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王道のために暗躍する
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あと少しで自室だ。
突き当たりを曲がった所で声を掛けられた。
「斎賀様じゃないですかぁ!」
独特のイントネーションで手を振るのは俺の親衛隊副隊長の相良だった。
「なんでここに?」
「俺ってこう見えても結構人気あるんですよ?それより斎賀様はそんなに急いでどうしはりましたん?」
「た、立ち話もなんだし、俺の部屋においで?」
相良の腕を強引に掴んで自室へと逃げ込む。
扉を閉めて、鍵を掛ける。
落ち着こうと、息を整えながら相良を見ると、相良は目を輝かせながらニマニマと笑っている。
「こんなに早くに部屋に上げてもらえるなんて、光栄やわぁ!」
「そぉ?」
「わざわざ7階まで上がって自販機来た甲斐があったわ!」
純粋に喜んでいる様子の相良を見ると、申し訳ない思いが湧き出してくる。
1人になりたい気持ちと、誰かと居たい気持ちがぐるぐると混ざり合って、また俺は誰かを利用するのかと、複雑な心境に陥る。
「なんか、ごめんね」
「どうかされはったんです?」
「いや、別に…何もないけど」
「けど?」
「とりあえず、中に入りなよ」
靴を脱いでリビングに入り、相良にも入るように促す。
「お邪魔しますー」
「相良くんは自販機で飲み物買いに来たの?」
「はい!」
相良はポケットからチルドパックのカフェオレを取り出して見せてくれた。
「あ、それ美味しいよね」
「俺これめっちゃ好きなんですよ、でも7階にしか売って無くて、自分6階やけど買いに来ちゃいました」
「そうなんだ?」
「したら斎賀様と会えるし、良いことあったなって!」
ソファ凭れて座ると、横に座るように相良にも促す。
相良はニコニコしながら遠慮がちに隣に腰を下ろした。
「相良くんってさ、俺のこと好きなの?」
「それはもちろん!」
「へぇ、そうなんだ。じゃあさ、今から俺がセックスしようって言ったら喜んでするの?」
「当たり前やないですか!斎賀様を抱かせて貰えるんやったらなんでもします!」
大きく頷いて肯定する相良に、俺は毒気を抜かれた気分で笑ってしまった。
「ははっ、そうなの?俺は相良くんのこと好きじゃなくてもいいの?利用したいだけでも?」
「言ったやないですか!いつ、何時でも呼んで下さいって。斎賀様が利用するための道具に、俺を選んでくれたんやったら、それは何よりも嬉しいことです!」
相良は俺の両手をぎゅっと掴んで何でもないことのように言い放った。
「ふふっ、なんだよそれ」
俺が笑うと相良は幸せそうに微笑みを浮かべて、期待に満ちた瞳を向けてくる。
「もしかして、今のは前振り?今から斎賀様とセックスしてもええんやろか?」
「んー、そうだな。いいよ」
ニッコリと笑みを浮かべる。
稔の事が頭にチラつく。
胸がグッと締め付けられる痛みに襲われるが、もう考えるのをやめたい。
俺は今、ちゃんと笑みを浮かべられているのだろうか?
「え?!本当に?ええの?」
ぶわっ!と顔を真っ赤にした相良は恐る恐るという感じで俺の頬を撫でた。
「いいよ」
「これ、夢やないよね?やばっ心臓バクバクいうてる!」
「そんなに?ふふっ、俺、今落ち込んでるみたいだからさ、相良くんが慰めてよ」
俺は体を横に向けて、座っている相楽の腰に足を絡み付ける。
相良は俺の手を取って甲に唇を当てると、ゆっくりと目を細め、口角を上げた。
「仰せのままに!」
突き当たりを曲がった所で声を掛けられた。
「斎賀様じゃないですかぁ!」
独特のイントネーションで手を振るのは俺の親衛隊副隊長の相良だった。
「なんでここに?」
「俺ってこう見えても結構人気あるんですよ?それより斎賀様はそんなに急いでどうしはりましたん?」
「た、立ち話もなんだし、俺の部屋においで?」
相良の腕を強引に掴んで自室へと逃げ込む。
扉を閉めて、鍵を掛ける。
落ち着こうと、息を整えながら相良を見ると、相良は目を輝かせながらニマニマと笑っている。
「こんなに早くに部屋に上げてもらえるなんて、光栄やわぁ!」
「そぉ?」
「わざわざ7階まで上がって自販機来た甲斐があったわ!」
純粋に喜んでいる様子の相良を見ると、申し訳ない思いが湧き出してくる。
1人になりたい気持ちと、誰かと居たい気持ちがぐるぐると混ざり合って、また俺は誰かを利用するのかと、複雑な心境に陥る。
「なんか、ごめんね」
「どうかされはったんです?」
「いや、別に…何もないけど」
「けど?」
「とりあえず、中に入りなよ」
靴を脱いでリビングに入り、相良にも入るように促す。
「お邪魔しますー」
「相良くんは自販機で飲み物買いに来たの?」
「はい!」
相良はポケットからチルドパックのカフェオレを取り出して見せてくれた。
「あ、それ美味しいよね」
「俺これめっちゃ好きなんですよ、でも7階にしか売って無くて、自分6階やけど買いに来ちゃいました」
「そうなんだ?」
「したら斎賀様と会えるし、良いことあったなって!」
ソファ凭れて座ると、横に座るように相良にも促す。
相良はニコニコしながら遠慮がちに隣に腰を下ろした。
「相良くんってさ、俺のこと好きなの?」
「それはもちろん!」
「へぇ、そうなんだ。じゃあさ、今から俺がセックスしようって言ったら喜んでするの?」
「当たり前やないですか!斎賀様を抱かせて貰えるんやったらなんでもします!」
大きく頷いて肯定する相良に、俺は毒気を抜かれた気分で笑ってしまった。
「ははっ、そうなの?俺は相良くんのこと好きじゃなくてもいいの?利用したいだけでも?」
「言ったやないですか!いつ、何時でも呼んで下さいって。斎賀様が利用するための道具に、俺を選んでくれたんやったら、それは何よりも嬉しいことです!」
相良は俺の両手をぎゅっと掴んで何でもないことのように言い放った。
「ふふっ、なんだよそれ」
俺が笑うと相良は幸せそうに微笑みを浮かべて、期待に満ちた瞳を向けてくる。
「もしかして、今のは前振り?今から斎賀様とセックスしてもええんやろか?」
「んー、そうだな。いいよ」
ニッコリと笑みを浮かべる。
稔の事が頭にチラつく。
胸がグッと締め付けられる痛みに襲われるが、もう考えるのをやめたい。
俺は今、ちゃんと笑みを浮かべられているのだろうか?
「え?!本当に?ええの?」
ぶわっ!と顔を真っ赤にした相良は恐る恐るという感じで俺の頬を撫でた。
「いいよ」
「これ、夢やないよね?やばっ心臓バクバクいうてる!」
「そんなに?ふふっ、俺、今落ち込んでるみたいだからさ、相良くんが慰めてよ」
俺は体を横に向けて、座っている相楽の腰に足を絡み付ける。
相良は俺の手を取って甲に唇を当てると、ゆっくりと目を細め、口角を上げた。
「仰せのままに!」
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