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第一章
吹雪の中のしらせ
配達人さんが渡してきたのは、金縁に花があしらわれた豪華なデザインの手紙だった。こんな立派そうなものを送ってくる相手、覚えがないよ……。
ソファのところまで戻ってくると、アルトが体育座りで顔を埋めていた。見える耳が赤くなっている……?
「アルト……?」
「俺、君のこと大事にしたいから。こう抑えてる」
「そう……?」
「あと門限ギリギリまでは居座りたいから。こうしてる」
「うん……?」
アルトが望んでのことならば……うん、手紙を開封しよう。
「――推薦状?」
「ん?」
口に出すと、アルトも反応した。アルトを見ると、再びうずくまっていた。なぜ。
文面を確認してみよう……うん。うん。
「……」
私は顎に手をあてて考え込んでいた。
その内容は信じがたいものだった。予想だにしていなかったものである。悪戯? ううん、国章もある。正式なものと考えるのが自然だった。
「……アルト。相談に乗ってもらっていい?」
「はいはい、喜んで!」
即レスでアルトが飛んできた。許可を得たものとして、彼は手紙を覗き込んできた。
「なにこれ。イタズラ、でもないか」
「むしろイタズラの方が理解できるというか」
何の考えがあって、何の企みがあって送られたものなのか。内容はこうだった。
――シャーロット・ジェム。貴公を王都ブルーメ学園高等部に招き入れたい。
あとは、入学試験も免除し、中途編入という形をとる。入学費含む費用は学園持ち。入寮も可能との事だった。好条件には違いなかった。
「まあ……シャーリーは行けるんだよなぁ」
「うん……まあ」
私は学校には通ってない。その代わりにと、中等教育認定試験は合格していた。周りの勧めもあって受けたもので、前に合格したもので……。
「いきなり入学って……」
私は困惑していた。この美味しすぎて怪しい話もそうだが、学生生活もそうだ。
「……」
冬花の高校生時代となると……片桐先生一色だった。ろくに交友関係も築けなかった。恋に溺れていた当時は多幸感溢れていたよ。うん……冷静になった今では複雑な心境でもあった。
今更行ったところでどうなのかな。学園生活なんて、憧れもしない。友達を作ろうなど――。
推薦状を断る気持ちに傾いていたけれど。
「えー。シャーリーと同じ学校に通えるってことぉ? うっしゃ、こんなんもうね? 毎日最高じゃん!? 朝も昼も夜もシャーリーと一緒とか!」
アルトはひとしきりはしゃいだ後、私の顔を覗き込んできた……夜? そうやってご機嫌だった彼、だけど真剣な顔つきになっていた。
「――って、俺は単純に喜ぶけどね。ほら……怪しくもあるからさ。裏もあるかもしれないし、君に危ない目にも遭ってほしくない」
「そうだよね……うん、やっぱり――」
そう、アルトもこう言っている。やっぱり断ろうと……。
「でも――シャーロットは? チャンスかもしれないんだよ。君がどうしたいか、教えてほしいんだ」
アルトは真剣な表情で問う。
「答えはどっちでもいいよ。どっちを選んでもさ、俺はシャーロットの力になるだけ」
「アルト……」
彼が本気で考えてくれている。それには私も応えたかった。
「……一晩、考えさせてほしいんだ」
「ん、わかった」
「……!」
アルトは私の髪をゆっくりと撫でた。小さい頃はしょっちゅうだったこと、久々だった。その感触に懐かしくも照れくさくもなってしまった。
「っと、何気にシャーリーの髪触っちゃった。へへ、へへへへ……」
自分の手と、私の髪を見て。アルトは一人ニヤニヤしていた。どういうこと……ともかく。
懐かしいなって思った。昔はよく撫でてくれたし、私もそうしたりした。
大きくなった今となっては、それもなくなっていったから。そういうものなのかな?
