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第三章

アッポーパイも美味しいですよ

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皇子を先頭に学園迷宮の中に入っていく、
ピンクちゃんの番になっておもむろに石版に手を伸ばすので、
私は必死になって止めた。

「邪魔しないでよ、二回目に迷宮に入る人はこの石を触るんでしょ」
「皇子様は何回目?」
「初めてって言ってたわ」
「そうね、じゃあ皇子様と来るのは、初めてだから石に触っちゃだめよね」
「???」
雑な覚え方に雑な教え方だったけど、詳しく説明すると何故か怒りだすのだ。
とりあえず今回一回同行させてしまえば、流石に同じ階位は指定出来るだろう。
私はピンクちゃんの背中をグイグイ押して迷宮の中に入っていく。

全員迷宮の中に入ったので、やっと攻略が始まる。
私は出来るだけ存在感を消した、キュウちゃんも召喚していない。
今回は不良物件を皇子様に押し付けるのが私のミッションだ。
だけど当然と言えば当然なんだけど、ピンクちゃんの出番は無かった。

大根に苦戦する勇者に期待するのがおかしいのは理解してるのだけど、
このままだと明日も付き合わされそうで怖い。
地下十回のボス部屋の前に危なけなくついてしまった。

「シュタイナー皇子、マーガレットさんと私はこの前ここのボスを倒したばかりで、
私達とパーティ組んだままだとボスが出て来ませんがどうしますか?
ここで一旦パーティを解散して私達抜きでボスと戦うか、
先に進んで地下十五階の中ボスを倒すかのどちらかになると思います」

「先に進んでも良いのだが一応ボスと戦うか」
「でしたら、レアボスだとメロンボスで体力が一定以上減ると
特殊攻撃の魅力を使って来ますので、
回復ポーションと魅力解除のポーションをいくつかお渡ししておきます」
皇子様達は私からポーションを受け取った後にパーティを解散してボス部屋に入って行った。
さほど時間がかからずにボス部屋から皇子様達が出てきた。
「りんごボスだった......」
魔法使いの女性がションボリしながらりんご入リのフルーツバスケットを見せてくれた。
そう言えばフルーツサンドを一番美味しそうに食べてたのは魔法使いさんだった。

「りんごも美味しいですよ」
「フルーツサンドに合う?」
「フルーツサンドにはあまり入れませんが、パイにすると美味しいですよ」
「パイ?作ってくれる?」
「帰りに渡して貰えれば明日作って来ますよ」

「シュタイナー、聖女はリーナが良い」
「わがまま言うと作ってきませんよ?」
「シュタイナー、何でもない」

魔法使いさんは年上のはずなんだけど、
童顔だし性格も可愛らしいので年上に思えない。
今日は、一応様子みなので迷宮探索を打ち切って学園に戻る事にした。
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