンノートがふわりと香り、僕はうっとりその青臭い匂いに酔いしれる。

「フフ、ビクトール様…もう、離さない……。」

「ぁぁぁぁぁ~……。」

ビクトール様の頬を撫で、そっとその乾いた唇に口付けすれば、思ったよりカサついた感触が返ってくる。
赤髪王子が情けない絶望の声を洩らすのが小気味良い。

ザマァみろ!お前はそこで指でも咥えて僕とビクトール様のラブラブを目に焼き付けとけ!

それにしても撫でるビクトール様の髪も肌も随分とカサカサガサガサゴワゴワで。でも、触れた所がジンジンとまるで燃えてるみたいに熱くなって……。

(可哀想なビクトール様……。囚われてきっと酷い目に…。でも僕が来たからにはもう大丈夫♡…………ん?)

暫く口付けしながらビクトール様の髪や頬を撫でさすり、すっかり怯えて硬直してしまってるらしき可哀想なビクトール様を安心させようとそのアイスブルーの美しい瞳を笑顔で覗き込めば、ビクトール様はカカシだった。



…………………ん?





………………………………んん???…………?????






「ぐすん……えんぜるぅ~……目を覚ませよぉぉ……。」

ワケが判らなくてカカシの青いボタンの瞳と見つめ合う僕の耳に、情けないゴートの声が届く。


   カ カ シ ???


驚いて抱き着いていたカカシから少し離れて、マジマジと見詰めてみるけど、上から下まで何処からどうみてもカカシだった。

すんごい草臭い。

ふと、周りを見渡せば、城の塔に居てた筈が草も疎らな荒れ地に僕は立っていて、あちこち、僕の魔法の蔦や岩塊が転がったり砕けたり、土埃を上げたり燻ったりしていた。それと、点在する薔薇、近くの土塊のそばにボロボロぐったりなゴート。

「何これ。ここどこ??どういうこと???」

嫌な予感しかしない。

「ふぇぇ~~エンゼルやぁっと目を覚ましたのかよー!てか、カカシ王子様とのキスで幻惑解除目を覚まさせるって、ヒルトゥーム王子鬼畜過ぎるだろ~~~!!」

「」

嘘だろ。インキュバスの秘薬で手に入れた力で幻惑無双する筈だったんだけど???
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