春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第一章

響き渡るは――犯人の名


「目に余る言動もそう。捜査を混乱させたのもそう。よって――アルト・モルゲンは独房行となりました。無期限でね?」
「!」
「これでも温情よ。共犯扱いにしてもよいくらいですのよ。それだけのことを彼、そして貴女は……しでかしたの」

 カイゼリン様がさらに叩き落してきた。

「アルト……」 

 私の声が震えた。アルトが、アルトが自分を庇ったせいでと。

「本決定です。今頃、大人しくしてもらっているわ」
「カイゼリン様……」
「悲しいものね――誰も、あなたを証明できないのよ」

 この人は上品で。悲しげに目を伏せながらも。なんと残酷な言葉を言ってのけるのか。
 ……なら、この子は。あなたの腕の中にいる子だってどうなるというの。

「……その子を、その子を返して!」

 カイゼリン様も。そしてリヒターさんをも睨みつけた。何が信用に足るだ。それを信じて渡した自分をも、ああ、罵りたい!

「……」
「この人は……」

 リヒターさんは表情を変えることもなく、こっちを見ていた。それがより腹立たしい。

「……あらあら。アルトさんの方がよっぽど、大人しかったわよ。彼、生気を失っておりましたもの……ああ、言ってましたわね? 『女神像、壊したくらいで! こんなことってない!』と。お忘れではないかしら――我々は春の女神様を信仰してならないと」
「……」

 アルトはどんな気持ちでそう口にしていたのか。幼馴染が覚えのない罪状が、大罪とされるそれが――そのようなことでと。

 今、私が抱いている思いと同じように。
 呪ったのかもしれない。

「都の方の破壊は不可解ではありますわね。貴女一人で行ったとも考えにくい。いっそ吐いてくださらないかしら」
「……」

 都の女神像も破壊されていた。私はそちらも当然心当たりはない。わからないものはわからない。知らないものは知らない。

「……追々と、ですわね」

 片方の眉を上げたカイゼリン様。私の行為を黙秘とみたようだった。

「そちらは、『本職』の方にお任せしましょうか」
「ええ、シェリア様。そしてジェム様。私共はまだ話が通じる方です。あの『獣』達に比べればでございますが」
「口が過ぎてよ、リヒター」
「失礼致しました、シェリア様」

 このへんで、とシェリア・カイゼリンは伴を連れて去っていく。あの子も連れ去られたまま。

「……」

 私は最後の抵抗もむなしく、連行されることとなった。

 辺りに響き渡るのは拡声器による声だった――きっと、国中に知れ渡ること。

『春の女神像破壊事件。容疑者はシャーロット・ジェム。共犯者の情報を求む――』

 それらは学園内にも風に乗ってばらまかれる――生徒らを覆うのはビラだ。街中にもきっと。貼り紙がいたるところに貼られているだろう。

 容疑者シャーロット・ジェムの顔写真を載せて。

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