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ここから番外編(腹黒王が割と出ます)
27: 脱ぐ金髪、脱がない金髪。
しおりを挟む「ほーれほれほれほれほれ……!」「キャキャーー!ウケケケケ!」
楽しそうな赤子と男の声が近づいてくる。
「おお!オプィエルたん見てみー!お兄ちゃん達みぃんな、あっこで狼さんに乗ったはるわ!オプィエルたんも行こかー!」「こかぁー!」
「行くでぇ!それー!ファルコーーン!」「うぉーーー!きゃきゃきゃきゃきゃきゃ☆」
三陛下が扉を開ければキュッ!と靴のグリップ音も高らかに、一拍矯めた法皇が、オプィエルを頭上高々と抱き上げたまま駆け込んでくる。途中くるくると回転しながら腕を上下させ、両手両足を大の字に広げたオプィエルがまるで隼の様に空を舞い、最後は法皇のスライディングによる低空飛行のオプション付きだ。
風を切るオプィエルの妙にキリッと格好付けた顔つきは、赤子ながらに隼になりきっているのだろう。
「見たかロレンツォ。これがサンアントニオの遊び心や。」「ちな本家サンアントニオは騎士から使用人から皆めっちゃ速いお馬さんになって屋敷内大移動、とかやでww」「あー……あれめっちゃ好きやったわww後、高い高いがめっちゃ高いねんww」「「ほんまそれーww」」
「ぐぬぬ……安全面に配慮しない脳筋どもめ…!確かに楽しかったが、今思うと危ないだろう!」「ちょっと待て、ロドリゴは何時もそんな事を……???」
どや顔で言う三陛下に、ロレンツォ・コートニー侯爵が歯噛みしつつも確かに、と首肯し、隣で前侯爵が衝撃を受けている。
元々、王家の傍系にあたる英雄から端を発したサンアントニオ辺境伯家は、政略結婚の多い王家や高位貴族に幾度となく交じり融合しながらも、その気性の荒らさ、武力、酔ったら裸になりたがる癖、金髪碧眼等の特徴の代名詞となっていたそうだ。
だが、中位貴族である俺は王宮勤めになるまで知らなかったし、もしかしたら俺がまだ知らないだけで、サンアントニオの特徴に子煩悩というのもあるのかもしれない。
懐かしそうに頷く三陛下とアゼル、ロレンツォ・コートニー侯爵と、その向こうで変顔でチビエル達を笑わせる法皇を見ながら俺はそんな事を思った。
因みに、コートニー家は頭でっかちの引きこもり体質のオタク気質で有名で、ロレンツォ・コートニー侯爵は見た目と武力と気性の荒らさだけサンアントニオを継いだ、脱がないサンアントニオ男子だの、武力的なコートニーだのと言われて未だに婚活市場で人気が高い様だが、如何せん、本人の望みが高いのか潔癖なのか何なのか、未だに独身である。
俺は金髪碧眼ではあるが、これはどうやらサンアントニオの金髪碧眼ではないとか何だとか。要は、繋がりが薄いんだろう。脱がない金髪碧眼だが、誰も俺を脱がないサンアントニオとは言わない。
三陛下と法皇は脱ぐサンアントニオだ。
そしてサミュエル・コートニーは白金髪を通り越した完全なる白髪に碧眼だし、アゼルも赤毛に緑眼だが、彼らも脱ぐサンアントニオなんだとか。
(こんなに可愛いのに、いつか、チビエル達も大きくなったら脱ぐんだろうか……。)
ウキャキャキャーー!っと金髪や碧眼をキラキラさせて喜ぶ赤子達は、皆何処か王達や辺境伯に似てる気がして。
(脱ぐんだろうなー……。)
と、何だか確信めいたものを感じさせた。
「さぁてと、フランク~♡折角来たんやし、ちょっとそこのガゼボでお茶でもどないや??あ、ロレンツォは来んでええで。ちみっことの遊び方でもバロコンタンアゼルに教わっときーな。」
チビエル達が狼とアゼルに夢中になったのを確認してから法皇がするりと絶妙な体運びでコートニー前侯爵にすり寄り、肩を抱く。
余りに自然で然り気無く、それでいて確実にして最短な動き。もしかして、法皇って滅茶苦茶強いんじゃなかろうか。
コンクィート陛下とロレンツォ・コートニー侯爵が元王宮騎士団玄翼の団長と副団長でアゼルも一応騎士団長なので、近衛騎士団長として何度か手合わせをしたことがあるが、あんな動きは見たことない。
魔法に長けている流石のコートニー前侯爵も武術方面はそこまでではないらしく、さらりと肩を抱かれて一拍置いてから眉間に深い皺を刻んでいた。
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