春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第一章

冬花の記憶――教師との恋③


 私は気がついていた。わかっていた。わからされていた。

 学校に登校すると、いつものように注目に晒される。ここ最近になって、酷さは増すばかりだ。

「――片桐先生と付き合ってるって、あの子でしょ」
「片桐ちゃんもいけないでしょ、生徒に手を出すとかさ」

 周囲からの視線が、刺すのようなものであると。好奇心、軽蔑、羨望、それから――。

「でも、聞いたけど? 確か――結婚予定の人、いるんでしょ?」

 ……?

 ……結婚予定の人?

 それって、私……なわけがないって、それはわかる。どうして私だって思えるの。

 ああ、彼らの声が、噂話が勝手に私の耳に流れてくる。逃げ続け、拒み続けている私の耳に。
 やめて、聞きたくない。お願い、聞かせないで。

 でも、どこへ逃げようとも。耳を塞ぎ続けようとも。
 逃してはくれない。

 先生は、結婚予定の人がいた。その女性と指輪も選んでいたって。

 先生は、多くの女性とも付き合っていたって。合鍵の女性はその一人だったってこと?

「……私は」

 私もその一人だった? ……先生の遊び相手の一人だったの?
 私の片思い……? ううん、私達は違う。先生のお相手だって、何かの間違いなんだ。きっとそう。

 片桐先生、私は信じますから。

 様々な意味が込められた視線の中、私は一人廊下を歩いていた。

 

 三月に入り、卒業式を迎えることとなった。晴れて、本日卒業となる。

 先生とは話す機会がめっきり減ってしまっていた。なんだろう、二人きりになるのも避けられていた。それは当然の話なんだ、私たち渦中の人物でもあるんだから。

 学業にも身が入らず、本命の大学は受からなかった。
 親は失望していた。仕事の都合で二人は来られないと言っていたけど、本当にそうなのかな……。

「高校生活、終わるんだ……」

 私にとっての高校生活は、先生で埋め尽くされていた。彼に救われて、彼に恋して。彼と一緒に笑って、触れ合って。彼だけが、私の救いだったの。

「……?」

 生じたのは違和感だった。どうして……目の前が眩みだす。ふらつく体を支えきれず、私はその場に崩れ落ちてしまった。不眠がたったのか、緊張のしすぎか。原因はいくら考えてもわからず。

 騒ぎの中、駆けつけてくれたのは……片桐先生? そこで意識は途切れた。


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