EDEN ―孕ませ―

豆たん

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客取り

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「――それにしても、あんなに嬉しそうな社長の顔は滅多に見ないぞ」

 ゆっくりと動き始める雄。優輝は襞を擦り立てるエラの存在感に震えながら、何の話をしているのだろうという困惑の眼を雄に向けた。

「さっきの出産に立ち会っていた時の社長の様子さ。あんたが無事に初客の子を産んだことを心底喜んでいる感じだった。今回は、種付け中も暫く傍に付いて声を掛けてくれたそうじゃないか。今までのあの人からは考えられん現象だ」

 熱い楔に息を乱されつつも聴き入っていた低い声音が、不意に途切れる。右の乳輪をつつつと舌でなぞった雄がチラリと頭上の白面を見上げた。

「……続きが聴きたいか?」

 微かに頷く優輝にフッと微笑んで、「それじゃ喉を潤してからな」と口元の乳首を吸う。ひと頻り母乳を味わった彼は、唇の端を指で拭ってから再び話し出した。

「――社長は元々淡白な人間なんだ。若さの所為もあって興味を持ったものにはある程度の執着を見せるが、仕事が絡むと完全に割り切った対応になる。男子とだって無駄な接触はしないし、役に立たないものを切り捨てる時も一切容赦はない。俺達でさえ怖くなるほどの冷徹さを感じることだってあるんだぜ。――本来、儀式の時の細かい雑務や段取りなんかは、俺達社員の役目だ。なのに、社長自らそれを買って出たばかりでなく、初出産ではわざわざ部屋に迎えにまで来ている。拉致して間もない上に筋金入りのバージンだったとはいえ、社長自身がここまで密に世話を焼くのは、他の男子どもでは見たことがない。さっきの子作りタイムや出産への立ち会いも、他の奴ら相手なら有り得ない事なんだ。直接自分の手で狩った獲物だからっていうこだわりもあるのかも知れないが、余程あんたの才能に惚れ込んでるんだろうな」

 もう一度短く乳を吸って、雄は上体を起こす。内部の感触を確かめるような抽挿に身悶える優輝の前髪を掻き上げ、穏やかな口調で尋ねた。

「…なぁ。あんたは、当然社長や俺達を恨んでるんだろう?」

 何を訊かれたのか理解するのに若干の間があったものの、躊躇い無くふるふると首を横に振る優輝。雄が意外そうに眉を上げる。

「こんな目に遭わされて人生を狂わされても、そういう感情が全然起きないってのか?」

「…あっ、ん…っ、…自分でも…よく、分から…ない…。っはぅん…っっ」


 確かに、男子にとって真柴達は幾ら恨んでも恨み足りない相手だ。殺したいほど憎いという者も大勢いるだろう。だが、何故か優輝は違っていた。名前も知らない社員達のことを憎む気持ちは全く無い。それどころか、元凶である真柴にも怒りさえ感じることが出来ずにいた。ただこの理不尽が何故自分の身に起きたのか、それをどう受け止めたらいいのか。冷静になった時に感じる耐え難い苦しさの出処を、突き付けられる孤独感と共に一人自問するばかりだ。


 中を捏ねる怒張の熱がじりじりと身体を焦がす。震えながら言葉を探すけれど、揺れ動く己の思考すら掴み切れていない優輝には明確な答えが見付からない。今の自分に分かるのは、雄に犯されると堪らなく気持ちいいということ、それだけだ。この瞬間も、肉路を埋め尽くす極太に弱い箇所を擦られ、まるで鳩時計のように規則正しい喘ぎを漏らしてしまっていた。


 その時ふと気付く。――そうだ、気持ちいいのだ。


 雄達は、五十人それぞれに一物の差や癖があり、同じように犯しているように見えても与えてくる快感は微妙に違う。だが誰一人として技量に不足があるわけでは無く、寧ろ申し分無く磨かれた個々のテクニックが、毎回自分に夢のような快楽を味わわせるのだ。受け入れ難くても、自身の本能や身体がそれを求め、彼等の性戯で悦んでいる事実は認めざるを得なかった。接する態度にしても、無口で穏やかな者から荒っぽい者までその性格は十人十色だったが、こちらを馬鹿にするような目を向けられたことは一度も無い。当初こそ事務的・機械的な印象を持った雄達。しかし血も涙も無い冷血漢などでは無いと、このひと月の接触で気付いた。孤独を感じる自分の傍にいて、常に快楽で気を紛らわせてくれる存在。この雄のようにある種の安心感を覚えさせる者だっている。非常にシンプルで、だからこそ肯定しにくい面もあるものの、それが彼等を敵視出来ない一番の理由なのだと思えた。


「……どうして、って…思って……、酷く、哀しくなる…だけ…、あうっ、……う…恨んだり、なんて……、だって、とっても…気持ち良く…して、くれる……っ、あっ、やぁぁんっ! いいっ、いいっっ!」

 話の途中で内奥をズンッと突き上げられ、優輝の声が裏返る。「本当か?」と囁く声に、悦がりながらもはっきりと頷きを返した。今口にした己の気持ちに偽りは欠片も無い。

「自分に正直なんだな。他の男子どもでは考えられないくらい、素直でいい子だ。こんなに可愛いと、何度でも孕ませてまた俺の子を産んで欲しくなる。この仕事に就いてからもう三桁に届く男子を相手にしてきたが、こんなことは初めてだ。さすがはひと味もふた味も違う最高の名器だな」

 気の所為か雄の声音が嬉しげに聞こえる。堅実な律動を繰り返していた剛直が、彼の心情を反映したかのように強く深く優輝の最奥を抉った。

「ひぃんっ、あぁ、奥…っそんな、深…トコまで、突いちゃ…ああぁっっ!」

 暴れる亀頭に前立腺をグリグリと突かれて、優輝は涙目で髪を振り乱す。その腰を抱え、本来の絶倫ぶりを発揮し始める雄。

「――あんたに最初に種付け出来たのは、本当に幸運だった。よしよし、いい子にはたっぷりとご褒美をやろう。調教の時よりも激しく犯して、哀しさも辛さも吹き飛ばしてやるよ。今日もまた次の客が来る。期待を裏切らないようしっかり仕込んでおかなきゃならん。久し振りのフランクフルト、満足するまで存分に食わせてイきまくらせてやるからな」

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