「まあ、一晩といわずさ。もうちょっと考えてもいいと思うけどね――じゃ、俺帰るね」
「うん」
このままアルトは帰るのかと思われたけど。
「えへ? ……門限、過ぎちゃた」
「あ」
アルトに言われて、私も気がつく。ああ……私の失態かな。いつもならもっと早く帰ってもらっていた。
ソファのところまで戻ってくると、アルトが体育座りで顔を埋めていた。見える耳が赤くなっている……?
「アルト……?」
「俺、君のこと大事にしたいから。こう抑えてる」
「そう……?」
「あと門限ギリギリまでは居座りたいから。こうしてる」
「うん……?」
アルトが望んでのことならば……うん、手紙を開封しよう。
「――推薦状?」
「ん?」
口に出すと、アルトも反応した。アルトを見ると、再びうずくまっていた。なぜ。
文面を確認してみよう……うん。うん。
「……」
私は顎に手をあてて考え込んでいた。
その内容は信じがたいものだった。予想だにしていなかったものである。悪戯? ううん、国章もある。正式なものと考えるのが自然だった。
「……アルト。相談に乗ってもらっていい?」
「はいはい、喜んで!」
即レスでアルトが飛んできた。許可を得たものとして、彼は手紙を覗き込んできた。
「なにこれ。イタズラ、でもないか」
「むしろイタズラの方が理解できるというか」
何の考えがあって、何の企みがあって送られたものなのか。内容はこうだった。
――シャーロット・ジェム。貴公を王都ブルーメ学園高等部に招き入れたい。
あとは、入学試験も免除し、中途編入という形をとる。入学費含む費用は学園持ち。入寮も可能との事だった。好条件には違いなかった。
「まあ……シャーリーは行けるんだよなぁ」
「うん……まあ」
私は学校には通ってない。その代わりにと、中等教育認定試験は合格していた。周りの勧めもあって受けたもので、前に合格したもので……。
「いきなり入学って……」
私は困惑していた。この美味しすぎて怪しい話もそうだが、学生生活もそうだ。
「……」
冬花の高校生時代となると……片桐先生一色だった。ろくに交友関係も築けなかった。恋に溺れていた当時は多幸感溢れていたよ。うん……冷静になった今では複雑な心境でもあった。
今更行ったところでどうなのかな。学園生活なんて、憧れもしない。友達を作ろうなど――。
推薦状を断る気持ちに傾いていたけれど。
「えー。シャーリーと同じ学校に通えるってことぉ? うっしゃ、こんなんもうね? 毎日最高じゃん!? 朝も昼も夜もシャーリーと一緒とか!」
アルトはひとしきりはしゃいだ後、私の顔を覗き込んできた……夜? そうやってご機嫌だった彼、だけど真剣な顔つきになっていた。
「――って、俺は単純に喜ぶけどね。ほら……怪しくもあるからさ。裏もあるかもしれないし、君に危ない目にも遭ってほしくない」
「そうだよね……うん、やっぱり――」
そう、アルトもこう言っている。やっぱり断ろうと……。
「でも――シャーロットは? チャンスかもしれないんだよ。君がどうしたいか、教えてほしいんだ」
アルトは真剣な表情で問う。
「答えはどっちでもいいよ。どっちを選んでもさ、俺はシャーロットの力になるだけ」
「アルト……」
彼が本気で考えてくれている。それには私も応えたかった。
「……一晩、考えさせてほしいんだ」
「ん、わかった」
「……!」
アルトは私の髪をゆっくりと撫でた。小さい頃はしょっちゅうだったこと、久々だった。その感触に懐かしくも照れくさくもなってしまった。
「っと、何気にシャーリーの髪触っちゃった。へへ、へへへへ……」
自分の手と、私の髪を見て。アルトは一人ニヤニヤしていた。どういうこと……ともかく。
懐かしいなって思った。昔はよく撫でてくれたし、私もそうしたりした。
大きくなった今となっては、それもなくなっていったから。そういうものなのかな?
「まあ、一晩といわずさ。もうちょっと考えてもいいと思うけどね――じゃ、俺帰るね」
「うん」
このままアルトは帰るのかと思われたけど。
「えへ? ……門限、過ぎちゃた」
「あ」
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